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タブブラウジングに宗旨替え

 皆さんはWebを閲覧するときに、一枚のウィンドウだけで済ませる派ですか? それとも複数のウィンドウを開いて、次々見ては閉じていくスタイルでしょうか。以前、Webブラウザを取り巻く閲覧スタイルの違いといえば、この二種類に集約されたのですね。一枚のウィンドウで済ませるという人は、主にWindows OSで、ブラウザウィンドウを最大化している人によって占められて、対してMacintoshにはウィンドウの最大化という概念がありませんから、必要なだけウィンドウを増やしてちりばめるというスタイルもやりやすかったのです。

 けれどこの二大派閥に新たな一派が加わって久しいです。最小限のウィンドウで複数のページを開きたいという欲求を満たす、タブブラウジングというスタイルがブラウザシェル製作者によって提示されて、今や最大派閥となるような勢いで広まっています。

 けれど、私は長くタブブラウジングの有用性というのを感じていませんでした。

複数ウィンドウを開くわけ

 私がWeb閲覧に際して複数のウィンドウを開くのには、やっぱりそれなりの理由がありまして、それは複数のWebページを並べて比較するであるとか、あるいはWebページを参照しながらエディタで文章を書く、コピー&ペーストも楽ということがありました。そもそも、私が見るようなサイトというのはあまりウィンドウ幅を要求しないので、ウィンドウを複数開いておくには都合がよかったといえますね。

 最近のサイトでは、表示領域の許すかぎり、ナビゲーションやら広告やらを詰め込むというのが普通になってますが、昔のサイトというのはそんなことありませんでした。ナビゲーションに関する要素は、ページの下部にインデックスに戻るとかホームに戻るとか、そういうのがつけられているだけで、ちょっと気の利いたサイトだとパン屑リストがつけられている。ちょうど皆さんがご覧になっている、このページみたいなのが普通だったんです。これは当然、ディスプレイサイズが小さかったのが原因なのですが、その後モニタや液晶ディスプレイがどんどん安くなっていくにつれて、つまりウィンドウサイズを大きくとれるようになってくるにつれて、いろいろな要素がページ内に詰め込まれるようになってきたんですね。

 たくさんの要素がページ内に詰め込まれると、狭いウィンドウでは閲覧しにくくなります。横スクロールバーがでてしまうからなんですが、これって結構ストレスで、だから私はちょっと凝ったページを作らなければならないときは、横幅がウィンドウサイズに追随して変化するように工夫します。よっぽどウィンドウ幅を小さくされるとさすがにきついですが、それでも可能なかぎり横スクロールバーを出さないよう心がけます。と、こんな私ですから、見に行くサイトも同じような考え方のところが多くて、おかげでウィンドウを大きく開かないといけないということはありませんでした。縦長のウィンドウを複数開いておくというのも、別段問題ではなかったのです。

タブブラウジングの目覚め

 そんな、かたくなな複数ウィンドウ派の私がタブに目覚めたのは、Windows環境におけるFirefox導入がきっかけでありました。Firefoxはタブブラウジングをサポートするブラウザのひとつでして、ですが最初私は当然のごとくタブは使っていませんでした。複数のウィンドウを開いて、Alt+Tabでウィンドウを切り替えて使うのです。これは慣れれば非常に便利で、やっぱりマウスに手を伸ばす必要がないというのはいいですよ。といっても、ウィンドウを開きすぎた場合は別です。Windows環境では、多すぎるウィンドウを切り替えるのは大変不便なことなのです。

 Macintoshでは、OS X 10.3に搭載された新機能、Exposéがあるので、非常に便利にウィンドウの切り替えができます。機能の割り当てられたキーを押すことで、開いているウィンドウが画面いっぱいにタイル表示されて、マウスでクリックすればそのウィンドウがアクティブになります。デスクトップのアクセスも非常に便利になって、やっぱりこういう便利機能に慣れると、これがない環境は不便に感じます。

 それともうひとつ、WindowsにおけるAlt+Tabと同様の機能がMacintoshにもありまして、それはCommand+Tabなのですが、でもちょっとだけ機能が違います。Windowsはウィンドウ単位での切り替え、Macintoshではアプリケーション単位で切り替えされます。で、Macintoshのほうがちょっと便利なのは、画面中央に並んだアプリケーションアイコンをマウスでクリックして選択できるのですね。

 Windowsを使っているときに、いつもの癖でマウスを使おうとしているのに気付くことがあります。もちろんこうした操作をWindowsはサポートしないので、なんの意味もありません。でも、この作法は慣れると楽なんです。だから、使えない環境ではちょっと不便に感じてしまうのです。

 Windowsでは、ウィンドウを開きすぎると不便になる。こうした状況が、私にタブを使わせるきっかけになったのですね。FirefoxではControlキーを押しながらリンクオブジェクトをクリックすることで新規タブにリンク先を開くことができます。もっと簡単なやり方では、マウスのホイールボタンを使うという手もありますね。で、このホイールボタンを使うのに慣れてしまって、しかもこの作法はMacintoshでも一緒なのです。タブブラウジングを有効にしていなかった頃には新規ウィンドウが開いたのですが、Firefoxでタブの作法に慣れてしまってからは、新規タブを開くよう設定を変えてしまいました。こうして、私はだんだんタブブラウジング派に組み込まれるようになっていったのです。

Safariでの問題

 ただ、このタブブラウジング、Safariではちょっと問題がありまして、というのは、常にタブを表示するようにしておかないと、どんどんウィンドウが縦長に伸びていってしまうのです。

 私は基本的にウィンドウのサイズは変更せず、慣れたサイズで固定して使っています。普通の人ならページに応じてウィンドウのサイズを変えるところでしょうが、私はそれがよっぽどよく訪れるサイトで、しかもそのウィンドウサイズでの閲覧がよっぽど不便でないかぎり、ウィンドウサイズを変更しません。これは持って生まれた質というほかないでしょう。だから、JavaScriptとかでウィンドウサイズを変更するサイトは大っ嫌いですね。なので、個別の機能をOffにできるiCabでは、スクリプトによるウィンドウサイズの変更を許可しないようにしています。

 さて、Safariのウィンドウサイズが勝手に大きくなるというのはなんでかといいますと、タブを追加するとタブの領域が加わった分だけ、ウィンドウが縦に延びるという仕様に関係しています。そして、この状態で新しいウィンドウを開くと、縦に伸びたサイズでタブなしのウィンドウが開くのです。で、このウィンドウでもタブを使うとまた伸びるわけですよ。そしてウィンドウを新しく開くと……。こんな具合で、どんどんウィンドウが縦長に伸びていくんです。

タブバーを常に表示 これは私には堪え難いことでした。あまりにも堪え難いので、常にタブバーを表示しておくよう設定を変えました。けれど、これは美しさに欠けるんですよね。なので、可能なかぎり非表示にしておきたかったんですが、けれど美しくないのとウィンドウサイズが変わるのとでは、見苦しさの方がはるかにましだった、とそういうわけです。

ウィンドウたくさんとタブブラウジングの折衷

 ウィンドウを複数開く派だった私にとっては、やっぱりウィンドウは複数開いていたほうが落ち着いていたようで、なので複数ウィンドウとタブブラウジングを適当に共存させて使っています。ひとつのウィンドウには同カテゴリの内容を表示させるようにして、例えばBlogならBlogだけ、mixiならmixiだけ、検索するならその検索内容で1ウィンドウを使います。切り替えて別に読みたいと思うページがあれば、それをタブで開くようにしていけば、カテゴリ毎にウィンドウを切り替えるのも楽だし、増えすぎたウィンドウで画面が散らかることもないしで、実にいい感じです。

 とまあ、こんなふうにタブも使うようになってくると、今まで毛嫌いしてなかったのがどれほどばからしいことだったかというのがわかりますね。やっぱり、なんにしても、偏見というのはよくないって話ですよ。


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公開日:2005.01.06
最終更新日:2005.02.08
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