BAHO『BAD HOT SHOW』(UPBH-1077)
雑誌のインタビューにBAHOが取り上げられていたのが発端だ。BAHOというのは竹中尚人(Char)と石田長生によるユニットで、エレアコ二本で見事な演奏を聴かせてくれる。けれどこのディスクを見るまでそんなことはまったく知らなかった。じゃあなんで買ったのか。それは、3弦ベンチャーズという出し物が面白そうだったからだ。演奏をというより珍しいものを見たさ、興味本位が先にたっていたのだった。
しかし3弦ベンチャーズどころではなかった。なにより音楽が素晴らしかった。当初の目的を忘れたように何度も、暇を見つけては見た。それこそ毎週のように一日何回転も見て、これがレコードだったなら、いくぶんすり減っていたかも知れない。
このユニットの面白いところは、真面目と遊びが同居してパフォーマンスを高めているところだろう。冗談をいいあっていたかと思うと雰囲気のあるすてきな演奏があり、けれどどちらも本当なのだ。遊びの中にシリアスがある、シリアスに見せて遊びがある。このバランスはしかつめらしいばかりのステージにはないもので、ゆえに二人の魅力は普通ではない。DVDでこれだけ引き込まれるなら、ライブならどれだけのものだろう。そう、魅力の正体はライブ感覚なのだ。ひとつところにとどまるのではなく、音楽の流れ動いて変化する楽しさに満ちている。歌がいい、当然ギターもいい、出し物もいい、その上しゃべりまでいい。ステージと客席が近く、一体になってかっと熱せられる後半などは、次回こそは是非参加しなければ、そんなふうに心を逸らせる高揚感がある。
さて、3弦ベンチャーズ。これはたいしたものだった。こんな冗談みたいな企画も真面目にやって、真面目といっても遊びに本気なのだ。面白かった。加えてGSメドレーもよかった。もちろん他のどこを切ってみてもよい。はまる人がいるのも分かるよ、と自ら深みにはまって、私は彼らを絶賛する次第である。
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