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1998年修士論文
テーマの設定と思考の流れ
1998. 4. 21
- テーマ設定
- テーマを設定するにあたり、問題となったことは次の数点であった。
- 学部での論文の失敗
- 論文がオリジナルなものでなければならないという圧力
- オリジナルを追及するということは、論文全てを自己の手により、まったく新しいものとして書かなければならないのではないかという強迫観念。
- まったく新しいものを作り得ないのならば、非オリジナルに撤するべきという考え
- 現在作られているテレビアニメの下らない要因
- オリジナルを目指さないといいきる製作サイド
- オリジナルを目指さない手法としてのパロディ、引用
- ガイナックス(主にアニメを製作する会社)創設者である岡田斗司夫氏のインタビューより1
- 上記に共通する問題点
- オリジナルという概念の誤った捉え方
- オリジナルをまったく他に依存しない、製作者独自のものとして捉えている。
- aから、引用等を行うことはオリジナルであることに反するものであるという考えが導かれ、
- 結果、オリジナルを追及するならばまったく新しいもの、それができないならば引用等で作る非オリジナルを求めるという、極端に陥っている。
- Bの、オリジナルでなければならないという重圧が製作に及ぼす影響は、音楽の製作においても適用できるのではないかという可能
- オリジナル概念と音楽の関係について、昨年の作業のまとめ
- 19世紀に芸術家に対して付与されたイメージ
- 天才の概念
- 民族の英雄としての芸術家
- 新しい領域を切り開き進むものが真の芸術家とされる
- 上記の要因が今世紀の作曲家に重圧を与えたのではないか
- 過去を乗り越えなければならないという義務
- 新しいものを生み出していかなければならない
- その半面伝統よりの逸脱は否定されていた
- この様な重圧の中で芸術家は
- 偉大な過去を乗り越えることの困難さを感じ
- その偉大さは19世紀に作り上げられてきた経過がある
- 新しいものを求めるならば結局
- それまでの芸術を否定して
- まったく別のものを目指す、
- 極端な前衛的活動
- 実験的活動 に至ったのではないだろうか。
- 当初は
- 上の考えのプロセスをシェーンベルクの「十二音技法」に当てはめようと思っていた。
- しかし、彼らの行ったことはこの時代に特有のことではない
- プリミティブな様式や混沌とした作法に、作品統一の原理を見いだし、発展させる形で進んできた西洋音楽
- ルネサンスにおいてのカノン
- バロックにおけるフーガ
- 古典・ロマン派におけるソナタ 等
- むしろオリジナル概念はシェーンベルク以後の両大戦間から戦後にかけて行われた、実験的芸術活動に深く関わるように思われる。
- 20世紀中庸にいたり、よりクローズアップされるオリジナルということ
- オリジナルが個人的と非常に近く考えられるようになっている
- 西洋音楽の創作力の枯渇ということがいわれたのは、この頃ではなかったか
- 実験、前衛の芸術家による、独善的に走りすぎる嫌いのある活動
- まとめ、及びこれよりの実作業
- 20世紀に入ってからのオリジナル概念変容の推移を見る
- 実験的芸術活動の把握、及びその方向性の分類、理解
- 実験的芸術家の持つオリジナル概念や芸術家像を認識する
- 両大戦間、戦中戦後の社会情勢の理解
- それらの芸術と、オリジナル概念の関わりを見る
1 1996「NEW CREATORES FILE 岡田斗司夫」『MacPress
vol.55』株式会社サクレ:大阪
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