原題:戦え!!イクサー1
1985年/日本/188分
監督:平野俊弘
発売:パイオニア(DVD)
昔、関西には「アニメ大好き」という番組があって、春夏といった季節の節目に、ビデオリリースされたアニメをまとめて放映してくれていた。そのノーカットという基本姿勢と、スタッフによる紹介、寸評がいかしていた。金のない僕らアニメキッズは、休みが近づくと次のアニメ大好きはなにを放映するのかを心待ちにして、休み明けには思い思いに評価しあって盛り上がったものだった。
僕がまだその道に踏み込んでいなかったころ、まわりの友人達のこの番組への傾倒、とくにそのうちのひとりの熱狂は、僕の興味を掻き立てるに充分だった。彼をここまでに夢中にさせるものに自分も触れてみたいと思い、そしてはじめて見たプログラムが、この「戦え!!イクサー1」。ACT. IIだった。
そのときの感想は今も覚えている。なんと破廉恥でめちゃくちゃな、よく恥ずかしげもなくこんなことが出来るものだ、というものだ。というのも、ACT. IIの冒頭から、ヒロインである渚は全裸で登場してくる。こういったメカ、美少女というのりに、当時の僕は嫌悪さえ抱いた。当時のアニメの中心を担ったジャンルは、まさにこの、メカ、美少女ものであり、イクサー1然り、はたまたダンガイオー然り、アニメは巨大ロボと美少女で支えられていた。
友人のひとりが熱狂していたのは、ほかならぬメカであり大張正巳だった。大張の描くイラストをまねて、イクサーロボやらダンガイオーをみせてくれた。それは今から思い返しても、いい出来だったと思う。その出来を支えたのが彼の熱狂だろう。僕はイクサー1というアニメは愛せなかったが、彼のその熱意は嫌いじゃなかった。
今見ると「イクサー1」はいかにも古くさい。筋もキャラクターも新しさに欠け、人情ものといった風さえある。こう思うことは見なおすまでもなくわかってたのに、それでも見てしまったのは、昔のあいつの熱狂がわずかながらにも残っていたせいに違いない。
評点:2
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