私の使っている弦はJ. D'AddarioのPhosphor Bronze、ライトゲージである。このフォスファ弦というのは材料に燐が混ぜてあり、そのせいで音が華やかである。けれど燐を混ぜはじめたのは、弦の寿命を延ばそうというためだったらしい。つまりフォスファ弦は普通のブロンズ弦よりも長持ちする。
長持ちする、はずなのだが、私の使ってみた感じではたとえそれがフォスファ弦であっても三週間が限度、気持ちよく弾こうと思うと二週間で替えるのがよいと思われる。
二週間を超えようとするころから明らかに弦は張った当初の響きを失いはじめ、弦自体の音が勝るようになってくる。この音というのが少々タイトで、その音色自体は悪いとは思わない。これは好みの問題なのだが、張りたての音より寿命ぎりぎりの鳴りのほうが好きだという人もいて、おそらくそういう人はこういうタイトな鳴りを好むのだろう。
けれど自分が弾く分になると、やはりもっと響きが欲しいと思う。タイトな鳴りといえばそうではあるが、鳴り自体が乏しい結果の音とも言えるのである。だからこの状態で響きを求めようとすると、どうしても指の力で弾かなくてはならなくなる。無理な力が入って、その状態でなれると次に弦を替えたときすぐには響きをコントロールできないほどだ。
だから私は弦は二週間をめどにして替えたほうがいい。二週間で十四日、弦の寿命はだいたい演奏時間トータルが二十四時間という話も合って、一日一二時間の練習なら二週間が交換の目安というのも納得がいく。けれど土日にはありったけの時間を費やしてギターを弾いているので、それを加味すると本当は一週間で替えたほうがいいという話になるのだが……
今、右人差し指の爪が痛い。これはきっと鳴らない弦を鳴らそうとして、無理した結果と思うのだが。実際のところは分からないが、やっぱ弦は新しいほうがいいよ。畳よりも、女房よりも。