原題:JUMANJI
1995年/アメリカ/103分
監督:Joe Johnston
発売:ソニー・ピクチャーズ・エンターテイメント(DVD)
意外と思うかも知れないけれど、僕はジュマンジが好きです。次々と飛びだす散々な出来事の奇想天外さも見事なら、それら災厄の原因が双六という発想の奇抜さも抜群。それになにより、僕はキルス……じゃなくてロビン・ウィリアムズ好きときている。これだけの要素が揃って、面白くないわけがないじゃないですか。
ストーリーは真新しいものではありません。いじめられがちの少年が、さまざまな出来事をくぐり抜け、勇気と自信を持つにいたるというよくあるもの。けれどこの映画独特の多重構造が、ありきたりさを感じさせませんでした。
ジャングルに送られた少年と、この事件がきっかけで現実から目を背けた少女。そして両親を亡くして以来、外部とのつながりを絶っていた姉弟。このちぐはぐな四人が、怖れながらも危機を乗り越えるうちに、本当の助け合いと慈しみの心そして勇気を取り戻していきます。父の影を越えて一人前の男となる少年の成長物語のその裏に、現状に迷い後ろ向きになってしまった大人の心も叱咤する、現実から逃げず前へ進むことの意味を、コミカルとスリルの間にひそませてしみじみと伝えてきます。
そして、すべてを終えた後に果たされる四人の再開。このシーンが、本当に感動的なのです。本当は知りあう由もなかった四人が、ジュマンジを縁に出会って育んだ友情。それは間違いなく本物だったと思えます。さてここで問題なのが、大人たちは子どもたちを覚えていたけれども、子どもたちはどうなのかということ。もし覚えてないのなら不公平、あんまりです。なので僕はあの子らの眼差しをもって、きっと覚えていると決めてしまう。だってその方がこの映画のラストらしいし、本当のハッピーという気がしてきますから、ね。
公開当時は、SFXのすごさばかりが語られましたが、本当は人の持つ勇気と優しさが光る、さいわいな佳作。素直な気持ちで見れば、きっと心に沁みるものに気付くはずです。
評点:4
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