私が捨てたことばはきっとだれかが生かして使うのだ
だからわたしは
いつまでもひとりではない
――寺山修司 夜にまた一通のメールが投げられている。彼らの人生は、ただハックすることである。一人のハッカーが、ジャンクフード屋の売り子に大きな声で叫んでいる。
「俺に手紙をくれようたって、それは無理だよ。
俺の住所は、ネットワークだからな」
古いDOS/V機に導入されたVine Linux。メモリも増やしハードディスクも増設し、いよいよ実践というところで、少々動きを止めていました。なぜか? それは近々Vine Linuxの新バージョンがリリースされるとのアナウンスがなされていたからです。
どうせなら、2.1.5でいろいろやってそれを2.5環境に移すよりも、はじめっから2.5でいろいろを積み上げていきたい。どうせはじめて間もないのだから、2.1.5でも2.5でも、僕にとって分からないという点で大差はないのです。
という理由からして、僕はVine Linux 2.5のリリースを心待ちにしていたのでした。そしてついに、Vine 2.5は2002年4月15日にリリースされました。
Vine Linux 2.5がリリースされたのは4月15日でしたが、僕はダウンロードを17日にまで待ちました。というのも、僕にとってバージョンアップは急務でないし、ミラーサーバにもまだ行き届いていないようでしたから。FTPインストールをするよりも、できればCDからインストールしたい性質なので、i386用のisoイメージが行き渡るのを待っていたのでした。
いよいよ満を持してダウンロードしたのが、リリースから二日後の4月17日。CDイメージからCDを作成するのは、2.1.5の時にやったのとまったく同じなので、なんの問題もなく終了。後は、これをインストールしてやればいいだけです。
インストールCDを作成したらば、いよいよインストール。起動FDを作成するのはちょっと面倒くさかったので、直接CDから起動することにしました。FM VのBIOSをちょこっといじって、CDからの起動を可にします。
CDから起動しても、インストールはTEXTモード。2.1.5では、TEXTモードの方が細かく設定できたように思うんだけど違ったかな?
インストール先は、新しく増設したSCSIハードディスクです。今回は、以前のように/boot, swap, rootとするんではなくて、細かくパーティション分けをすると決めていました。パーティションに関しては、@IT - アットマーク・アイティのLinux Squareで予習済み。気分だけは準備万端です。
僕みたいな初心者のための連載、「Windowsユーザーに教えるLinuxの常識」というのがあって、これが実にわかりやすく重宝します。この第2回と第3回が、Linuxにおけるディレクトリの役割の解説。これらを通して、どのディレクトリがどういう役割を担っているかを知り、第1回 パーティション分割/非分割のセオリーで紹介されている、パーティション分割例を参考にする。加えて、たまさかVine Linux MLで話題に上っていたパーティション分割に関する投稿群も参考に、一応自分なりにパーティションの分割案を決めました。
このパーティション分割は、不動の部分と書き換えの発生する部分を分ける、というものです。インストール後にファイルの書き換えが起こるディレクトリは、/usr/local, /var, /tmp, /homeです(ですよね?)。残りは、インストール後に変更が起こらないもののはずなので、動く部分動かない部分をわけてやろうと考えたのです。
一応断っておきますが、この考えは僕のものではありませんよ。今の僕に、こんな考え方が出るわけなんてありません。完全な真似っこですからね。
Vine Linux 2.5を立ち上げ途中に、Kudzuが立ち上がって自動でハードウェアの認識および設定をやってくれます。このとき、サウンドボードも適切に処理してくれたようで、なんの設定をすることもなくサウンドが使えるようになりました。いい感じじゃん、やっぱバージョンアップするってすごいなあ。
ただ、バージョンアップに伴って、全体的に重めの感があります。グラフィカルログイン画面からWindowMakerへの移行が、妙にもたつく感じになってしまっています。加えてデフォルトブラウザがMozilla 0.98になったことで、重量感はますます顕著です。
まあ、Linuxではw3mを使うっからいいやー、と思いながらとりあえずローカルホスト名を変更。次いでプリンタの設定をしようとしたところ、ここで思わぬ問題が発生しました。
プリンタの設定は、printtoolを使ってやっています。やり方は2.1.5の時と変わらないので、以前の手順で迷わずプリンタを使えるようになるはず、でした。
ですが、困ったことにテストプリントができないのです。なんかよく分からないエラーが出る(ローカルホスト名を変更したからのようですね)のでlpdを再起動してやるのですが、それでもプリントができない。lpdは/dev/lp0(パラレルポート)を認識するのに、肝心のプリンタジョブを送れないようなのです。
困りました。でも、2.1.5では出来てたんだから、2.1.5の設定を持ってくればいいんだ。でも、どうやって? Vine 2.1.5は消しちゃいましたよ。
というわけで、Vine 2.1.5を再インストールです。
こういうときのためというわけでもないのですが、1.2GのIDEハードディスクが空けてあります。ここに2.1.5をインストールしてやりましょう。どうせならあとで2.5もクリーンインストールと思って、SCSIのパーティションをクリア。2.1.5のインストールは簡単に終了です。
2.1.5を立ち上げてみて思うのは、やっぱりこっちの方が軽いなというもの。コンソールだけで作業するならどちらもさして変わると思えませんが、GUIはやっぱ重いですね。i586 133MHzには重荷なのかも知れません。
さてさて、2.1.5のローカルホスト、ローカルドメインの設定を書き写し、プリンタも無事稼働することを確認し、Vine 2.5のインストール作業に戻ります。
Vine 2.5をインストールするとして、思いきって2.1.5とのデュアルブート環境を作ろう、と思ったのですが、どうやら無理っぽい感じ。rootや/bootがふたつあることになるので、インストーラが混乱するのでしょうか。おそらく手はあるのでしょうが、僕には分かりません。素直に、シングルブートで我慢しましょう。
デュアルブート環境をあきらめたとなると、IDEを空けておく理由はありません。これも使っちゃいましょう。Win95を入れても、別のWin98機がある以上無意味でしょう。このマシンは、Linux専用と割り切っちゃいましょう。
IDEの1.2Gが加わるとなれば、先ほどのパーティション案のままではいけません。rootをIDEに置くかSCSIに置くかで少々迷いましたが、頻繁に読み書きされる部分を高速のSCSIハードディスクに置くと決めました。以下が、新しいパーティション分割案です。
変更点として、/tmpが2Gから1Gに減りました。最初はなにも考えずに2Gもとっちゃいましたが、さすがにそれは多すぎるだろうと思い直したのです。でも多分1Gでも多すぎると思うんです。まあ、いずれどこかに吸収されるかも知れません。
一度は出来たインストールなので、こりゃもう楽々だと思っていたのですが、そう思い通りにはいかなかった。なぜか、インストールがうまく運びません。
とりあえずCDからの起動をあきらめ、Win98機を利用して起動FDを作成。FDから立ち上げてTEXTモードでインストールするのですが、なぜか途中でインストーラが落ちていたらしく、再起動していました。
なぜなんだろうかといぶかしく思いながら、なおもインストールを繰り返すのですが、いよいよディスクのフォーマットという段になってインストーラが前に進まなくなりました。理由は判りません。でもこのままでは埒が明かないので、グラフィカルモードで進めることにしました。
グラフィカルモードでインストールするのはよいのですが、ディスクのフォーマット時に不良ブロックをチェックするよう設定していたせいで、一向にインストール作業が進みません。どう考えてもこれはおかしいだろうというくらいに時間がかかるので、一端ここで終了させました。
SCSIボードのBIOSで不良ブロックのチェックをすると、この強制終了が原因か、不良ブロックが出来てしまっていました。しまった、まずいことをしたとちょっと後悔しながら、ハードディスクをフォーマットしてしまう。まっさらの状態からなら、きっと失敗もしない――と信じたい。
日を改めて三度目のインストールにとりかかります。所要時間は一時間くらいだろうと踏んで、起きて出掛けるまでの時間に片づけてしまう算段です。
失敗を恐れ、グラフィカルモードでインストールします。パーティションは、二度目の失敗したときのものと一緒。ただ今回のインストールでは、SCSIディスクのチェックを行いません。
でも、ちょっと時間の見積もりに失敗してしまいましたね。最初は四十分ほどだった所要時間が、見る見る膨れ上がって、一時間半を超すほどになってしまったではありませんか。着々とインストール作業が進んでいくのはよいのですが、これを最後まで見届けると、フランス語の授業に遅れてしまう…… 授業とコンピュータを秤にかけると、考えるまでもなく授業の比重が高いのでありますから、僕はインストール作業を見届けることなく出立するのでした……