『苺ましまろ』1から2巻
ばらスィー
(Dengeki Comics)メディアワークス,2003- 年。
ロリコン呼ばわり、あらぬ嫌疑をかけられる覚悟でいうと、苺ましまろに出てくる女の子達は可愛くて好きだ。特に人見知りの強くてすぐ泣く子、茉莉なんかはかなり強烈に効いて、それと金髪で妙に育ちのいいアナ・コッポラ。もー、どーしたらええねんっ、て感じになる。いや、なにもしなくていいのは自分でもよくわかってるので、放っておいてください。
苺ましまろに関しては、よくも悪くもあずまんが以後という感触が強く、しかしこれはより以上に周到である。内容は小学生の女の子四人と姉貴分の高校生ひとりが織りなす、なんてことも盛り上がりもない内輪の日常のことを描いたものだ。日常といっても我々の日常とはちょっと違っていて、気ままな興味に引き摺られるままに少しずれて、淡々としたそのずれ方がちょっと面白い。だが周到というのはそれではない。主要人物に可愛い女の子のみを配しながら、そこにあたかも異質な視点をしのばせているという点だ。
可愛い女の子好きの姉貴分と傍若無人な美羽の存在が秀逸である。同性であるゆえに躊躇なく可愛い女の子好きを主張し実行に移すことのできる伸枝と、子供らしい天真爛漫さで通常はばかられることを可能とする美羽は、いわば我々読者の代理人である。彼女らは我々の普段発揮されることのない欲望ないし衝動を具体化しながらも、あくまで表現上は対象と同性であるため表面的には穏健のふりをしている。だが穏当な微温の裏で、我々は簡単に彼女らに視点ひいては心を重ねては、女の子達の世界に入り込むのである。その世界というのはよこしまな我々の理想が作りだした非現実に過ぎず、そのため多分に病的である。そして病的な我々は、病んだ身ゆえに自らの姿に気が付かないようにできている。
だから私はこれを、可愛い女の子好きの女性にだけお勧めしたい。よこしまな意識抜きで読める人に勧めたいのである。つまり男にはきっと読んで欲しくないといっている。
評点:4
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