もっと気楽に

 今日、仕事の帰り道、池沿いのベンチにてギター弾く人を見かけて、思わず足を止めた。近づいてみれば、歌を歌っている。ギターは小振りのYAMAHA FG。ショートスケールの柔らかい音が良い雰囲気を作っていた。肩肘はらずに、ただただ歌う姿。私を始めとして、ギタリストというのはどうしても技巧技術をしっかりしようと思うみたいだけれども、歌うんだったらそんなことはどうでもいいのかも知れないと思った。簡単に、軽い感じのストロークでもって歌われる歌の心地よさは実際本物で、私は本当ならうた歌うためにギターを始めたというのに、すっかり道を違えてしまったなあ。そうか、ああいう風に歌っているほうがずっといいじゃんかと、そんな風に思った。

 話しかけてみれば、ライブハウスやレストランなんかで歌ったりしているとのことで、そうだね、実は私もいわれてるんだ。どこかで歌ったりしないの? もしやるなら教えてね、聴きにいくから。でも私はまだそこまで技術がないからと、もう少し弾けるようになってからといって、そうした方向に向こうとしていない。間違ってたかもなあ。私はギタリストではなくて、歌う人になりたかったんだから、少しずつでも歌っていけばいいじゃないか。それをギターの深みにとらわれてしまって、けれどそろそろ初心を取り戻してもいいんじゃないかな、なんて思った。

 でもギターはギターで面白いものなあ。歌もいいけどギターも弾ければきっといい。こればっかりは、しかたがないもの。ギターの深みにはもう少しつきあうつもり。けど、もう少しが一生になってしまったりしてね。私の場合、そんな予感がひしひしするのさ。


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公開日:2006.07.10
最終更新日:2006.07.10
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