Das Keyboardが届いて早二週間が経過しました。その間、私はこのキーボードに触れなかった日というものはなく、iBookにては日々の更新、メールのために、Windows機ではうちではゲーム、職場においてはプログラムと、ひとつのキーボードを使い続けることのできるという仕合せ。なにが仕合せといっても、打ちやすいということですよ。なにしろ物理的に同じキーボードを使っているわけですから、レイアウトの違いに惑わされるということがありません。コントロールキーは常に同じ位置にあります。なんとなくあちこちはしょられたノートPCのキーボードではなく、文字通り完全にそろったフルキーボードを使うというメリットは大きなものがあると実感していますね。そしてタッチがよいのです。基本的に軽く、指に負担はさほどなく、ですが指にしっかりと感じられるフィードバックがあるから、打っていて戸惑いがありません。指がキーをよく捉えて、キーからの返答がしっかりと指先に残る。これは、よいキーボードであると思います。いや、別にDas Keyboardでなくとも、そこそこのキーボードを使えば、きっとノートPCの浅いストロークよりもよい感触の得られるはずだと思います。私は、もうすっかりノートPCの浅いタッチに慣れてしまったと思っていたのですが、この二週間でそれは誤りであったと気付かされました。たまに触れるノートPCのキーボードの頼りなく、打ちにくいこと。ああ、私にはもう外付けキーボードでなければ駄目だと思い知ったのでした。
なので、私にはDas Keyboardが実にありがたく感じられて、ちょっと手放せない感じになっております。本当に、よい買い物であったと思っていますよ。
そして、Das Keyboardを使ってわかったこと。それは、キーボーディングの極意は、考えるな、感じるんだ! であるということです。
Das Keyboardは無刻印キーボードであり、キー表面にはなにも文字が書かれていません。頼りとなるのは、FとJキーにつけられた突起くらいのもので、あとはもう指先の触れるがままに打つしかない。けれど、私には少し不安がありました。その不安とはなにか。普段私が主に打っている文字列ならばなにも怖くなどないのです。そう、問題があるとすれば、数字、そして記号なのです。
記号は、主なものなら問題なく打つことができます。それに、これまでドライバ組み換えUS仕様JIS配列を使ってきた私ですから、刻印と入力が違うだなんてのには慣れっこ。じゃあ、なにが問題かといえば、やっぱり数字なのです。私はテンキーを使いません。長くテンキーの付かないノートPCを使ってきたということもありますが、それ以前に、ホームポジションから大きく離れなければならないテンキーが使いにくく感じるのです。だから、数字は通常の数字キーで打って、しかし数字ともなると普段打ちなれているものでもありませんから、なんとなく不安になる。いつもどうやって打っていたかなだなんて思う。そう思うから間違う。ええ、確かにDas Keyboardを使いはじめた当初は、数字入力時の間違いが多く、そして同じく数字キーを用いる記号類の入力間違いも多かったのでした。
けれど、いつしか気付いたのですね。入力をがりがりやっているときには数字のうち間違えなんてしないのです。なんでだろう。とふと振り返ると、それまで数字を入力しなければならないときだって、手もとなんて見てなかったんですよね。思うままに数字を打ち、思うままに記号を入力してきたのです。片手で打つときだって、なんということもなく入力してきて、しかし今、無刻印キーボードを目の前にしてなぜ打ち間違えるのだろうか。それは、やはり考えてしまうからでしょう。指の動き、指に触れる感触を頼りにするのではなく、考えるから間違えるのです。
面白いことですが、パスワードの入力なんかにはこの無刻印は実にやりにくく、けれど考えなくなってからは特段問題なく打てるのです。それも、今までキーボードを見ながら打っていたようにして、キーを見ながら打つと間違えない。けど、キーを見ても刻印なんてないのです。なのに、見ながら打つと間違えない。数字でも同じ。文字列ともなると、見ても見なくても一緒です。この不思議。ええ、見るだけで考えない。文字を探さない。そうしたら間違えないのです。
これは実に面白い発見であると思いました。あたかも、これまで使ってきた刻印ありのキーボードを目の前にするかのようにして、なにも考えずに打つ。目で見たままに、指に触れたままに、思考せずに打つことがキーボードの極意であると知ったのでした。
というわけで、これからキーボードに慣れようという方には無刻印タイプをお勧めします。最初はそりゃ時間がかかるかも知れないけれども、けれど慣れるのは刻印付きを使うよりもきっとずっと早いはずです。そして慣れたその時に得られる入力速度は、きっとそれまで想像もしなかったほどのものであろうかと思います。
なので、ここにワンス・アゲイン。Don't think, Feel !