今さらながら、iTunes使っててなにが便利といっても、CDDBが便利だと思う。CDDBの恩恵はもちろんiTunesにかぎったことではないのだけれども、ネットワークにさえつながっていれば利用できるというそのオープンさ、そして収録データの豊富さ。CDDBは、あまりに当たり前に感じるくらいに身近になったために、ほとんど意識されることのないサービスであろうと思うが、情報を共有するということの意義、メリットを本当に実感できる。
iBookのCDドライブにオーディオCDを挿入すると、自動でiTunesが起動して、CDDBから曲情報を検索する。この検索性というのはたいしたもので、結構出て来るんだわ。もちろん今まで読み込んできた中で、どうしても見つからないようなものもあるが、それよりも見つかるもののほうがはるかに多いのだから、ちっとも気にならない。むしろ、見つからないものがあったら率先して曲情報を入力し、送信しようと思うくらいのもので、こういうユーザーが何人もいるから、このデータベースはここまで育ってきたのだろうと思う。
けど、CDDBの弱点は、情報の入力を有志に頼っているというところでもある。あまりに情報の精度がまちまちすぎるのだ。これは、ポップスなどでもあることだが、演奏者以外にきちんと作詞作曲者まで入力されているのがあると思えば、どう考えても適当に打ち込んだとしか思えないようなのもたくさんあって、コンピレーション盤とかでアーティストがVarious Artistsにされていたりすると、とりあえず脱力する。
しかし、こうした情報のばらつきで困るのは、断然クラシック音楽だろう。というのは、クラシック音楽は1トラック1曲というように対応していないものが多いため、例えば交響曲を考えてみればわかるが、交響曲何番という曲名があって、そこに楽章がだいたい四つ入っている。普通CDでは、楽章毎にトラックが分けられていて、だから厳密に曲名といえば交響曲何番と入れるべきなんだろうが、楽章に関する情報も入っていないことにはわけがわからない。だから私は全部入れるのだが、人によってこのいれようがまちまちで困るのだ。
人によっては、曲名に交響曲何番というのを入れ、アーティストに楽章の情報を入れているようで、こういうやり方で入力されているCDは実にたくさんあって、これには閉口した。だってさ、こちとらCDの情報をとるのが目的ではなく、iTunesにてオーディオデータを管理するためのメタデータが欲しいんだから、アーティストに楽章の情報なんて入れられたら、分類やソート、抽出が厄介で仕方がない。だからちまちまと修正する。アーティストに入力されていた楽章情報を、曲名に移していくわけだ。そして最後に、演奏者をアーティストに入れて、ようやく読み込みの準備が整う。まあでも、一から全部入力することに比べればずっと楽だから、文句は言えないとも思う。
アーティストに作曲者が入っているのも困る。いや、別に手持ちの曲が少ないならそれでも問題はないのだろうが、なにしろ二百五十もクラシックCDがあれば、演奏者違いで同じ曲を持っているというのは当然のように起こる。それがもしアーティストとして作曲者が入っていれば、フルトヴェングラーもカラヤンもクリュイタンスもブルーノ・ワルターも、一緒くたにベートーヴェンにされてしまう。
これじゃ困るのだよ。お、この演奏いいジャンと思って確認したら、アーティストがベートーヴェンになってる。うわあ、自作自演録音かよ!
せっかくちゃんと作曲者のフィールドがあるのだから、作曲者は適切なところへ入力して欲しいものだと思う。
曲名に楽章が入っている。それはいいのだが、楽章しか入っていないというのも困るのだ。
シャッフルで聴いていると思いねえ。おお、こりゃいい曲じゃんかと思って曲情報を見れば、第1楽章と書いてある。ぐわあ、それじゃなんにもわかんないよ。アルバムに交響曲やソナタが一曲しか入ってないならともかく、普通にピアノソナタ集とかいって、一枚に三四曲入っていることもざらだから、これで楽章だけしか書かれてなければ、本当に手も足も出ない。
第1楽章だけに曲タイトルが入っていることもあって、こういう場合は、全楽章にそれをコピーしていく。しかし、本当に楽章情報だけの場合もあって、こういう場合はもう仕方がないから、一から全部入力していく。だってよ、アルバムタイトルがピアノソナタ第何番、第何番&第何番ってなってて、それで曲名を見れば、
ってなってる。これは、いくらなんでもひどいよ。だから、全部入力しなおして、こういう場合にかぎっては、CDDBに情報を送信してきた。
これまでCDを次々読み込んできて、私の基準というのがだんだん固まってきた。まず入力言語。基本的に曲の情報は英語で入れる。ハ長調ならin C majorと入れる。それがベートーヴェンだからといってC-Durにはしない。これは他ユーザーの利便を考えてである。
基本的に番号は全部入れる。ソナタの番号があればそれも入れる。作品番号があればもちろん入れる。楽章の番号ももちろん入れ、次いで速度記号、発想記号も入れる。すると次のようになるだろう。
長い。いやになるほど長い。けれど、情報が落ちることを考えれば長いほうがましだ。そんなわけで、私のライブラリはやたらごみごみして見通しが悪い。
アーティストは、できるだけきちんと入れるように心がけた。協奏曲なら、独奏者を入れ、指揮者を入れ、オーケストラを入れた。けれど、例えば独奏者が四人いて、オケに合奏がつくような場合は、さすがに断念したこともある。けれど余裕があれば、それらも全部入れた。だから、非常に見通しが悪い。
それで、作曲者にはLudwig van Beethovenと入るのだが、困ったことにだ、Ludwig Van Beethovenといれている人がいたもんだから、iTunesによる自動補完が働いて、LudまでいれるとLudwig Van Beethovenと入ってしまう。なおそうとしても、修正される。とても困る。けれどこれはもう仕方がないと思って、気持ち悪いけれど、Vanの頭は大文字のままほうってある。もし本当にきちんとやろうと思えば、スマートプレイリストで作曲者がベートーヴェンの曲だけ抽出して、一括で変更すればいい。
とにかく、自分のわかる範囲で曲情報を入れていって、本当に疲れた。ライナーノートに日本語でしか書かれていない場合は、Webで探して最も妥当と思われるものを入れたが、それもまた大変で、何十分もかかったりするんだよ。だから、日本語のままになっている曲もたくさんある。
そんなわけで、結構いい加減な私のライブラリ。ポリシーは、曲が単体であってもきちんと同定できるということ。日本語でも英語でもドイツ語でも、自分が見て曲名、楽章、演奏者、作曲者がわかればそれで充分とした。
だから結構適当。けれど最低限のラインは守ったと思う。守ったんじゃないかな。けど、漏れも多いと思うよ。