『Lの季節2』、香野由香の攻略を進めている途中であるのだが、しかしシナリオを読み進めるのがしんどくなってしまったとでもいうのか、時に未読つぶしをしたくなってしまうのだ。かくして、香野由香攻略の途中、具体的にいえばお茶でも飲まない? の選択肢の出たところで、いったん攻略をストップ、未読潰しに走ってしまった。そしてその結果が、香野 由香エンド (2)だ。ああ、まさか、こんな、こんなことがあるだなんて!
久々に進捗状況がアップデートされた。香野 由香エンドの2が追加されている。といったわけで、今回は主に香野 由香エンドの2について書かれることだろう。未読の人間は、絶対に読まないことをおすすめする。
はじめに断っておくと、香野 由香エンド (2)はグッドエンドはグッドエンドでも、印象としてはあまりグッドな感じはしない。以前にいっていたエンドの区分、ええと、ちょっと引用しようか。
次にたどり着いたのが香野 由香エンド (3)、そして香野 由香エンド (6)だった。このふたつは基本的に流れを同じくしている。3は天羽さんが合流、星原が失われるという局面から分岐するもの。ちょいバッド風味。あまりにつらい事実を受け入れられない香野と別れ、河瀬はもとの日常に回帰する。いや、それを回帰といってよいのか。河瀬とともに喪失感を胸いっぱいに感じる、そんなエンドだ。つらい。6は、誰も合流してこないエンド。星原が失われ、そして香野との切ない別れ、しかしその後がある。
香野 由香エンド (2)は香野 由香エンド (3)に向かう直前で分岐する。トリスメギストス上岡と星原さんが対峙する現場に合流、その後天羽さんが加わり、そして星原が失われる。そこまでは同じ。しかし、星原さんは上岡を伴って消滅、後に幻想界のエージェント、舞波優希と九門、澪泉の介入を受け、記憶の操作をうける。天羽さんは事件を忘れ、そしておそらくは上岡のことも星原さんのことも忘れさせられたのだろう。香野由香は、記憶を操作された後、本来の生活に復帰、学園を去り、そして同じく記憶を操作された河瀬は、七角ペンダントのためだろうか、記憶を失うこともなく、事件のその後、顛末を回顧する……。
Real 18-1「混乱の中の行動」
星原「何もかも忘れて眠りにつくのと、全てを知って後悔するのとでは、どちらが良いと思いますか?」
前作の星原さんの上岡に対する問い掛けであるのだが、香野 由香エンド (2)こそは「何もかも忘れて眠りにつく」エンドであったと思う。河瀬は失われた人、去っていった人を偲び、そして青いヒガンバナに星原さんの生存を期待しながら、天羽さんと言葉を交わす。大切な人の思い出を失ってしまった天羽碧と……。
そして、エンディング。流れるスタッフロール、その時、これまで何度も耳にしたイントロが、私をはっとさせて、それは忘れもしない『手ごたえのない愛』。ああ、残されていたエンディングはこれだったのかと理解して、これこそは前作プレイヤーへのサービスだろう。青いヒガンバナから始まった物語は青いヒガンバナに回帰して終わった。
このエンディングに向かう最後のブロックに付けられたタイトルが「Lの季節」だった。迷宮の季節? それはわからないが、一年前から続く事件を清算できず、もっとも望ましくない終わりを見せる。こうしたブロックに前作タイトルのつけられていることに多少の不満を感じながら、けれどそれでも前作を濃厚に思い出させたエンディングには感慨もあって、ああ、やっぱり私は前作が好きだなと思ったのだった。だから、それだけにブロック「Lの季節」における河瀬の選択、SEを用い自分の事件に関する記憶を封印する、はショックで、考えても見て欲しい、『Lの季節』という物語は、「何もかも忘れて眠りにつく」のではなく、「全てを知って後悔」しようとも歩を進める、そういう物語であったと思うからだ。
実は、この記事を書くにあたり、軽く前作をプレイしてみたのだった。理由は大変ばかばかしいもので、上の引用、星原さんの問い掛けを正確に書き写すため、であったのだが、問題のブロック18-1を過ぎても、気持ちを止めることができず、結局星原百合エンドにたどり着くまでプレイしてしまった。一度目は鵜野杜ルートに迷い込み、リセット、ついでは下校イベントと図書室での口出しを落としてしまいバッドエンド、思った以上にシビアなゲームだったんだなあと驚きながら、それ以上に、最適ルートを忘れてしまっていた自分に落胆しながら、星原百合エンドを迎え、そして私は思った。
『Lの季節2』とは、『Lの季節』において最善のエンドを迎えられなかった、そうした前提にもとづいた話なのかも知れない。私が読んだのは星原百合ルートで、しかし天羽碧ルートであってもその感想は変わらないだろう。上岡は、彼女のいずれかとともにトリスメギストスを押さえ、そして受け入れることで、この世界に帰ってくる。完全と安らぎを放棄しても、あえて弱さを受け入れ、この世界に帰ってきた彼らに、再びあのような事件が降りかかるというのは納得できない。『Lの季節』をプレイすることで膨らんだこの違和感は、『Lの季節』がその単体で充足し、完結しようとした、その傾向のためなのだろう。だから、『Lの季節2』をプレイする際には、あえて『Lの季節』の物語を、特にヒロインとともに迎えるエンディングを下敷きにするべきではない。ベストを目指しながらも、どこか足りないところのあった、そうした描かれていないエンド、その続きが『Lの季節2』であると思うべきなのだろう。
と、ここまで書いてみて、実は無性に天羽碧攻略をしたくて、それから東由利鼓、弓倉姉妹、彼女らの物語も読んでみたくなって、けれどここで前作に帰ってしまっては、きっと『Lの季節2』は完結させられないままに放置されるに違いない……。
だから、そこはぐっと我慢して、『Lの季節2』をプレイする。なんとかコンプリートしたら『Lの季節』に戻ってみよう! かくして私が『Missing Blue』をプレイ開始する日はなおも遅れる。そんな予感がひしひしとしたところで今日は終わり。でも明日もおそらく『Lの季節2』で書くだろうと思う。