なんだかこのところCotEditorの評判を耳にすることが増えて、ちょっと試してみようかなという気になった。
私がCotEditorを知ったのは、BathyScapheの開発者であるtsawada2氏が使いだしたというそういう話からだったのだが、氏が日記で取り上げたこともあり、ちょっと気になっていた。
私は長くmiを使ってきたので、正直最初は乗り換えるつもりはなかったのだが、それでもCotEditorを試してみようかと思ったのは、miに対して不満が多少あったからだ。miに対する不満とは、キーバインドを用いたカーソル移動である。
Mac OS XネイティブであるCocoaアプリケーションでは、Emacsのキーバインドが有効であることは以前にもいったと思う。私はOS Xを導入したときに、できるだけCocoaベースのアプリケーションを使おうと考え、それを実行に移した今、私が使っているCarbonアプリケーションはmiとMacromedia Studioだけである。こういう状況での利便を考えると、Emacsのキーバインドに慣れているほうが有利である。そのため、私はWindows環境で使うテキストエディタをEmacsにかえた。結果、私の指はEmacsのキーバインドにすっかり慣れてしまって、miのキーバインドもEmacs風にしてしまったほどだった。
Emacs風にしたのならそれでいいじゃんという感じがする。しかし、miのキーバインドには一点不満があった。それはControl-Eの挙動だ。Control-Eはカーソルを行末に移動させるのだが、この行末の考え方に違いがあった。EmacsおよびCocoaアプリケーションにおける行末とは論理行末である。見た目の改行は関係なく、改行コードまで一気にカーソルを移動させる。しかしmiでいう行末とは物理行末であり、見た目の改行に影響されてしまうのだ。
この違いは意外に大きく、特に私は論理行末への移動を多用するほうだから、miを使っていると多少フラストレーションを感じないではなかった。もしかしたら行の考え方を論理物理に切り替えるオプションもあるのかも知れないが、私は見つけられていない。miでは物理行を行と考え、論理行は段落とするようであるから、キーバインドにキャレット段落末移動があればよかったのかも知れない。
そしてもうひとつ不満があった。それは多言語環境に関する不満である。
私はフランス語を使う機会があって、それはつまりアクセント記号付きの文字を打つということであるのだが、日本語を編集している途中にこうしたアクセント記号付きアルファベットを入力すると、miでは文字が化けてしまうのだ。
次の例を見てもらえればわかるのではないかと思う。
見ていただければわかるように、miではアクセント付きアルファベットが表示できていない。多言語サイト運営の手伝いをしている私には、これでは少々不便であり、これまではhtmlファイルの編集にDreamweaverという重量級ソフトを使う必要があった。
Cocoaアプリケーションの便利は、もうひとつあったな。それは、OS Xの提供するスペルチェック機能を使えるというところだろう。
先ほどのCotEditorでの表示例を見てもらえれば瞭然であるが、英語のスペルの下に赤い破線が引かれていることがわかると思う。これは私はスペルチェックで使う辞書をフランス語にしているためなのだが、この入力時のスペルチェックというのは思いがけず便利で、私はちょっと手放せそうにない。
これまでは、スペルチェックを受けたいときにはテキストエディットを使っていた。ところがテキストエディットにも不満がある。こいつはリッチテキストをサポートするので、うかつによそからテキストを持ってきて貼り付けたら、フォント情報までくっついてしまって、しかもそれ以後がそのフォントに影響されてしまう。いや、ペーストしてスタイルを合わせるがあるのは知ってるよ。けどこのショートカットったらなんだい。Command-Option-Shift-Vはいくらなんでも使いにくいだろう。だからといって、標準テキストにすると字が小さくなって、アルファベットも痩せてしまって(アンチエイリアスがオフ)、いちいちフォントなんて変更してられない。だから、テキストエディットはあまり使いたくないんだ。
あ、そうそうテキストエディットの一番の問題というと、htmlファイルを開くと、展開してしまうところじゃないだろうか。htmlの編集をしたいのに、展開して開かれてしまうんじゃ意味がない。正直この挙動にはまいったよ。
と、そんなわけで、ちょっとCotEditorを使用中。使ってみれば、シンプルなルック&フィールで悪くなさそうな感じである。
これがないとちょっと不公平だと思うので。
現状におけるCotEditorに対する不満といったら、改行コードを一文字と勘定してしまうことだと思う。私は文字数を決めて書くことがあるが、こういうときは改行コードは文字として数えないので、このへんの扱いはオプションで切り替えられるといいなと思う。
あとは、文字数での折り返し設定ができると、論文書くのにも便利そうかも。まあ、私はもう論文なんて書かないからいいんだけれど。