カルドセプト エキスパンション プラス

Cepter's cup 2001 予選参加第一戦目速報
in Kyoto

2001.1.13

 風雲急を告げる、第二回カルドセプト全国大会予選。いよいよその戦いの火蓋が切って落とされた。戦場は京都、その模様を、参加した一人の主観に基づきお伝えしたい。

開戦間近

 大会予選に使われるマップが「転送×転送!」と既に判明している以上、そのマップに特化した戦略を立てるのが常道だろう。実際、このサイトでもより有効となるだろうカードを選別、考察してきたが、戦いは開けてみなければわからないため、常に不安がつきまとっていた。数種類のブック構築案を用意し、直前になって知人に相談してみたりと、ひりひりとした時間を過ごしたのだった。

 結局作成したブックは、とりわけホーリーワード系に特化されたもの。しかも、ライフフォース対策を無視した、ノークリーチャーブックに限りなく近いものだった。

 主力カードは、スペルを除いては、サンドマンではあるが、クリーチャーカードを極めて絞って少数しか入れていないため、カードの引きには常に不安がつきまとう。

 そんなブックで参戦しようというのだ。無謀としか言い様がない。

戦いの日

 ショップは近場であるとはいえ、所在地がはっきりとわからないため、余裕をもって出発した。イヤホンを耳に掛け、ディスクをスタートさせる。プレーヤーに入っているのはヴァーグナー『ニュルンベルクのマイスタージンガー』より第一幕への前奏曲。いやおうなく気分は高まるが、演奏するのはなんといってもグールド。ヴァーグナーとは思えぬ、すっきりとした対位法の交錯に、楽曲本来のものとは大きく異なる雰囲気をまとっての出立だった。

 ショップはほどなく見つかり、当日飛び込みのエントリー。ただ、少々早く着きすぎたため、時間潰しと称して対戦を開始する。だが、誰もが自分のブックを使いたがるわけもなく、新規にセプターを立ち上げての初期ブック対決。実に和やかな対戦と相成った。

 戦場は始まりの地、ロカ。次々とクリーチャーを引いていくふたりの対戦者を尻目に、一向にクリーチャーを引かない自分。実際、これが本当にクリーチャーの二十八枚入った初期ブックかというほどに、全然引かなかった。このクリーチャー運の悪さに嫌な予感を感じながら、第一戦へとなだれ込んでいくこととなる。

 なお、模擬戦での順位は断トツのべべであったことを付記しておく。

抽選

 予選参加者は十三名。思ったよりも多いと感じた。これはショップの人も同様だったようだが、参加者のなかにはもっと多いだろうと見越していた人が多かった。

 厳正なる抽選の結果、自分は第一グループで戦うことになった。というか、その第一グループの対戦者たるや、先ほどまで初期ブック対決をしていた面々。正直弱りながらも、反面先ほどの戦いで少々和んでいたこともあるので、ひとまずよしとしよう。

第一戦目

 戦いは、一人勝ちの様相を見せた。想像を覆すほどに、クリーチャーを多く持った人が多くて驚いたものの、そりゃ当然、ライフフォースの脅威を予測する以上、対策としてクリーチャーを多く入れてくるのはあたりまえだ。

 ダイスが振られ、戦端が開かれた。対戦相手は風クリーチャーをメインと、バンディットをからめてライフフォースに対策を施した二名というのか、以上だ。順調にクリーチャーを配置していく三名に対し、自分は一向にクリーチャーを引く気配がなかった。あまりにクリーチャーを引かないため、スペルブックなのではと疑われまでしたが、クリーチャーはちゃんと入れてある。ただ、異常に少ないだけだ。

 終始クリーチャーを引けないために、虎の子のサンドマンを配置すること叶わず、苦しい戦いとなる。当然魔力は手元のものがすべて、ドレインマジックをくらったときには、正直終わったと思った。

 しかし、魔力が潤沢にあるというのは悪いことではない。パーミッション、リコール、そして移動系スペルを駆使し周回を稼ぐ。とにかく周回を稼ぎ、その時点での順位は第三位。二位との差は、多くは開いていなかった。なんとか二位に食い込み、追い越せれば第二回戦へと上ることができる。

 思えば、クリーチャー運には恵まれなかったが、カード運には恵まれたのだろう。終盤に差し掛かり、手元にはホーリーワード6とX、そしてマナが二枚あった。居場所は城。ホーリーワードを駆使し、砦を二ターンで回る。時は二十九ターン目。マナを使用し、城を通過。周回ボーナスを得ての最終ターン。マナを使用した。得た額、まさに500G。

 このマナ二連発で、第二位をかわし浮上することに成功。制限ぎりぎり一杯での、マナに助けられての勝利だった。

第一戦のための敗因分析

 実際負けてもしかたのない、いやむしろ負けて当然という勝負だった。敗因を分析するまでもなく、クリーチャー数が少ないのはあからさまに不利だ。対戦者の言によると、もしライフフォースを引けば間違いなく僕を対象にするつもりだったという。何しろ、ライフフォースをちらつかせながら、あからさまにスペル優位のブックを使い、その上平和主義者を装ってライフフォースを撃たずに捨ててしまうという、なにを考えているかわからない鼻持ちならないのが、ほかならぬ僕である。彼がライフフォースを引かなかったのは、まさに幸運以外の何ものでもなかった。

 クリーチャーは予測の通りケットシー、サンドマンといったスペル対象にならないものが人気。そして案の定、ミルメコレオが登場してきた。そして、ライフフォース対策としてのバンディットとスチームギアが登場してきていた。

 以上を反省点とし、次の予選ではもっとクリーチャーを増やして望もう。

第二戦目

 第二戦目は一戦目と異なり、クリーチャーを引き、しかも主力のサンドマンを召喚することに成功した。マップでは、リコールで帰城後アポーツのコンボが見られ、ある意味実に予測される戦いが展開していた。しかし、予測されることに対策を講じていないブックを持つのが自分である。実にはらはらの戦いであった。

 戦場は試合巧者のセプターの下に進行した。リコール、アポーツを効果的に運用し他のセプターの進行を効果的に支配するその手腕は、まさに老練のものを思わせる。手札にはEカードが効果的に忍ばされ、特にビステアによる魔力奪取の圧迫感は、他のセプターに怖れを抱かせるに充分だった。

 だが、ここでも運は僕を見捨てなかった。祈りが通じたかのごとく、自分の土地を他セプターは回避して行き、数少ない領地は最後まで守られた。ライフフォースも、うまく第三位の位置を取り続けたことにより、対象とならずに済み、しかもサンドマンに慣れていないと思しき一セプターの戦略が、こちらに運をもたらした。

 最下位の位置に着けたため、冷静さを失ってしまったのだろう。サンドマンのスペル非対象能力を考慮に入れず、アンサモンを持つセプターにハウントをかけていた。コンピュータは必ずアンサモンを撃つという判断の下、自分のミルメコレオのレベルを、僕のサンドマン以上の地価にならないよう上げた。しかし、サンドマンはスペル対象にならないため、アンサモンは結局ミルメコレオに放たれ、しかもそのレベル3の土地は、終盤間際に、うまく止まった僕にとられることとなる。

 さらに終盤を分けたスペルとして、アンサモンがある。手札にスワップスペルを仕込んでいたセプターが、別セプターの手札と交換する。これによりマサムネが移動。マサムネを手に、クリーチャー移動で僕のレベル3サンドマンを攻めようとしていた戦略が潰えた。しかも、スワップスペルは二枚入っていたため、一枚がスワップされたセプターの手に残された。彼は、自ターンでスワップスペルを使用。こともあろうに僕の手札と入れ替えた。

 思わず、手元にアンサモンが転がり込んできて、一挙に有利になる展開。最終ラウンドを見ながら、アンサモンを、第二位を争うセプターのレベル3バンディクートに放ち、最終戦出場の切符を手に入れたも同然とする。

 結局、第三位に着けたセプターは挽回の一手を打つこと及ばず、まさに人の手札で戦って最終戦へと出られることとなった。

第二戦のための敗因分析

 他セプターは、ライフフォース対策として様々な資金入手の手を用意してきていた。例えばそれはバンディットによる魔力盗みであり、またビステアの周回数×50Gを奪う能力であり、さらにはゾンビにゴールドグースを持たせての魔力回収、パイエティコインまで見られた。

 反面、うちはライフフォースに実に無防備。アイテムなんざひとつもない。クリーチャーは少なく、資金入手はマナ頼りと来た。その上虎の子のサンドマンは、Eカードアイテム、テレイアの即死で瞬殺されてしまう。まさに、この戦いはテレイアを怖れながら、だった。

 これは実に反省しなければならないことだろう。一点豪華主義もいいが、様々な局面が予想される戦場では、可能なかぎりの戦況予想に対応する策を仕込んでおくべきなのだ。次こそは、移動系スペルを減らし、クリーチャーを、アイテムを充実させたく思う。

第三戦目、最終戦

 最終戦に勝ち進んだのは、先ほどの試合巧者の余裕を見せつけ第一位を獲得したセプター。ライフフォースを三度くらいながらも、一位を勝ち取ったセプター。そして、紅一点で勝ち進んできたセプター。セプターネームはあえて出さないでおこう。

 戦いながらも、横目に捉えていた第二戦第二グループの様子では、どうやらライフフォースが始終撃たれていた模様。今まで自分はライフフォースを撃ちもしなければ撃たれもせず勝ち上がってきたが、今回はそうも行かないだろう。心を鬼にして、ライフフォースの地獄に落ちることを決意する。

 戦いが始まり、手札にはライフフォースが。迷わずそれを、一女性セプターに撃った。横目での戦況分析では、彼女こそがライフフォース使いと見てのことだ。いきなりへこむ彼女。彼女の、さっきの三発のライフフォースは、全部が自分ではないという言葉に、なんだか申し訳なくなり、余裕が出来たらホーリーワードでもかけようと決め、それは早い時期に成就された。

 その時の雰囲気は、少々異様だった。一体、こいつなにしてるんだろう、失策か? という様子が、明らかに漂う。それやってもメリットありませんよという言葉に、いや、知ってのことですと答える。多分一番気味が悪く思ったのは、当の女性セプターだろう。

 戦いは、異様なイレギュラーを含めながら進んでいく。三戦目も運良くクリーチャーを召喚できた僕は、気付けば独走状態だった。なにしろ、先ほど試合巧者を見せつけた第二戦第一グループの勝者は、早くにライフフォースの洗礼を受け、帰城することも叶わず北の周回を回っていた。

 トップに立つのは危険である。なぜならば、すべての攻撃はこちらに向くのだ。手元には莫大な魔力がストックされ、現在の自分の配置クリーチャーはルナティックヘアが二体だった。攻撃スペルを恐れて、投資することが出来なかったのだ。

 ライフフォースが火を吹いた。対象はもちろん自分。しかし、カルドセプトは気合いでなんとかなるとうそぶく。

 実際、それは気合いの勝利だった。気合いで敵の土地をかわし東の周回へと転送。アポーツにより北の周回へと呼び寄せられた後は、気合い気合いを連呼し、実際に二を振って南の周回に復帰。次は城に止まりますといいながら、一度、一を振り敵のレベル1土地に止まるものの、次こそたがわず三を出し、城に止まった。アポーツのために砦をひとつ回りそこねており、残念ながら周回ボーナスは得られなかったものの、これでライフフォースの効果から抜け出すことに成功した。

 この間、なすすべもなくドレインマジックをくらい、600Gもの魔力を奪われたのは痛いが、西の周回のうさぎをサンドマンに交換、次ターン城に止まる目的のみのリコールにより、その土地のレベルを4にまであげた。

 しかし、このライフフォース期間は痛かった。結局、この間に600Gを奪っていた者の一位独走を許し、しかも二位は徐々に三位との差を広げていく。せめて二位には食い込みたいと思いあらゆる手を考えるものの、制限ターンはもう目の前だった。

 結局、このまま二位に追いつくことは出来ず、三位で終了。手札にリトルグレイを持ちながらも、逆転の一手を打つ勇気を持たなかった、当然の敗退だ。

最終戦のための敗因分析

 敵に塩を送るつもりだったのか、ライフフォース下にあるセプターにホーリーワードをかけるような奇行はすべきではなかっただろう。なにしろ、相手はことごとく敵、恩は仇で返ってくると見て当然なのだから。

 全体を見回して、このような気弱な戦略が目立ち、これがためにぎりぎりの淵を渡ることがかなわなかったと言ってよい。なにしろ、シャッターもライフフォースもほとんど使用されることなく、ただただ捨てられていくばかりだったのだ。

 さらに、ライフフォースやドレインマジックに対し無力だったのも問題がある。対戦後の箴言に、あれほどに魔力を手持ちで持ち運ぶのだったらバリアーを入れるべきだといわれ、確かにそうだと思った。

 バリアーを外したのは、ホーリーワードと相性が悪いというそのためであった。しかし、ある程度の周回を重ねれば、後は周回よりもマナの活用で魔力を得、リンカネーションで有力カードを多く手元に呼び込むことが重要となるではないか。

 結局自分は手札を十全に使い切れていないことに思い至り、愕然とする思いで帰路についた。

 だが、楽しかった。普段見慣れないカードもたくさん見ることが出来たし、なにより対戦者が皆気持ちのいい人ばかり、ショップの人もいい人だった。結局全国には届かなかったものの、まだ予選が終わったわけではない。

 全国大会出場者とは東京で会うことを、残念ながら敗退したものとは次の伏見、滋賀で会うことを約束し、別れた。これほどに面白く思ったことは、なかなか無いことだ。

 いい試合だ! 楽しいぞ!

 この言葉を今日の対戦者に捧げ、僕は次の戦場へと思いを巡らせたい。


本日使用ブック「ねことわたし」

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公開日:2001.01.13
最終更新日:2001.09.02
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