『ベンチャーズ・45周年スペシャルライブ』
放送:2004年2月15日日曜日16時30分から18時 NHK BS2
サーフィン・サウンドなんていっても今の人はピンとこないだろうけれど、六十年代はまさにこいつが日本中に吹き荒れた。ベンチャーズこそはその代表格で、彼らに憧れエレキを手にしたもの数多。もちろん生まれる前の話だから直接に知るはずもないが、親父がちょうどその時代を経験している。ベンチャーズのレコードを引っ張り出して聴けば、当時のことを(聞いてもないのに)話してくれるのだ。そのせいで、多少ベンチャーズは身近に感じられる。
今年はベンチャーズ結成四十五周年だそうだ。NHKで彼らのライブが放送されるというから、これは珍しいとビデオに録りながら見た。メンバーはまさにオリジナル・フォー、ボブ、ドン、ノーキー、そしてメルの息子リオンなのだから、ベンチャーズファンにはたまらないものがあろう。しかし、直接にその時代を経験していない私のようなものにとっては、正直がっかりするところが多かった。
昔のままというならともかく、皆随分とお歳を召された。なんだか伝統芸能の保存という感じがしたのだった。シンプルなサウンドに、ベンチャーズらしいテケテケの響きは私にしても懐かしく、しかしリードをとるノーキーが随分落ち着いてしまって、若さ、溌溂さが感じられない。ボブやドンは頑張っていると思った。だからノーキーも頑張って欲しい。そんな印象を持ったのだ。
しかし長くやっているということは、それだけでも価値である。溌溂さにかけるとはいった。だがそれでも彼らのプレイには感じさせられるところがある。バラードなんかは、淡々としながらなかなか悪くない。枯れた味わいなのかも知れない。聴き方が変わった。そうして見れば、はっとするものもたくさん見つけた。先人たちは彼らから得たものを開花させていったのだから、ここにもひとつの金字塔はたっているのだ。
だからビデオに録っておいてよかった。後でもう一度見る。もっとよく知れるものがあるだろう。
耳にするもの目にするもの、動かざるして動かしむるものへ トップページに戻る