気がつけば、今年に入ってからまだ一度も弦を替えていない。これでなんとかなっているのは、トータルでの演奏時間が少ないということもあるのだが、それでももちろん弦は劣化している。そう、気にせずそのまま弾いているのだ。顕著なのは第1弦、響きをかなり失って、そのまま生の音が前面に出てきているというような感触。なのにそのまま弾いている。弾けているといってもいいか。高音弦ならずともすべての弦が衰えているだろうのに、それでもそのまま弾いているのは、和音、コードを鳴らした時に、特に支障を感じないからだ。いや、弦を張り替えれば、全然違うと知るだろう。そうとわかりながらも、今の時点では、問題らしい問題もなく、気持ちよく弾けている。ああ、この気持ちよくというのがなによりだと思うのだ。
響きはしっかりとあるのだ。爪は短めに整えて、指の腹使って、しっかりしっかり弾いていく。そういう癖をつけてやれば、弦は底から鳴って、楽器自体にその振動を伝えるように思うのだ。そういう風に鳴らしてやれば、和音、コードは広がりを持って響くようになる。加えていえば、先ほど響きのないといった高音弦も、悪くない鳴り方をするのだな。それが自分の気のせいか、それとも本当にそのように鳴っているのか、それはわからない。しかし、やはりさっきもいったように、気持ちよく弾ける、それがなによりのことだと思う。
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