プロキシは本来、クライアントと目的のサーバを仲立ちし、キャッシュデータがあればそれを提供することでサーバ不可を軽減するものだったとは、以前変換プロキシについてご紹介したときにも説明しました。現在はネットワーク帯域が太くなったことから、プロキシは本来の役目と違う、例えばファイアウォールだとか、あるいはIPやホスト名を隠すためだとか、様々な使われ方をしています。
ところが僕は、先程紹介したのとはちょっと違うプロキシの利用をしています。それはなにか? 今回はプロキシの目的外利用についてです。
唐突ですが、近年企業において問題となっているのが、就業中のWeb閲覧です。いや、見るだけならなにも構わないのですが、その見ている対象が問題でして、業務に関係のないサイトを閲覧することで業務効率が低下することを憂える雇用側の声が数年前から大きくなってきています。
需要があるところには当然供給があるものでして、そうした望ましくない状況を改善するための仕組みがいろいろ出ています。例えば、トレンドマイクロ社のInterScan WebManagerなんかが有名なんでしょうか。これをプロキシサーバに仕込んでおくことで、そのプロキシを経由するクライアントのWeb閲覧を制限できてしまうのです。
なんという無粋な処置でしょう!
この仕組みが必要とされる背景はおおむね理解しますが、僕はこういうのはあんまり好きじゃありません。制限だとか規制だとかを嫌うという自分の性格のこともありますが、それ以前の問題として、こうした処置によって業務に必要な情報まで規制されてしまうこともあり、逆に非効率な状態を生み出しています。いや、やっぱりそうじゃないや。そんな理論武装してどうこうじゃなくて、単に不自由が嫌いなんだ。ええ、こういう仕組み嫌いです。
例えばどういうところが不自由かといえば、Googleで検索したページに探している情報やヒントがあったとしても、開けば規制対象になっていてストップされてしまう。じゃあキャッシュで見ようと思っても、これもキャッシュ/プロキシとして規制対象になってるから読めません。ではどんな情報が規制対象かといえば、これはサイト単位で決められていまして、こういうサイトを閲覧することはできなかったりするのです。
いや、実際これは冗談抜きで不便ですよ。僕は自分のサイトにちょっとした覚書を残していることもあって、仕事にそれを引っ張ってきたいと思うことはまれにですが確かにあるんです。ところが規制対象になっているもんだからそれができない。えー、なんでやねん。仕方がないから馴染みのサイトが提供している情報を利用しようとしても、そこもブロック。駄目だこりゃ、とそんなわけで苦慮します、苦慮したんです。あまりに不便だったからなんとかしようと思ったんです。不遇な状況におかれたら抜け道を探したくなる。これは人情というものではありませんか。ええ、人情ですとも。
ちなみに私のサイトはどういう理由から規制されてるか申しますと、アダルトじゃなくて、オカルトでもなくて、反社会的でもなくて、不法などでは断じてなくて、ゲームが原因だったりします。だったら、ゲームゲームゲームだけ止めてくれたらいいじゃないか。他を巻き添えにするのはやめてくれ、といいたいんですが、いっても仕方がないので黙っています。
抜け道というのはいったいなんだったのかといいますと、キッズgooです。キッズgooはページをフィルタリングするための仕組みでありますが、その評価方法がInterScanとは異なっています。そこが付け目でした。
InterScanのやり口というのはいわゆるブラックリスト方式でして、データベース化された規制対象のURLを基準としてフィルタリングするというものです。対してキッズgooはといいますと、ブラックリスト方式も併用してはいるようですが、基本的にはページ中に現れる語句を評価してフィルタリングを行っているようです。実はそのせいで、こととねのページもまれにフィルタリングされちゃうんですが、まあそれくらいなら格別の問題はありません。
InterScanとキッズGooの評価方式が違うというのがポイントだったのです。そして重要なのは、InterScanはキッズgooを規制対象としていないということです。このため、キッズgooのフィルタを通したページは、仮にブラックリストに追加されているサイトページだったとしても、表示可能なのです。
キッズgooはkgframe.cgi、kghead、kgbody.cgiという三つのCGIプログラムを利用してフィルタリングを行っています。これらはもちろんキッズgooのドメインにあるので、InterScanの規制対象外です。そして、InterScanはディレクトリにブラックリストURLが混じっていても気付きません。つまり規制対象URLであるkototone.jpも、kids.goo.ne.jpドメイン下にある限りにおいては問題とされないのです。
ただ先程もいいましたように、キッズgooもフィルタリングを行っています。具体例を出しますと、プロキシで遊ぼうはキッズgooのフィルタリングを通過しますが、この文書はフィルタされてしまいました。多分、アダルトとか反社会的とか不法とか、ちょっと子供に見せたくなさそうな文言が混じっているからでしょう。
けど、サイト丸ごと規制対象にされるよかずっとましですね。検索して見つかった有用そうで、けどブロックされてしまったようなページでも、キッズgooの力を借りると大抵読めます。キッズgooのCGIにURIを引き渡す手間がちょっと面倒ですが、見えないことを考えるとなんの問題にもなりません。
そんなわけで、キッズgoo様々なのであります。
さぼりのためにキッズgooを使って云々というようなことはしませんよ。だってさ、InterScanは日本語ページばかり対象にしているから、海外に舵を向ければ規制なんてないのも同じです。姑息な手を使ってさぼるなら、堂々と欧文ページを開いてた方がずっとましというものです。
InterScanの海外サイトに対する甘さ。正直この辺は、片手落ちだと思います。
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