歌のある店「ウラジーミル」

2001年度も健在でハラショー

 歌のある店「ウラジーミル」はロシア語会話の魂ともいえるコーナーだ。少なくとも僕にとっては。北の国、ロシアの持つ陰鬱さと苦悩を一身に背負ったかのようなウラジーミル・ソンツェフ氏の淡々とした語り口、通好みの分かりにくいギャグ、どれをとっても魅力的で、ほれぼれする。けれど、あまりに通向けなので、新年度には消えるコーナーだと思い込んでいた。

 新年度のロシア語は、昨年度後半の古くさい講座イメージを払拭して、「楽しく、明るくロシア語」を学ぶ雰囲気にあふれてスタートした。決して悪くはなく、初学者向けということもあって、アルファヴィートから教えてくれるのは、半年間番組をかかさず見ながら、一向に初学者から抜け出せなかった僕には、実にありがたい。

 ああ、昨年度の頭から番組を見ていたら、少しはウラジーミルと一緒に歌えたかも知れないと、昨年度の思い出にふけっていた(といっても、つい先週まで昨年度だったわけだけれど)。そうしたらどうだろうか、新年度に装いも新たに、歌のある店「ウラジーミル」は元気に営業していた。

 どれほど嬉しく思ったろうか。テキストには二三頁しかなかったため、気付いてなかったのだ。静かな語りに秘められた熱い心は今も健在で、歌詞には仮名でルビが振られていたけれど、確かにそこは歌のある店「ウラジーミル」だった。

 だが、不安要素がないわけではない。テキストを見れば歌のある店「ウラジーミル」は四月だけで、五月はウラジーミルはウラジーミルでも、作家のウラジーミル・ソローキンの文学案内になっている。ソローキンは嫌いではない。むしろ、昨年度の彼のインタビューには深く感銘を受け、共感をおぼえたほど。両ウラジミールの登場は僕にとっては、かなり嬉しいことである。

 ソンツェフ氏とは隔月のつきあいになるのだろう。淋しいことだが、仕方がない。それよりも、今年度こそはウラジーミルと一緒に歌えるよう、ロシア語で頑張ろう。


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公開日:2001.04.09
最終更新日:2001.09.02
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