風呂上がりに弾くウクレレ

 最近、風呂上がりにウクレレをちょっと弾くようにしてる。ほんの十分十五分、場合によっては三十分くらい。なんでか? 風呂に入ってほぐれた体と気持ちには、ギターよりもウクレレの方があっているからだ。いや、これはちょっとだけ本当。いい感じに力が抜けて、ウクレレをバリンバリンとではなく、ポロンポロンに近く弾くことができる。

 でも、それだけじゃないんだよね。

ウォームアップに向いてるウクレレ

 ウクレレはウォームアップに向いてる感じがする。風呂から上がったすぐは指先がふやけて柔らかく、そんな指にはウクレレのナイロン弦がやさしい。簡単にチューニングをして、適当に弾いてみて、コードがきれいに響かないもんだから(簡単で適当やったからね)、改めてきっちりチューニングをし直すのがいつものパターン。

 適当に思いつくままコードを押さえかえながら、ストロークで弾いていく。できるだけ軽く音が鳴るように、弦の表面を指先がなでていくイメージで弾いていく。そうしているうちにまたチューニングが狂ってくるので、なおしては弾きなおしては弾きで、風呂から上がった後の火照りがとれたら、ようやっとギターを弾きはじめることになる。

ウクレレの効用

 こうしてからギターを弾くようにすると、結構いろいろいいことがある。

チューニング

 チューニングが楽に感じることが一点。ウクレレはギターよりもチューニングがシビアで、音程が甘い(いやこれは奏者が悪いのか)。弦長がギターに比べ圧倒的に短いウクレレは、ほんの少しの加減の違いが大きな音程の違いとして現れてくるので、ウクレレで鳴らしてからギターを弾くと、その音程の安定した様に感動を覚えるほどだ。ウクレレで四苦八苦していた分だけ耳が鋭くなっているので、チューニングも楽に感じる。

響き

 そしてもう一点は、響きに関してだ。

 ギターに限らず楽器というものは、力任せに弾くと響かないようにできている。楽器が持っている内側のバランスのなかで、無理のないように効率のよい振動をするようなエネルギーを与えてやると、本来の鳴りが得られるのだ。だのに、分かっていても無理に力を加えて弾いてしまう。これでは本来の鳴りが得られないばかりか、変な癖を楽器に付けてしまいかねない。

 ウクレレはギターに比べると鳴らない。弦が短く、張力も弱く、共鳴胴も小さい。それをうまく響かせようと思うと、なおさら力任せではいけない。軽い力で、効果的に弦を振動させ、その振動を響胴に伝える。これはもう理屈やなんかではなくて、弾いていると自然に分かることだ。逆にいえば理屈で弾いても楽器は鳴らない。弾いているなかで響きの勘をつかみ取ってやらない。手習いという所以である。そしてこうして得る感覚は意外と他の楽器に応用が利くからうれしい。

 ウクレレを弾いた後だと、ギターを無理せず鳴らせることに気付く。大きな音を得るために力をたくさん加えるのではなくて、楽器が持つ響きを自然に感じ取ることができるようになっている。絶対的に音量は乏しいのだが、響きは大きく得ることができるようになっている。

 まずはこの感覚を得て、徐々に無理のないように音量を増大してやると理想的だ。だから、その前段階として私はウクレレを弾く。その次はギター。すべては繋がっているのだ。


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公開日:2003.10.01
最終更新日:2003.10.01
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