テレマン「トリオソナタ」の曲目解説

テレマンについて

 Georg Philipp Telemann は1681年、ドイツのマクデブルクに副牧師の息子として生まれた。4歳のときに父を亡くしたテレマンは、マクデブルクとツェラーフェルトそしてヒルデスハイムで初期の教育を受けた後、法律学を修めるため、1701年ライプツィヒ大学に入学した。幼少時から独学で音楽を学んでいたテレマンは、この頃から音楽家としての才能をあらわし、1704年にはライプツィヒ新教会の音楽監督とオルガン奏者の地位を得、トーマス教会のカンタータ作曲を依頼される。またこの時、大学生をメンバーとする《コレギウム・ムジクム》を創設し公開演奏会を催している。1705年プロムニツ伯の楽長としてゾーラウに移り、1708年にはアイゼナハの楽長に就任している。このアイゼナハ時代に、彼はバッハ家と交流を持つ機会を得ている。1712年、帝国自由都市フランクフルトのバールヒュッサー教会の楽長となり、この地の《コレギウム・ムジクム》のために多数の器楽作品を作曲している。その後1721年、終生の地ハンブルクに移り、ここで彼は市の五大教会の音楽に携わる都市音楽監督の地位を得た。この地で彼は、オペラ、宗教音楽、器楽など、あらゆる方面に渡る活躍をしている。

 この当時テレマンは、バッハをしのぐ知名度を有し、また多作の作曲家としても有名であった。作品数は同時代人であるバッハ、ヘンデル両名のものを合わせた数よりなお多い。テレマンの作品の特徴は、当時の作曲規範にとらわれない自由さと、時代を先取りしたスタイルである。バロックという時代にありながら、後に続くロココ様式に通じるスタイルを持っていたテレマンは、そのことからバロックと古典のはざまに位置する、過渡期の作曲家と評されるのである。

作品について

 オーボエ、ヴァイオリンと通奏低音のための変ロ長調のトリオソナタは、1718年にフランクフルトで出版された『六つの三重奏曲集』の第一曲目に収録されているものである。出版年代と出版地から、バールヒュッサー教会の楽長として活躍していたフランクフルト時代の作品と推定することができる。

 トリオソナタはバロック時代を代表するスタイルであり、二つの旋律楽器と、通奏低音によって構成される。三楽章形式のこの曲は、まさに典型的なトリオソナタであり、簡潔にまとめられたなかにアンサンブルのおもしろみが盛り込まれている。

 第一楽章“Vivace”は、オーボエとヴァイオリンによって非常に親しみやすいテーマが対話的に何度も繰り返された後、両楽器のユニゾンで終止する。

 第二楽章“Siciliana”。シチリアーナはシチリア島に起源を持つ8/6拍子の緩やかな曲である。穏やかな情動のなかに、物憂げな表情が見られる。

 第三楽章“Allegro”。跳躍的で軽快な主題を持つ、ロンド形式。オーボエとヴァイオリンに対照的な個性が与えられてる。


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公開日:2000.08.12
最終更新日:2001.09.02
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