ETTEILLAを読む

GRAND ETTEILLAのカード枚数

 先日訳出を終えたGrimaud版GRAND ETTEILLAの枚数は七十八枚であり、一般的なタロットと同数である。これはCARTOMANCIE版のGRAND ETTEILLAでも同様で、一般に我々が手にすることのできるGRAND ETTEILLAは七十八枚ということになる。しかしGrimaud版の箱書きを見ると、表に「説明書つき七十八枚のカード」と明記しながらも、側面には百十八の図像の図像という矛盾した記述が発見される。

 訳出した当初にはその存在を知らなかったのだが、GRAND ETTEILLAとは別にPETIT ETTEILLAというデッキが存在している。現在のトランプに似たデザインであり、この二種類大小のETTEILLAを足せば百十八枚なのかといえば、ことはそう簡単ではなかった。

 PETIT ETTEILLAもGrimaud社から復刻版が出版されており、購入することが可能である。しかしカードの説明に現れる枚数は三十二枚とされており、その構成は現時点ではつかめていない。スペード、クラブ、ハート、ダイアモンド(♠, ♣, ♥, ♦)の各スートに一から十までの数札と絵札(コートカード)が存在することはトランプに同じなのだが、数札だけを数えたとしてもどうしても三十二枚にはならない。絵札としては小姓と王が確認されており、なおさら数が合わない。数札だけで四十枚、絵札が、トランプと一緒だと十二枚、タロットと同じなら十六枚ないといけない。五十二枚ないし五十六枚あるはずのPETIT ETTEILLAが三十二枚というのは、欠損があるのだろうか。

 占いに用いられる札として、もう一枚第一番のカードがある。No. 1 Etteilla ou le Questionantと書かれたカードは、GRAND ETTEILLAにおけるコンサルタントであろうか。Questionantとは動詞questionner(質問する)に、〜する人を表す接尾辞-antが付けられて、質問者というほどの意味であろうか(私の小さな辞書には載っていない単語である)。そうだとするとこのカードの機能はコンサルタントとほぼ同一と見るのが正しいかと思われる。

 ともあれ、GRAND ETTEILLA七十八枚にPETIT ETTEILLA三十二枚を足しても百十枚にしかならない。Etteillaあるいは質問者のカードを足しても百十一枚、七枚足りない。仮にPETIT ETTEILLAの総数がトランプと同枚数と仮定すれば、百三十枚となって今度は多すぎる。

 カードを見ているだけでは、箱書きに見られる百十八枚の典拠は明らかにならない。Etteillaの本を読むべきなのか、あるいはあえてPETIT ETTEILLAを入手すべきか。日本語での資料が少なすぎるのは、我々日本人がEtteillaに向きあおうとする際の最大の弱点と再認識することとなった。

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公開日:2003.09.05
最終更新日:2003.09.05
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