カルドセプト エキスパンション プラス

転送×転送! 予選スペル雑観の一

 既にお伝えした通り、京都予選にて図らずも三位の座を射止めることができた。思いがけない結果に喜ぶものの、反面、自分の甘さ、不甲斐なさも明らかとなり、特に想定される事態に対応する必要性を強く感じさせる機会となった。

 今回は、その予選を振り返り、多く見られたスペルとその対応策をまとめたい。

避けられぬライフフォース戦

 もっとも恐れていたライフフォース戦は、案の定、予選全般に渡り繰り広げられた。ライフフォースを撃たれたら最後、自力で城に戻るまでその影響から脱することは出来ない。そのため、有力なセプターは積極的に狙われ、帰城もままならないままに轟沈するさまも多く見られた。それほどに有効であり、多く使われたスペルの筆頭格。多いときには、四人中三人がライフフォース下におかれたことさえあった。

 しかし、ライフフォースの脅威は充分に予想されたものであり、セプターたちはライフフォース対策を様々に凝らしてきていた。ライフフォース対策の主なるものは、クリーチャーで稼ぐというもの。魔力盗みの能力を持つバンディット、ビステアはほぼ誰のブックにも入っていたといってよいほどに巷にあふれ、さらにはゾンビにゴールドグースをあわせての魔力入手やパイエティコインでの護符獲得までと、非常に多様な方策が見られた。

 ライフフォース対策にはライフフォースというのも基本だが、それでは自分を守れないと見たのかバリアーを仕込んでいたセプターもあったが、ホーリーワードと相性が悪いという性質ゆえか、バリアーの使用はついぞ見ることはなかった。

 ライフフォースへの対応策は、ライフフォースでの報復、高額クリーチャーの安価運用からクリーチャーやアイテムの能力による収入期待などが主たるものであり、対してバリアーなどによる消極的対応が続くといえる。

 なお、十三日京都での優勝者は、幾度ライフフォースを受けようとも自力回復し、トップで通過し続けるという、強運あるいはカルドラの寵愛を受けたとしか思えない活躍を見せている。勝負を分けるのは、ライフフォースの破壊的な威力ではなく、まさに人としてのキャパシティの差なのではないかとしか思えなかった。

Eカードの面目躍如たるオムニポーテント

 一番最後に手に入るカード、オムニポーテントも健在。他のスペルにはない効果を、臨機応変に使えるという使い勝手のよさから、多くのものに愛用されていた。

 あるエリアの全属性護符を五枚ずつ得るという「神々の恵み」、通行料を踏み倒せる「幸運」、周回ボーナスを三割増しで得られる「尊敬」、バランスと同様の「均衡」、マナと同様の「報酬」、土地の継続効果を全て取り除く「解呪」、そしてあるエリアの自クリーチャーを全快させる「命の潮流」の七つの効果。

 この中でももっとも重要となるのは「神々の恵み」と「解呪」だろう。特に「解呪」はあまりに惜しみなく継続効果を奪ってくれるので、土地の守りの主流を、ランドプロテクトからスペル対象不可能力を持つクリーチャーへと変化させる要因となった。

 そのため、予選会場ではランドプロテクトをみることは少なく、代わりにケットシーやサンドマンが人気の様子だった。ひとつの兵器が、戦場での兵器運用体系を変えるということは、歴史的に見てもよくあること。オムニポーテントはまさに、その最後のカードとしての面目躍如たる影響を与えたといえるだろう。

 さておき、予選会場でのオムニポーテントは、ほぼもれなく「神々の恵み」として働いていた。聖堂のない「転送×転送!」では、護符攻撃スペル「コラプション」を持ち込むものもいないだろうので、護符はもっとも守られた資産となり得る。そのあたりを見越しての、オムニポーテントだろう。ただ、聖堂がないのでいざというときに換金できないのも護符だったりして、護符はまったくのボーナスとして考え、運用なんて事は考えないほうがよさそう。

終盤の力、盤面の明暗を覆すアンサモン

 当然といえば当然だが、アンサモンも暗躍した。終盤の二位、三位の瀬戸際を分ける大きな力となり、高額土地を尻目に誰もが欲するスペルとしていまだ主力たりえている。とはいっても、手元にアンサモンがあるときにハウントを受けると、コンピュータは考えなしにこいつをむだ遣いしてくれる。実際、ハウントのコントロール下にアンサモンが放たれたことがあり、手元に持ち続けると、むやみな攻撃を招くこととなるかも知れないのが悩みどころだ。

敵妨害の主流、リコールそしてアポーツ

 城に帰って周回ボーナスを得る。カルドセプトの基本のひとつであるが、リコールで強制的に城に戻されると、砦を全て通過していても周回ボーナスが得られない。自分のターンで城に帰ってはじめて、帰城の条件がそろうのだ。

 実にこの攻撃は巧妙にして苛烈。なによりライフフォースの影響下にあるときにこれをやられると、もうなすすべもなく再び旅立つしかなくなる。まさに最悪。友人をなくします。

 このリコールの効果を最大限に活かしたいなら、アポーツを組みあわせるべきだ。リコールで自分だけ帰城、翌ターンにアポーツを使えば対戦セプター全員に上記の効果を及ぼすことができる。

 また、北の周回の転送円に挟まれたショップでアポーツが売られている。ということは、ここでアポーツを使うとショップに止まりもう一度アポーツを買うことができる。つまりは、魔力の余裕があるかぎり、延々ここでアポーツを使い続け、他セプターを妨害、最後にはリコールでも買って自分だけ帰城してしまえば、トップの時などには実に有効な遅延策となる。

 しかし正直いって、これはあまりお勧めしたくない。人のいやがることしてまで勝ちたいか、といわれるとおそらく皆がそれでも勝ちたいと答えるだろうので、リコール、アポーツでの妨害は止まないだろう。

 どうしてもこれを受けたくなければ、ライフフォースをかけてやるのが一番だが、これもまた不毛なことになりかねない。そこまでして勝ちたいかと問わば、やはり勝ちたいだろう。こうして、ライフフォースの地獄は続く。

意外と有効なドレインマジックと決戦兵器ジャッジメント

 Eカードの使用が認められた今大会では、大型クリーチャーや凶悪なアイテムとして、それらが実によく活用されていた。そんな状況下では、うかつに土地に増資なぞすると力技でもぎ取られかねない。かくして、魔力は手元にストックされることとなる。

 筆者のブック「ねことわたし」は論外。しかし他のセプターにしても、千近い魔力を手元に残していたものも少なくなかった。ということは、一発撃てば三百は見返りがある。収入を期待でき且つ敵を弱体化させることができるこのスペルは、意外や使いどころが多そうだ。

 京都では見られなかったが、他予選会場ではジャッジメントも見られたという。タイミングにもよるが、自分のリスクは最小限に抑えたまま、敵に大ダメージを与えることも可能なこのスペル。敵を引き離しているときの駄目押しにも使えるが、やはり敵を追うときにこそ真価が発揮されるだろう。手元に大量の魔力が入った周回終了後が狙い目だが、ぎりぎりの瀬戸際ではかまってられない。撃てるときに撃てばいい。

とっとと逃げるためのランドトランス

 ライフフォースの撃ち合いが予測されることから、魔力を奪うクリーチャーが多く採用されていることは既に述べた。じつはこれは非常に危険な事態といえる。というのは、下手をするとクリーチャー移動で横から魔力を奪いに、バンディットやらビステアやらが攻めて来かねないからだ。

 自分の土地の隣にビステアが配置されると、途端に緊張が走る。魔力を奪いに来られるのは非常に困ることだからだ。倒されるのもいやだが、倒しも倒されもせず、毎周回ごとに魔力をせびりに来られるのは堪えられない事態といえるだろう。

 そんなときにはランドトランス。ランドトランスを使って土地を換金、空き地にしてしまってクリーチャー移動で魔力を奪いに来るビステアあるいはバンディットから逃げてしまう。

 少々消極的に感じる向きもあるが、これもまた戦略だ。


転送×転送! 予選アイテム雑観の一

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公開日:2001.01.16
最終更新日:2001.09.02
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