『「社会調査」のウソ――リサーチ・リテラシーのすすめ』
谷岡一郎
文春新書,2000年。
われわれにとっての情報源のうちで、最も信頼に足るものといえば新聞やテレビニュースといった、いわゆるマスメディアになるのではないでしょうか。その速報性と伝統に培われた紙面、画面に表れるデータ、調査というものは、ついつい鵜呑みにしてしまいがちです。けれど、もしその調査結果が誤ったものだったら? 或いは悪意をもってねじ曲げられたものだったら? 一市民に過ぎないわれわれに、世にあふれているデータ、調査のなかから、信頼に足る本物を見つける術はあるのでしょうか。
この本には、社会に流布している調査、結果というものを鵜呑みにすることがいかに危険であるかということが示されています。新聞社やテレビ局の行っている調査。それがいかにバイアスの掛かってねじ曲がったものか、さらにはいかに手前の論調にあわせてねじ曲げられているものであるかを、これでもかこれでもかと提示される例によって、丁寧に解き明かします。
著者はこういった誤謬や虚偽、流言を暴き言い立てることによって、新聞、テレビといったマスコミ、さらには学者の調査というものの権威を失墜させようというものではありません。この本が目的とするものとは、情報の消費者であるわれわれがそういった情報の渦からゴミを退け、少しでも真実に近づくためのコツや、情報社会における生き抜き方を身に付けることによって、社会調査というものが真っ当に行われる環境を、この国に育成しようというものなのです。
しかし、そんなことはどうでもいいので、一度この本を手に取ってみて下さい。どれだけ自分の回りにある情報があやふやなことと知れるか。この本を一読すれば、あらゆる情報、調査結果にシビアな目を向け、自分にとって有用で確実な情報を取捨選択するためのきっかけとなってくれること請け合いです(この本に対してさえも!)。巷の情報の裏側にある思惑やなんかに思いを馳せるのも面白いものですよ、本当に。
評点:3+
耳にするもの目にするもの、動かざるして動かしむるものへ トップページに戻る