『あずまんが大王』全四巻
あずまきよひこ
(Dengeki Comics EX)メディアワークス,2000-2002年。
どうやら、大きな思い違いをしていたようだ。あずまんが大王、てっきりサザエさん的時間を刻んでいると思っていた。考えれば、いや考えるまでもなく、それは誤りだった。気付かなかったのは痛恨だ。
たしかに一巻では一年生だった。そして二巻で進級、この三巻でも進級した。もちろん、学年は三年生。高校が三年制だということを考えると、当然残された時間は後一年。じゃあ、あずまんが大王って四巻完結なのか!? ショックで寝込んでしまった。
これでもかこれでもかと光る、個性的なキャラクター群がこの作品の魅力である。ならば、その彼女らが卒業してなお物語内時間は続くのだろうか、それが悩みにして、最大の問題なのだ。おそらく彼女らの幾人かは大学に進学し、幾人かは――どうなるのか分からないけど、とにかく卒業後はばらばらの進路を歩むことになるだろう。登場人物をくくっているのはあくまでもクラスであり、そういう点で、これは部活動やなんかに縛られないクラス学園ものなのだ。それが、ばらばら。果たして、それでも面白さは維持されるのだろうか。いや、続いてもきっと面白さは変わらない。重要なのは、ゆかり先生はどうなるのか! ということなのだ。
あくまでもゆかり先生は先生なのであって、生徒たちが卒業したら出番がなくなってしまうではないか。だからといって新しい生徒に総入れ替えではあんまりだ。このキャラクターだから、というわけでもないんだけど、せっかくの愛着のある人たちが去るのはどうにも堪え難い。彼女らの卒業と、それに伴う別れを思うと、夜も眠れず昼寝てしまう。実際、その苦悩と哀惜は自分の高校卒業時以上のものだ。
素晴らしい作品というのはえてして、形式を破り、読者をよく裏切るものなのだから、その偉大なる転換にこそ期待したいところだ。とかなんとかいったところで、どうせなんにもなかったような平気な顔をして、続いているような気がするんだよ。
評点:5+
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