ガンパレード・マーチ

初戦ことごと日報:疾走の先に気付けばひとり

(盛大にネタばれをしています 未クリアの人は注意して下さい)

 昨日の雨で教室が水浸しになってしまった。このままじゃいかんだろうということで、今回の目標のひとつとして、みんなで校舎の修理をしよう、と提案することにしました。有り体にいうと作戦会議を開くのだけれど、会議を開くのは初めてのこととなるのでちょっと緊張します。

 その他の目標としては、さらに友達を増やすため、中村と遠坂に積極的に話しかけること。そして三号機をさらに強化することをあげておきます。特に三号機の強化に関しては、少々金にものを言わせたいと思っています。
 つまり、このふたつの目標は少々重なり合っているわけです。

 では、いってまいりましょう。


四月十二日:戦い明けて次の戦いへ

 親衛隊が結成されたみたいだ。学校に行くと、隣の女子高生が名前を呼んでくれて照れるんだけど、これって二回目? とにかく魅力が上がったりして、ちょっと困ってしまう。だって、芝村が。

 女の子の黄色い声を背に浴びながら、ハンガーまで急ぎ走った。昨日の戦闘で煙幕弾頭を使い切っている。このままで午後にでも出動があったら危機に陥る。ついでに装備品のチェックもしてみたら、煙幕弾頭のストックが少なくなってきている? 後で陳情しておかなければ。

 ゆっくりしていたら、教室への時間ぎりぎり。途中にいた石津に声をかけて、ふたりで教室へと急いだ。
 HRで芝村準竜師から連絡があり、千翼長に昇進した。不敵な笑みを浮かべている自分にふと気がつく。少しずつ、芝村といわれる一族に近づきつつあるのだろうか。芝村という一族が一体どういうのかよくわからない今、なにやら不安な気持ちが胸の奥に沸き上がる。一体なんなんだろう。

 昼に作戦会議を提案する。明日の朝に開かれるということで、ちょっと楽しみだ。けれど、今日提案して明日になるとは思っていなかった。初めてのことなので、わからないことが一杯だ。楽しみの中に不安も少し。
 その後、ののみに誘われて、みなで食堂へ。ささいなことなんだけど、平和な日常からかけ離れた生活のなかで、こういう時間、会話をもてることはとても貴重に感じられる。ずっとこんなだったらいいのに、とあらぬ今を思ってしまった。

 今その時間がないなら、いずれ勝ち取ればいい。そのためには強くなること。装備品の陳情で減った発言力の補充も含め、仕事に打ち込む。裏マーケットに行き、改良アビオニクスと強化人工筋肉を購入し、アイテムでパワーアップ。遠坂とのトレード用に紙飛行機とてるてる坊主を購入する。
 ミサイルをどれだけ当てられるかが勝負の分かれ目になるので、夜戦技能が欲しいところ。公園に行って訓練に精を出すが得られず、学校に戻り白兵技能をレベル2にあげた。一体、いつ白兵戦が必要になるかわからない。ポテンシャルは高いほうがいい。

 善行、部隊を八代地区に転戦させる。八代地区は、今や最も幻獣に押されている地域。近く、戦闘に入るだろう。武者震いにふるえる。

四月十三日:戦闘回避、楽しくお仕事

 会議が開始された。議題は校舎の修理について。芝村、滝川、森、壬生屋が賛成に票を投じ、残りは反対とのことだった。まさに5対3。賛成有利の展開。ここで委員長の下した結論は、賛成。今日は、校舎の修理だ。

 実際に校舎の修理に入ると、反対していた岩田が張り切って仕事をしてくれて、なんだか嬉しい。あいつと友達になってみようかな。来須は意外や人気者で、善行と石津がいい雰囲気を出していた。あのふたり、くっつくといいかも。善行は細かいところに気がつきそうなので、石津を大切にしてくれるかも知れない。

 ところで、意外なことが発覚。いつの間にか盗聴器が!? 油断できん女だ、芝村……

 本日は戦闘が無し、さらに善行が敵の少ない地区に転戦したことから、ここしばらくは平和が続きそうだ。束の間に過ぎないだろうけれど。

四月十四日:切ない言葉

 森にかっさらわれて教室へ。だが、ここしばらく戦闘が無いので特に危機にはならないだろう。けれど、こういう気の抜けたときが一番危ない。気を引き締めなければならない。人類と幻獣はいまだ膠着状態を続けている。

 昼休み、遠坂に会いによった二組の教室で、また不吉なことをいっている茜を見る。なんで彼はああなんだろう。気になって何度も話しかけているうちに、友情が高まるのを感じる。きっと彼は淋しさやなんかで、自暴自棄気味になってるのだろう。支えてやらなければ。

 その茜が突然、お昼に行こうと呼びかけた。教室にいたのは狩谷と原とブータ。全員で食堂に行ってお昼。こうやって、茜がクラスに溶け込んで、自分を愛せるようになって欲しいと思う。彼を支える友達、彼が支える友達、そういう関係を築いて欲しいと思う。

 遠坂を探してふらふらしていたら、田代から昇進祝いをもらった。うさぎのキーホルダー。大したものじゃない、大したものじゃないけどこういうものこそないがしろにできるものではない。誰かにあげられようものでなし、なおさら捨てられるものでもなし。
 こうして、思いでの品やなにかを人は抱えていくものなんだろうね。煩わしく思うか、大切に思うか、僕は後者でありたい。

 ハンガーから出ようとして、シャワー室からの萌の声を聞く。彼女の葛藤、自分の伝えたいことをどうしてもうまくしゃべることができず、咽喉を押さえ、血を流している彼女の葛藤を知り、切なさに身が切られるようだ。人は悲しいものだと思う。
 彼女にこそ、仕合せがあって欲しい。

 その後、遠坂から金の延べ棒を紙飛行機と交換してもらった。さっそく裏マーケットに行き、士魂号のパワーアップをする。少しでも、少しでも強化しておきたい。

 ところで、ついに滝川ともHな雰囲気に陥ってしまった。実はすでに猫ともHな雰囲気に。なんか間違ってる。

 夜戦技能、戦車技能ともにレベル3に。善行、再び部隊を八代地区に。明日は戦闘を覚悟しよう。

四月十五日:今日は雨、晴れたらいいのに

 茜が芝村準竜師に対して凶行をはたらこうとしたところを阻止。茜は傷つき、落ち込んで見える。今日は雨、悲しい一日の始まり。せっかく修繕したところの校舎がまた駄目になったらたまらないと、これ以上雨で悲しくなったらたまらないと、持っていた田代のてるてる坊主で、雨を止めた。

 HRで勲章をもらった。生徒会連合特別徽章。仕事が評価されたといえばそうなのだけれど、遠坂の協力のたまものだ。彼に静かに感謝しておこう。

 午後に入っても戦闘はなく、いつ何が起きてもいいように体力気力に気を配りながら仕事を続ける。岩田から全力射撃を教えてもらったところで出動がかかる。

 八代戦区。敵はスキュラを含むおなじみのもの。煙幕弾頭から戦闘を開始する。八代戦区は地形が入り組んでおり、射線妨害が起こりやすい。とにかく、ミサイルで決めていきたいところだ。

 敵中心に飛び込み、例のごとくミサイル発射シークエンス。雑魚を一網打尽としたところで、掃討戦に移行。逃げる敵を追うさなか、敵増援確認の報が入る。折りを見て、ミサイルを装填。敵の増援に対する手だてを講じておく。

 敵増援が到着とともに、敵密集区域に飛び込み、防御をはしょってミサイル発射シークエンスをとる。敵を再び仕留め、残党を狩るため横飛びをくり返し生き残りを追う。

 そこでガンパレード・マーチ。敵の撤退を食い止めようとする。

 しかしこれは失敗だった。スキュラなど足の速いものは逃げ切ってしまったのでまだしも、撤退を阻止され居直った雑魚に味方の歩兵がやられてしまった。あそこで歌いさえしなければ、死者をいたずらに増やすことはなかった。おとなしく、撤退する敵を討っていればよかったんだ。

 自分の行為に後悔しても、後悔はもう追いつかない。名も無き兵士の冥福を祈ろう。

 部隊は水俣へ転戦した。


四月十六日:栄誉と板挟みと平謝り

 学校に行ったら英雄になっていた。

 例のごとくハンガーでの装備チェックを終え戻った教室で、石津に話しかけた。好きな人はいるのと気軽に聞いた答えが、心をしめつけた。けれど、僕には彼女の好意を受け入れることは出来ないんだ。彼女の視線に応えることが出来ず、いたずらに傷つけることになってしまった。
 教室に入ってきた来須に彼女のことを託した。なんとか、彼女の心を癒して欲しい。

 HRで勲章授与。黄金剣翼突撃勲章を受ける。それで得た発言力をもって、昇進と、装備を陳情した。しかし本当は複座型突撃仕様の予備機を陳情したほうがいいはずなのだが。それは、いずれに回そう。それまで負けてはならない。勝ち続けなければならない。

 隊長室を出たところで争奪戦発生。ののみ、またののみ!? とヨーコだ。しかし、なぜヨーコ? こればかりはわからない。なぜヨーコなのだろう。彼女には、取り立てて何もしていないはずだ。それほど話しかけてもいないし、提案もほとんどしていない。
 なぜだかわからないが、争奪戦発生で一気に雰囲気悪化、発言力も大幅にダウンしてしまった。

 弱りながらも仕事をする。そんななかで、芝村から気になることを聞く。ヒーローと呼ばれる人間の決戦存在についての話はすでに聞いた。対し幻獣の決戦存在こそが竜であり、それは人間の決戦存在が現れるとその前に姿をあらわすだろうということだった。
 戦うのか? それを許すとは? 彼女の言葉の謎に振り回される。わからないばかりだ。

 わかっていることは、芝村の目指そうとするところが幻獣を狩りまくり、三百の撃墜数を手にすることだ。後二十日あまり。それだけの働きができるのだろうか。それに、今の時点で友達が僕を遠巻きに見るようになっているというのに、もしその高みに達したとき僕は一体どうなるというのだろうか。
 謎と疑問が、不安と迷いを呼んでいる。

 そんななかでの朗報は、岩田から特別な提案、あやまるを教えてもらえたことだろう。さっそくののみに謝り、ヨーコに謝った。
 この騒動の中で、気がつけば発言力が激減している。これは少し危ないかも知れない。

 白兵をレベル3に。今日が終わり、仕事のレポートを見ると石津の頑張りが見えて、少し嬉しく思う。彼女にこそ仕合せがあって欲しい。

 山鹿戦区に転戦。


初戦ことごと日報:戦闘する主体としての速水

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公開日:2000.11.29
最終更新日:2001.09.02
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