フロッピーディスクから起動可能なDOSでは、Windows NT系OSが標準としているNTFSフォーマットのディスクを読むことができない! とのことから、Windows 2000/XP時代の緊急ディスクは、CD-ROMからブート可能なLinuxディストリビューション、KNOPPIXに決まり、というお話を以前しました。
では、実際にKNOPPIXを使ってみて、その感触はどうであったのか。今日はそのレポートです。
自宅にはKNOPPIXを使えるコンピュータがなかったので、実際にKNOPPIXを利用する場所、職場において試してみることにしました。試すのは、自分に割り当てられているノートタイプPCで、えーと、日立製。メモリは256MB載っていて、ディスク容量とCPU種別は知りません。いやいや、私は基本的に、そういうスペックには興味がないんですよ。わかるスペックならいくらでも調べますけど、ペンティアムとかセレロンのクロック数がいくらだからどういう風に速いとかどうとか、どうもピンとこないものでして、だから調べてもわからないことはそもそも調べようと思わない。いやはや、まったく役に立たないレポートで申し訳ないです。
BIOSからブートシーケンスがFD->CD->HDの順になっていることを確認して、KNOPPIX CD-ROMをドライブにセット。BIOSを抜ければ、確かにCDからLinuxを立ち上げようという運びになっているのがわかります。
と、そこで起動シーケンスにはいらないのでなんでだろうと見てみると、ブートのパラメータを要求してるんですね。そういえば、動作実績にも起動時のオプションのどうこうというのが書かれてましたね。けど、まあ、起動するかどうかわからないはじめてのコンピュータであるわけだから、オプションなしで試してみました。
いや、KNOPPIX、すごいですね。ディスクは問題なく認識されるし、ネットワークカードも問題なく見付けて、USBとFireWireもちゃんと検索してくれるんですね。さすがにCDからのブートなので時間はかかりますが、問題なくLinuxは起動。その後、各種設定ユーティリティが自動で動いて、いやはや驚きました。ちゃんとデスクトップまでたどり着きましたからね。こりゃ、使えますよ。
デスクトップまでたどり着いたら、後はもう普通にアプリケーションを利用して、文書を開くのもよし、作成するのもよし、これは確かに使えますよ。
アプリケーションはOpenOffice.orgやGIMPなど、オープンソースアプリケーションの主要どころがそつなく用意されていて、いや、実際普通の利用では困ることないんじゃないでしょうか。XEmacsもVimもはいってるし、Webブラウザに関してもMozillaがはいっていて、もう本当になんの問題があるんだろうかという布陣です。ファイルマネージャはKonquerorが採用されていて、これはWebブラウザとしても機能します。いや、実際充実の環境で、感動しました。
デスクトップに並んだディスクアイコンをクリックすれば、Konquerorが開いてディスクの内容が表示されるのは当然ですが、なにがいいといってもNTFSを読めるというのがいいですね。私の使っているPCは、CがNTFSで、DがFATでフォーマットされているので、仮に起動しないという状況になれば、データをDに退避するというやり方が使えそうです(でもファイルサーバ使ってるから、そんな必要ないんですけどね)。
KNOPPIXは残念ながらNTFSを読めるだけで書けないということなのですが、もしそうだとしても、外部ドライブを利用してデータの確保は可能かも知れません。少なくともUSBマウスは使えているので、USBのハードディスクなら読めそうな気がします。なるほど、これだと外部ディスクをひとつバックアップ用途に持っておけば、緊急時にも利用できそうで、Windows CDをお持ちでない方はKNOPPIXを用意しておくべきだろうという思いを強くしましたよ。
普通にディスクも利用できてネットも利用できてという、なかなか充実した環境が得られるKNOPPIXです。私、ちょっと思ったんですが、これってWindowsを置き換え可能じゃないでしょうか。例えば企業等で、多くの端末を管理する必要がある場合などにですね、CD-ROMブートするLinuxを使っていれば、勝手にアプリケーションをインストールされることもないし、起動ディスクの不調による問題も激減すること請け合いで、いや実に理想的なんじゃないかと思いましたよ。
業務に必要なアプリケーションなんて、OpenOffice.orgがあればほぼすべて賄えるのであって、GIMPがあるから画像の操作も問題なし。じゃあ後なにが必要なんだ、いってみろって気分になります。データの保存にはファイルサーバを利用して、グループウェアやなんかはブラウザベースに移行すればいいんですから、KNOPPIXで困ることってまずないように思えます。
でも、やっぱりWindowsじゃなきゃ使えない、っていう人がいるんですよね。私なんかはこういう人を理解できないんですが、コンピュータなんてやりたいことの目標、目的が決まってれば、なに使っても変わらないと思うんですよ。いや、そりゃ個別の操作、使用感の問題があるということは理解しています。けれどそれは、OSじゃなくて個別のアプリケーションの問題だと思うのです。
私は、自分の用向きにはMac OS Xを使っていて、職場ではWindowsを使いますが、これが別にLinuxになってもDOSになっても、まあなんということもなく使うでしょう。けど大半の人はこれができないらしい。なんでなんだー、と思うんですが、きっとこれって思い込みですよ。こういう思い込みから脱することができれば一気にコンピューティングの視野と可能性が広がるのに、多くの人は損をしていると思います。