私はフィンガーピッカーなので右手の爪は伸ばし気味である。だが前歴はサクソフォニストだったので常に爪は短くしていた(長いとキーの白蝶貝を削ってしまうのである)。さらに前歴はへたなピアニストだったため爪は常に深爪気味であった(長いと先生に怒られるのである)。ギターのために若干伸ばし気味にして早半年を数えようとしている。

爪のかたち

 ギターを指で弾くとなると、スチール弦のアコースティックギターとなればまず爪は伸ばすことになるだろう。クラシックギターでも最近ではまず伸ばす。ただ漫然と伸ばしゃいいってもんじゃない。爪のかたちが音質に影響するのである。

 だもんで大抵のギターの本には理想的な爪のかたちというページがあったりして、私が主に参考にしたのはアベル・カルレバーロの『ギター演奏法の原理』。ちょっと難しめだけれども、姿勢から指の弦への角度から弾弦時の指関節のあり方から、とにかくギター演奏に関わる要素が事細かに、しかし実に納得いくかたちで書かれていてお勧めの一冊だ。現代ギター社から出ている。たったの2,400円。これははっきりいって安い、買いである。

 爪は長くしすぎると音が痩せるので、そこそこ短めにしといたほうがよいらしい。指先から一二ミリほど爪が出るくらいの長さで真横一直線に真っ直ぐ削る。その後爪の左右を少し斜めに削るのだそうで、この左右を落とすのは丸みを帯びている爪の両端を切り落として、弦に触れる部分を平らにするというのが目的だ。

 この時左右を落としすぎると爪の弦に触れる部分が小さくなってしまって、やっぱり音が痩せる。弦に触れる部分はできるだけ広く平らにというのが基本で、後は適当に自分の指、爪に応じて工夫すりゃいいんだろう。

私の場合

 半年間爪のかたちと格闘してきた結果、現時点での結論はやはり爪先は可能なかぎり広くである。尖端が一直線になるように、そして両端は丸く、落としすぎないようにする。全体的に四角い印象のある爪である。

 長さは短めである。最初よく分からないうちは伸ばし気味にしていた。すると弦への引っ掛かりが強くなりすぎて、あるいは爪ばかりで弾いて指先では弾弦しないような傾向が強まってきて、これはまずい。爪を一気に削ったのだった。

 知り合いのギタリストの指を観察すると皆総じて短めである。ひとりはギター科学生男性、ベースも弾く、長身でちょっとかっこいい、好みである。もうひとりは声楽科女性、クラシックギターは趣味、ちょっと小柄で可愛い、好みである。ふたりの爪はそれほど長くなく、尖端は多少丸みを帯び、指先のRに沿った感じだった。でもよく手入れはされていた。また今度見せてもらおう。

 私の場合薬指の爪が問題で、人差し指中指に比べて丸みが強いのだ。尖端が平らになるよう両端を削ると、どうしても削り過ぎということになってしまう。寝ている間に指に万力をかませて爪を平らにしようかと考えても、そんな無茶な話はない。薬指は人差し指中指に比べ弱いので放っておいても音が痩せ気味になる。まあ弾いてるうちになんとかなるだろう。対策は今のところ講じないでおく。

爪を伸ばして変わったこと

 爪を伸ばしてから生活が不便になった。

 なにかものをとろうとする。今までの調子で手を伸ばすと、爪が触れるのである。いらいらする。これまでは指先がまず触れたのに。爪も痛めば本も傷むじゃないか。とのことでいらいらを押さえるための白手袋装備の日が続いた。

 キーボードが打ちにくいのである。爪がキーに当たってかちかちいうのである。いらいらする。爪も痛めばキーも傷むのである。しかし手袋をすると打ちにくい。キーボードは消耗品と考えよう。そもそも私は左手重用派だから、右手はそもそもあまり使わないし。

 茶碗を洗いにくくなった。指先が茶碗、食器表面に触れず、爪先ばかりが触れるのである。これはすごく洗いにくい。世の爪を伸ばしている女たちはどうしているのだろう。食器洗う以外にも、なににしても家事には不便な爪である。


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公開日:2003.03.15
最終更新日:2003.03.15
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