(盛大にネタばれをしています 未クリアの人は注意して下さい)
最近ふと気がつくと、速水って意外と嫌なやつになってないだろうか。はじめのうちは初々しさもあって、勲章授与のときになんかほほ笑ましささえ感じたほどだったのに、いまやもらいなれたのか偉くなってしまったからなのか、ふてぶてしさの方が強く感じられるほどになってしまっている。
こういうとき、そして校舎の修理で見せる速水の意外な一面を見せられたとき、あくまでも速水は自分とは別の人間で、自分は速水を演じているだけなんだと気付かされて、はっとする。そういう独特の距離感があって、それがこのゲームのそこかしこに見られて、そのたびに自分は熊本にはいないんだと思い知らされて。この没入感と疎外感とのバランスがこのゲームの胆かと思う。
とりあえず、速水が身近にいたら悪い噂でも流してやりたくなるかも。偉いということは嫉まれるのです。
また雨……
あの映っていう子――死んでしまったらしい。ミノタウロスに――無残な死に方だったようだ――
今日が雨だったのも仕方がなかったんだ――と思った……
銀剣突撃勲章をもらった。もうなんとも思わない。それよりもいまは、この雨が心に重くのし掛かっている。
遠坂を探した。田辺の作ったよく効くてるてる坊主、確か彼がひとつ持っているはずだ。会う人ごとに彼の行方を聞き、遠坂の足取りを追った。校門に走りハンガーへ走り、教室へ戻り、校舎前でついに彼を見付けた。整備班である彼の損にならないように、工具箱と交換してもらい、てるてる坊主を使った。
この陰気な雨を、どうしても止ませたかったんだ。
この一連のことで、遠坂と親友になった。そうしたら、彼の普段口にしない側面が見えて、彼もまた彼なりに悩み考えているのだと知った。きっと、いまの自分よりもいいやつなんだろうと思った。
雨が止んで、快晴。しかし青天の霹靂で、芝村が加藤と激突した。芝村が加藤に食ってかかり、争奪戦が発生したのだ。辺り一帯に広がる嫌な雰囲気の中で、謝るために二人を追った。
しかし、校舎前で加藤に話しかけたとき、心労がたたったのだろうか、加藤が倒れてしまった。まだHRがすんでいないのだが、放っておくわけにはいかないだろう。彼女を連れて帰り、今日が終わった。
そういえば、昼休み、遠坂を探している間に聞いた、謎の声はなんだったんだろう。人間の領域にとどまれという声。けれど、けれどもう後戻りはできないじゃないか。幻獣がでれば、僕はきっとまた彼らを殺しに駆け出してしまう。
自然休戦期を目前として焦りがでたのか、壬生屋機を勝手に士魂号に戻してしまった。少しでも彼らが前にでないようにして、すべてを自分が引き受けるつもりでいる。彼らはこの行為をどう思うだろうか。本来ならば、軍法会議ものだろう。
若宮と、そして先生達と昼食に出て、午後の授業までのわずかな間、狩谷に会った。昨日の加藤のこと、狩谷に話したのだった。
最近はすっかり丸くなったと思っていた狩谷だったが、いまだ歪んだ部分を抱き続けている。なんとか彼を助けたいと、彼と加藤を助けたいと思ったのだが、それは無理なのだろうか。
狩谷にはわかれる間際に、加藤と仲良くしてくれるように頼んだ。快諾してくれたが信用できない自分がいる。
岩田に誰が好きかと聞いた。そうしたら、東原なのだそうだ。なぜ彼女はそんなにも人気なのだろうか。驚きを隠しえないが、彼女がいい子であることは論を待たない。この人気も致し方ないのかもしれないと思い、自分を誤魔化しておこう。
午後、新井木と若宮が喧嘩をしていた。一体なにがあったのだろうか。やはり喧嘩をふっかけたのは新井木なのだろうか。どうしてみな、こんなにも仲間が少ない今、仲良くできないのだろうか。
出撃、川尻−宇土戦区。敵はゴブリンやヒトウバンといった、弱小幻獣ばかりだ。あっという間に殲滅。こうまでなると、逆に彼らに哀れみさえ覚えてしまう。
二十撃退し、そのうち速水撃墜数は十六。士翼を廃棄までしたというのに、壬生屋、滝川両機の突進力は変わらず。早まってもったいないことをしてしまったんじゃないだろうか。
今日も芝村に謝れないまま。
後二十で三百に達する。
しかし、芝村と仲直りできないのが辛い。
午後から雨になった。
今まで持ち続けていた映のクッキー、ついに食べた。いつまでも心に引っ掛かりを残していては、お互いのためにいけないと思ったから。
苦い思い出。
昼休み、ついに芝村に謝ることができた。このために買っておいたショートケーキをプレゼントした。次いで、デートの約束まで取り付ける。このことを予測して、準竜師にボーリングチケットも陳情しておいたんだ。駄目なら、無駄にするところだった。
結局元の鞘に収まり、恋人たちってやつはやっとられんねえ。
原整備班長にインタビュー。って、もしかしておいらのこと?
田代と岩田が喧嘩。なぜ今日昨日と、こんなに喧嘩ばかりなんだろう。閉塞的な戦時の空気が、いらぬフラストレーションとストレスをいやましているのだろうか。
陰鬱な気分は、雨のためばかりではない。
授業が終わって、出撃。人吉戦区には、久々のスキュラがいた。
たった一体のスキュラに煙幕弾頭を使う必要もないと判断し、果敢に突っ込んでいった。ミサイル発射シークエンスに入り、相変わらず突出してきた壬生屋機をスキュラが襲う。しかしレーザーは当たらず、続けて速水三号機を撃つレーザーも外した。
敵援軍が確認されるものの、ミサイルが発射され掃討戦に移行してから敵援軍が到着した。
ミサイル、弾倉交換。援軍の中央に躍り出て発射態勢をとる。発射を待つ間、次々と狩られていく幻獣たち。壬生屋、滝川機ならともかく、指揮者でさえも果敢に幻獣と立ち向かい、撃墜数を増やしていく。
ミサイルが発射され、本当の掃討戦に移行する。ガンパレード・マーチを歌いはじめるが、歌い終わる間もなく、戦闘は終わった。
総撃墜数三十一のうち、自分の獲物は二十一。
撃墜数が三百に達した。