前回に引き続き、京都予選で見られたカードをまとめてみよう。今回はアイテムとその運用について。アイテムを使用目的別にわけ、見ていきたい。
攻めのアイテムとなると武器とスクロールが思いだされる。しかし予選では武器こそ多様に見られたものの、スクロールはそれほど多く見ることはなかった。
スクロールの影が薄かったのは、ライフフォースの影響だろう。スペル雑観でも述べたように、ライフフォース対策にバンディットを入れているセプターが多く、戦略的にスクロールよりも直接打撃力が求められることとなる。バンディットは援護能力を持つため、クリーチャーを武器として使うことも可能。人気のクリーチャーは、HP、STともに高いわりに安価なスチームギア、定番の組みあわせだ。これだと臨機応変に配置もでき、防具代わりにもなるので便利だ。
武器は主に、ダイナマイト、オーディンランス、マサムネなどの攻撃力の高いものが好まれ、盛大に魔力の奪い合いがおこなわれていた。また、先制クリーチャー対策としてか、ファルコンソードを入れていたものもあった。
Eカードの使用が解禁されていたこともあり、テレイアを入れているものは多く、逆にイクシアは見なかった。イクシアよりも、攻撃力と水地属性クリーチャーを即死させる能力において優れているためだろう。
スクロールでは、フュージョンも見るには見られたが、特筆すべきはチャームだろう。対象となる種族は限られるものの、六割の確率で懐柔できるその効果ゆえだろう。しかしどちらのスクロールも、実際に使われるところを見ることができなかったのは、少々残念である。
防具はその使用効率ゆえか、まったくといっていいほど見なかった。鎧はおろか盾もなし、防具に手札を食われるくらいなら、攻めにも守りにも使えるグレムリンアムルを入れる、といったところなのだろうか。
むしろ目立ったのは、死なせて守るというのか、ネクロスカラベだった。実際のところ、多発する戦闘のために、土地のやり取りは思いのほか多い。そのためか、クリーチャーを守りきれないのなら、いっそ守らず死なせて、ゾンビに変えて、土地を守っただけでなく、ゴールドグースとあわせて再利用までしてしまうという、そういう最後の最後まで使い尽くす戦略が見うけられた。
後はカウンターアムルが、定番どころながら登場。バンディットの魔力盗みに対抗するため、無効化や反射を持つクリーチャーとならんで、多く使われていた。ライフフォース下で戦うことを前提とした戦略に対する、さらなる対策なのだろう。カウンターアムルはバンディット以外のクリーチャーに対しても役立ってくれるため、つぶしがきいて便利。
単なる防御目的のアイテムではなく、さらなるプラスαを持つアイテムでないと、多様な局面が予測される実戦では、力不足なのかも知れない。
ライフフォースをかけられ、かつ帰城できないような状況に陥れば、当面の問題は魔力ということになる。そのような状況下において、魔力を用立てるために魔力盗みをもつクリーチャーが脚光を浴びることとなり、同様に魔力を生み出すアイテムも日の目を見ることとなる。
具体的にいえば、ゴールドグースだ。倒されたクリーチャーのHPに5をかけた魔力を得ることのできるこのアイテムは、HPが高く死にやすいクリーチャーとの相性がいい。この矛盾する特性を持ったクリーチャーには、戦闘終了時にHPが20減るゾンビや、偶数ラウンドにHPが半分になるアルマジロがいる。ちなみに、ゾンビで250G、アルマジロなら300Gが得られる。
しかし、30ラウンドという制限がある大会ルール下では、現在のラウンドが奇数か偶数かを気にしながらアイテムを使うというような悠長さは向いていない。とのことで、一般と同様、ゾンビがあわせられることとなる。
このゴールドグース作戦を使うなら、上でもあげたように、ゾンビを供給してくれるアイテム、ネクロスカラベで土地を守るのがいいかも知れない。ゾンビなら仮置きに使ってもいいし、攻めてこられたらゴールドグースを使ってもいいし、ネクロスカラベでまたゾンビにしてしまってもいい。
また、総魔力を増やす手段として、パイエティコインも見られた。考え方はオムニポーテントの「神々の恵み」と同様、コラプションを持ってくるものもいないだろう「転送×転送!」において、もっとも守られている資産である護符を手に入れるのだ。
けれど、残念ながら実際にパイエティコインが護符を生み出すところを見ることはなかった。とにかく相手を倒さなければ効力を発揮しないために、なかなかその機会に恵まれにくいのも事実だろう。アイテムを持たず敵を倒せる状況が、そういつも都合のいいときに生じるわけではない。
けれど皮肉なことに、手元にそのアイテムがないときに限って、そういう状況に恵まれたりするのだ。そういうときは、つくづくカルドラの寵愛に恵まれないと、すっぱりあきらめてしまおう。その方が、きっと先が見えてくる。