前回記事から半月空いて、ああー、こりゃ早々に飽きやがったなと思われた方もいらっしゃったかも知れない。だとしたら、ご心配おかけして申し訳なかった。この半月、おおっぴらにしないながらも少しずつ進めていて、現在は純耶佳奈ルートを攻略している最中。順調といえるかどうかはともかく、立ち止まったり、ましてや投げ出したりなどしていないことは、ここにはっきりといっておきたい。
といったわけで、例のごとく進捗状況を置いておくので、それを参考に読む読まないを決めていただきたい。とはいえ、発売後ひと月がたって、そろそろこのネタバレよけも無意味になってきたかも知れないね。でも、ゆっくりしか進められない人もいるだろうから、やるだけはやっておこう。
このゲーム、幻想界の序盤は澪泉双葉、純耶佳奈ルートと分岐しているわけでなく、共通ルートと呼ばれる、どちらのヒロインがメインというわけでもないルートが用意されている。そこでは双葉、佳奈ともに登場して、主人公及び物語に関わっているのだが、ところが個別ルートに入るともう一方のヒロインの影が驚くほどに薄くなってしまうのだ。私が最初にプレイしたのは双葉ルートであったが、そこでは驚くほどに佳奈の存在が希薄になってしまい、それはあたかも最初から存在しなかったと思いかねないほど。しかし、この法則は佳奈ルートにおいても健在で、いやあ、双葉がルートに入ってしばらくしたら出てこなくなってしまいましてね、いや彼女の場合出なくなったというより入っちゃったんですけど、ええと、留置所? 深夜の図書室での疑惑から彼女がフィサリスであることが判明、心霊管理局に確保されちゃったわけです。ああ、さよなら双葉。よって以降は、カナカナの独壇場となるのであります。
しかし佳奈ルートに入った時には驚きました。かなりの大きさのチャートが一気に出現して、まさしくたまげました。前作『Lの季節』では、鈴科、舞波のルートといってもストーリーはほぼ共有、ただ辿る道筋が違うといった程度でしたから、今作の分岐のダイナミックさには本当に驚いて、すごいなと、本当にすごいなと感心しました。
第一回目の佳奈ルートは、こんな具合になりました。
深夜の図書室から佳奈ルートに分岐、魔水晶を破壊した後、ふたりで双葉に接触、ニューロマンシーを成功させて、自首を勧めつつ、白魔術のレッスンを受け、疑心暗鬼から双葉への接近を望みつつも断られ、仕方ないから接続の諒解をとって舞波優希に接続、佳奈の正義の鉄槌、ニューロマンシー、ノリちゃんで封印を解いた後、誰も死なないエンドへとなだれ込みました。
最初に見た佳奈エンドは2でした。ふたりで勘当されてしまうというエンドで、そこではふたりはラブラブで、まさしくハッピーエンドって感じではあるのですが、でも勘当されてるからなあ。もしかしたら、勘当されることなく皆で生き残る道もあるのかなと思ったんだけど、チャートを見ればもうひとつはどう考えても人死にが出そうで、つうことは、九門が死ぬか佳奈が死ぬかか。九門、逃げてー! 果たして、私の予想は大正解。佳奈を守りたい一心で舞波優希に殺されることを選ぶ九門の物語はつらさに身を切られるようで、痛ましさの中に、九門の佳奈への、そして佳奈の九門への思いがにじむようで、いやあ泣くね。けど、あんまり見たいエンドじゃないなあ。そう思っていたら、佳奈死亡エンドはその比ではなかった。いやあ、泣くね、九門の情けなさに。佳奈にすがって、そして佳奈がいよいよ死のうと決める、その時までだらしなさを最大に発揮して、いやー、九門、やめてー。つらかった。つらさに泣きそうだった。こんな情けない主人公、いやだ。前回、九門を評して、思う存分甘えればいいじゃないか。お姉ちゃーんといいながら、純耶佳奈の胸にでも飛び込めよ!
なんていってたけど、それがこんなにも情けないとは。というか、実際にお姉ちゃんって出てたのにはまいりましたが、しかしこんな九門を守るために命を捨てた佳奈は、本当に可哀相だ。いっそ、舞波優希が気を利かせて、ばっさりやってくれたらよかったのに。そう思うくらいに最低なエンド。と思ってたら、これバッドエンドで、あー、そりゃバッドに分類するよね。納得でした。
しかしここで思わぬことが。なんと、九門死亡エンド、ええと佳奈エンド (1)なんだけど、なぜかこれだけが既読率100%になってない。ええーっ! なんか分岐するのか? それはもしかしたら、感情値の大小で、佳奈がルーンテレパスに抗う、抗わないの分岐があるとかか!? うはー、それを潰すのはつらいよ。なんて思いながら、何度このエンドみたかわからない。そりゃほとんどはスキップさ。けれどたまには読むのよ。死を決意した九門に、なんとか思いとどまらせようと声を振り絞る佳奈、淡々とルーンテレパスを用意させる九門にかけるリファの言葉も極まっていて、ああ、このリファってやつは、本当に九門のいい相棒だったんだなってわかって、それもまた涙を絞るよ。接続終了を指示する九門に、これがリファの最後の仕事ですねと答える、その一言にリファの九門との関係性が想像されて、たまらなかった。で、この後がルーンテレパスに抗う佳奈でしょう? 舞波優希にすがって、かずまさんをころさないで、もう、もう!
あ、このブロックにおける未読ですが、感情値に基づく分岐でなくて、過去のルート選択によって生じるテキストの表示わけが問題でした。疑心暗鬼発生後、ということはトリスメギストスによる介入の後ですが、佳奈に接続を成功させ、封印結界を解くルートを辿ると、そこでルーンテレパスが使用される。つまり、ラストシーンにおける一世一代の二人同時接続シーンでのテキストに違いが出る。佳奈がルーンテレパスを知っているかいないか、それだけの違いであったわけだ。よって、佳奈ルートのエンドがらみのテキストはコンプリート。いや、しかし、完全コンプリートを目指すと死ぬね。実際に死ぬわけじゃないけど、いやあ、つらいね。
どうでもいいこと、馬鹿なことも書いておかないと気が済まないので、もう少々おつきあいを。
昼食がシュークリーム、そういうことも珍しくないという純耶家、しかも佳奈は一日三食シュークリームでもかまわないなんていっていて、そんな食生活いやだな、と思ったら、次のリファの台詞が、そんな食生活願い下げときて、この脳内妖精、妙に気が合う感じだぞ。実際ああいうエージェント、ええとSEの用語ではアシスタント――CAか、自分の脳にインストールできるものならしたいもんだ。昔Windowsではデスクトップに常駐させるアシスタントプログラムが流行したそうだけど、そんな感じになるのかな。実際にいたらうっとうしいのかも知れないけれど、第三者的なアドバイスをもらえる上、記憶の管理も完璧にこなしてくれるわけだから、これは本当にいたら嬉しいアシスタントだと思うけど、特にリファはかわいいし、まあ妄想で我慢しとくか……。しかし、妄想はしょせん妄想だもんなあ。妄想では腹は膨れません。
佳奈ルートをクリアすることでわかるのが、星原さんの種族。純耶栖橘の手記に現れるバンシー、それがほかならぬ幻想界における過去の星原で、そうか、やっぱりバンシーだったのか。トリスメギストスが星原さんに、死の妖精と呼びかけていたから、ということはバンシーなのかなと、けれどバンシーに人の意識や記憶を操るような伝承なんてあったっけと思っていたのだけれど、今作でめでたく人の意識を操る技術がニューロマンシーとして独立したことで、問題なく納得。けれど彼女が精霊管理局のエージェントだったというのは、仕方ないんだろうけど、ちょっとやだ。さすがに無理矢理感があるっていうか、潜入捜査に入った先で、監視対象に恋をしたってことになるのか? いや、どうなんだろう。もしかしたらこのあたりは、楢山遥攻略で触れられたりするんだろうか。だって、楢山遥は潜入先で調査対象に恋しちゃうわけでしょう? ちょっと楽しみにしてみるか。けど、多分星原さんの過去に踏み込んで語られることはないんだろうな。
あとは、カナカナの泣きながら見下ろしてくれる、鉄槌後の保健室の一枚絵、制服上着がジャージ素材に見えてちょっといやーんだとか、実はカナカナは私よりも重いであるとか、身長は私の方があるんだけどな! そういう微妙にアレな話題しか思いつかないので、今日はこのへんでごきげんよう。とりあえず、佳奈ルートをもう少しさらってみて、その後は本気の香野由香に向かう予定。では、いざさらばです。