ずっと前から欲しい欲しいと思いながらも手を出しあぐねていたデジカメ。この度、税金の還付が思ったよりも多かったのに気を良くして、ついに購入に踏み切りました。
購入したのは、エヌエイチ・ジャパンから発売されているChe-ez! spyz。ZIPPOライターサイズの、小型カメラです。
基本的に僕は、身にあわないほどの高性能を求める罰当たりな人間なのですが、デジカメ購入にあたってはいさぎよく割り切りました。つまりChe-ez! spyzを性能面で見れば、それなりに悪いということです。ですが、値段が安いというのが一番の魅力。一万円を切る低価格(市場価格八千円弱)で、必要最低限の機能を備えているというストイックさは、見た目の可愛さに対し骨太さを感じさせて、意外と好みなのです。
Che-ez! spyzのスペックは、以下の通りです。
PCとの接続はUSB経由です。これ以外に画像をPCに送る方法はありませんので、少なくともUSBインターフェイスを備えたPCが必要ということになるでしょう。
電源は単4乾電池なので、簡単に入手できるところがリーズナブルでよいです。
Che-ez! spyzの最大の特徴は、その小ささです。60*38.6*15mmというサイズに34gという軽さ。ポケットに入れて持ち運んでも、まったく邪魔にならないほどです。長めのボールチェーンも付属していますので、首にかけて胸ポケットにしまっておく、というのがいい感じです。
上図では、普通のカメラを使うときの癖で顔にカメラを近づけていますが、本来は30cmほど離してインジケータを覗きます。とはいえ、それでもパララックスからは逃げ切れないんですけどね。一枚入魂主義から、下手な鉄砲数打ちゃあたる主義に切り替える必要がありますね。
スイッチは必要最小限しかないので、操作がややこしいというようなことはありません。電源スイッチがモード切り替えスイッチも兼ねていて、ボタンを押すごとに、画質切り替え、電源OFF、動画モード、セルフタイマー、全消去の順に切り替わります。
電源スイッチ以外にはシャッターしかないので、これもまたわかりやすい。押せば写真が撮れます。当たり前ですね。
レンズはF2.8と少々暗めですが、このグレードでなら充分許容範囲でしょう。コンパクトカメラの中には、これよりくらいレンズもあるのですから、かなりよいほうだといってよいかも知れません。
焦点距離は、35mmカメラ換算で44mm。つまり、ほぼ標準レンズということになります。35mmという広角気味の焦点距離に慣れた人には少々とりにくいかも知れませんが、55mmレンズを愛用している僕としては、非常にいい具合の焦点距離だといえるでしょう。
露出は完全自動で、手出しする余地はありません。何枚か撮ってみた感触では、逆光にはかなり弱く、ものすごいアンダーに仕上がるのが落ちです。できるだけ順光、最悪でも斜光になるよう工夫したほうがよさそうです。
感度に関しては、おそらくISO100程度でしょう。明るさが足りないと、撮影すらできません。ですが、頑張れば暗い被写体でもなんとかなります。よい写真かどうかは別ですけどね。
ホワイトバランスは、結構しっかりしていて良好です。上図の猫もセルフポートレートも、どちらも光源は蛍光灯ですが、いわゆる緑かぶりをしていません。補正をしなくて済むので、ありがたいです。
画質は、さすがにそこそこ悪いです。特に、細かな被写体を撮影したときなんかに顕著。これでもかとノイズがのりますから。なので、輪郭のはっきりした被写体を選ぶのが、Che-ez! spyzでよい写真を撮るこつといえるでしょう。
ここで公開している写真は、すべてHIGH (640*480) で撮ったものを50%に縮小したものです。こうすると結構良い感じに仕上がりますが、100%のままでは少々画質に荒さが目立ちます。
僕は、Macintoshで使っているので、Windowsでの使い勝手はわかりません。この点に関しては、Windowsユーザのかたがたにはおわびしたいところです。
Macintoshでの使用に関しては、全然悩むことなくドライバ類をインストールでき、かつ写真のダウンロードも、カメラを接続すれば全自動で行ってくれるなど、実に簡単、便利です。
ですが、勝手にコンピュータが動作するというのが嫌いな僕は、あえてダウンロード用アプリケーションを処分。Photoshop用プラグインが付属しているので、以前タブレットを買ったときにバンドルされていた、Photoshop 5.0 LEでデータを取り込んでいます。加工はFireworksです。なお、Fireworksではデータ取り込みができませんでした。
電池の減りは思ったよりも早く、三日ほどで電池残量不足の警告が出てびっくりします。電池が完全に切れると、一緒にデータも消えてしまうので、結構びくびくものですよ。速やかにデータをPCにダウンロードするか、あるいはUSB経由で電源を供給しながら電池交換というのが、とりうる手段でしょう。
電池交換といえば、電池ケースが少々小さめなので、電池がなかなか取り出せなくて困ります。なので、電池に紐を巻いておくなどの工夫をしておくといいのではないでしょうか。紐を引けば、電池が抜けるというわけです。
カメラの外装はアルミなので、見た目よりも堅牢感にあふれています。防水はされていないでしょうが、しぶきが多少かかるといった程度なら、大丈夫そうです。
Che-ez! spyzは、最近の高性能デジカメと比較すればさすがに見劣りしますが、持ち運びの便利さと、取り扱いの気楽さが素晴らしい。いわば小回りのよさが身上といえるでしょう。
なので、常日頃から携帯しておいて、気に入ったもの、面白い被写体を見つければレリーズする、というのが、多分こいつとの正しいつきあい方になるでしょう。
本当によい写真を撮りたいと思うなら、銀塩カメラを出してくればいいわけです。でも、機材に凝ればいい写真が撮れるわけでもないというのは、ひとつの真理です。
では、Che-ez! spyzでよい写真を撮るためのこつといえばなんでしょうか?
銀塩における、朝夕の光源の有利さは、この際忘れたほうがよさそうです。日中が勝負時と心得ましょう。
逆光は銀塩でも避けるべきですが、Che-ez! spyzではより顕著です。できれば順光で。斜光も避けたいところです。
細かな被写体は、ノイズが大量に発生します。できるだけ、輪郭が明確なものを撮るようにしましょう。
よい写真はたくさんのレリーズが作ると、いっそ割り切りましょう。同じ被写体でも、二枚三枚と撮っておく。これは、銀塩においても真理です。