Lの季節2

現実界攻略中、『Lの季節2』、これは、これは、まさしくOKだ

 『Lの季節2』、現実界を鋭意攻略中。さて、昨日はとある選択肢においてどちらを取ったものか選びあぐねた揚げ句、うどんを茹でだすという暴挙に出たところで中断。しかしその中断は私に重要なことを教えてくれたのであったよ。『Lの季節2』は前作と違い、なんとスクリーンセーバーがないんだ! うどん茹で終わって戻ってきたら、普通に2D MAPが表示されっぱなしになっていて、ああ、そうか、と気付いた次第。けど、普通ゲームする時は画面つけっぱなしにすることはほとんどないわけで、なのに『Lの季節』には付いていたスクリーンセーバー。いまいちその意図というかなんというかがわからなかったという代物で、だからなくなってても当然なんだけど、付いていたらそれはそれで嬉しかったかも。けど、なくても別にマイナス評価にはならんですね。いや、もしかしたらあるのかな? 全部のエンディングを見たら出てくるとかだったらどうしよう。

 さて、『Lの季節2』、現実界の攻略は一段落つきまして、じゃあ、進捗状況とSEボタン置いておくから、接続準備が完了したら押してくれたまえ。

進捗状況

幻想界
澪泉 双葉エンド (1)クリア
現実界
香野 由香エンド (3), (4), (6)クリア

これ、涙とまらんね、もう

 逃げていった澪泉を追うか追わないか、考えて考えて、考えあぐねてうどんを茹でて、よし、追おう、決心したら、なにー、まさか楢山に足をかけられて転ぶだなんて思いもしなかった。うう、悩んだ時間を返せ。

 私が最初にたどり着いたエンドは香野 由香エンド (4)だった。星原さんの魔力を受け継ぐことなく(すなわち七角ペンダントが割れる!)、そして幻想界からやってきたもう一人の主人公九門一馬の意識を奪わないことで成立するエンドであるが、最初のグッドエンドがこれだったのは、私にとっては幸いなことであったと思う。トリスメギストスとの対決において、現実界のメンバーである河瀬、香野、そして星原さんと、幻想界のメンバー、九門、澪泉、そして舞波優希が共闘するというシナリオは、私の以前期待していたもので、私の危惧を払拭するもので、そして誰も欠けることのないという最良のものであったと思う。私は安堵とともにひとつのストーリーを読み終えて、ああ、まさしく安堵だった。星原さんに過剰な役割が与えられなかったシナリオ。ひとつの目標に皆が向かったことで勝ち得た勝利。綺麗すぎるよね。あるいはご都合主義?

 もし、このラストにご都合主義的な色合いを感じるというのなら、是非他のエンドを目指していただきたい。

 次にたどり着いたのが香野 由香エンド (3)、そして香野 由香エンド (6)だった。このふたつは基本的に流れを同じくしている。3は天羽さんが合流、星原が失われるという局面から分岐するもの。ちょいバッド風味。あまりにつらい事実を受け入れられない香野と別れ、河瀬はもとの日常に回帰する。いや、それを回帰といってよいのか。河瀬とともに喪失感を胸いっぱいに感じる、そんなエンドだ。つらい。6は、誰も合流してこないエンド。星原が失われ、そして香野との切ない別れ、しかしその後がある。

 私は、涙がとまらなかった。だが、泣けば画面が見えなくなる、テキストを追えなくなる。丸めたタオルを口に押し当て、堪えた。耐えて、耐えて、そしてエンドロールにて決壊した。切ないシナリオ、悲しい話。その感触は、前作の「時を越えたさよなら」を思い起こさせて、また泣いた。悲しいからだけでなく、痛ましいからだけでもなく、前作から続く思いと決着にいたるまでの意思、それが心を揺さぶってならないんだ。そしてそれは、彼女においては、三年前の霧城の事件に始まるものであるのだから、それだけの時間、彼女のうちに吹き荒れた感情を思うと、もうたまらない。改めて、『Lの季節』という物語は、星原百合を語るものであると思った。

 今作の現実界ヒロイン、香野由香。彼女は実に凶悪だった。昨日もいっていた。彼女こそが物語の鍵であると。私は香野由香に前作の星原百合の雰囲気を感じ取っていたが、それはまさしく意識的にそうなるよう仕組まれたものであったことは、物語上でも語られて、そして香野由香というリフレインは、星原百合のもしかしたらあり得たかも知れないストーリーを紡いで、それが私にはとりわけ効いた。

 失われた記憶と、ふたつの人格。ひとつは社会生活を送るための代理人格として機能し、そしてもうひとつはSEとしての人格。どちらが主人格であるのかわからない。このふたつに分かたれた人格は、過去を取り戻し、自分の真実を知ろうと望むことで、徐々にひとつの人格に修練していく。おおまかにいうとこういうストーリーがあった。そのストーリーこそは、私が星原百合に望んだものにほかならない。私が以前企画し書いた文書、星原の場合「なぜ彼女は彼女の名を呼んだのか」において、現実界における過去の、すなわち本来の星原百合を百合、現在の、すなわち入れ替わり後の星原百合と星原と呼び、そして本来は別の人格である彼女らが、ひとつの星原百合に統合される可能性を思ったのは、それが私の望む星原百合のストーリーであったからにほかならない。そんな私にとって、今作の香野由香のストーリーがどれほどに働きかけたかわかるかい? それはもう言葉で説明できる領分を越えている。ああ、本当にSEなんて技術があるなら、繋いでもらって、スキャンしてもらいたいぐらいさ。そうしたら、私の脳神経細胞が発火する様を、青白い火花を散らして疾走する様を、これでもかと体感してもらえることだろうのに。それができないというのは、ひとえに残念だ。

 あ、一応断っとくけど、上記文書におけるその結論をもって、『Lの季節2』がその文書に影響されただとか世迷言をいうつもりはないので、そのへんはよろしく諒解いただきたい。だって、タイムスタンプを見て欲しい。書き上がったのはなんせ『Lの季節2』発売の前日、実際には日はあらたまっていたタイミングだったから、参考にできる可能性などこれっぽっちもないのだよ。だから、それだけに、私は強烈に感じたんだ。制作側の思うところと、私の望むところ。それが奇妙に合致することに驚き、そして嬉しさに天を仰いだ。この傾きの一致は、おそらくは、スタッフも私も同様に前作『Lの季節』を大切に思っている、その登場人物を大切に思っている、そしてあまりに多くを背負わされすぎていた星原百合、彼女の重荷を軽減したいと思っている、そんな風に感じさせるものであった。私は本当に嬉しかった。

 私が嬉しかった。それは、星原百合にたいする河瀬、彼の態度もそうだった。前作と違い、今作は現実界側にも異能力者が複数人あって、主人公もその一人。それだけでも星原百合にかかる重圧は軽減すると思われたところが、河瀬はそれを実際に口にして星原さんに告げるのだ。本文書のタイトルに使ったOKだ。あのシーンがどれほど私を嬉しくさせたことか。それは、もう、言葉には表しがたい。でも、現実にはSEなんてないものなあ。だから、私はその嬉しさの万分の一もあなた方に伝えることはできない。だから、是非感じ取って欲しい。私の文書からではなく、『Lの季節2』の物語から、直に感じ取って欲しい。もしあなたが『Lの季節』をプレイし、星原百合を巡る物語に心打たれたものであるなら、必ずや私の思いを理解してくださることと信じる。

 真面目な話は柄じゃない。馬鹿な話いってみよう。

 遅まきながら登場する楢山遥。その登場のタイミングのために、どうしても影が薄くなって、だってこっちはすでに香野由香に感情移入を完了させてるんだから、あのタイミングで楢山さんにシフトするなんてあり得ない。しかし楢山さん、今作随一の戦略的キャラクターとでも申しましょうか、中学生に見えるけれど実際には十九歳、年上、ツンデレ? 気の強い女王様タイプで、見下ろしのイベントグラフィックは、その手の人には強烈に作用しそうだ。というか、今回のグラフィック、なんだか妙にエロくないですか? 変にスカートがまくれあがっていたり、まあパンツ、ただの布ですけど、が見えるようなことはないのですが、あとテキストも、妙にエロくないですか。スリットを指の腹でまさぐるだとか、そういうの。いいんだけどさ、正直ちょっとかないません。いや、嫌いじゃないよ。けど、『Lの季節』ではやめて欲しかったなあってこと。でも、まあいいや。妙に意味深な台詞操る香野由香にドキドキさせられるの、割と嫌じゃなかった。立ち絵の、ちょっと照れた感じ、香野由香も楢山遥も、純耶佳奈も澪泉双葉も、九門一馬もみんなおそろしくかわいくて、まいったな、どうも。正直、抗えないものを感じています。

 ところで、『Lの季節』ではメインヒロインにもヒエラルキーがあるというのが伝統であるようですが、今作では現実界が香野由香で幻想界が澪泉双葉? 正直なところ、純耶佳奈が幻想界のメインメインヒロインだと思っていたから、シナリオ進めてみた時には驚きを隠せませんでした。

 あ、そうだ、忘れないうちに書いておこう。土曜に授業があったり、また誰も携帯電話を持っていなかったりして、こういうところ、やっぱり前作の一年後であって、けどその割に使われる語彙は現在で、そのギャップが変に不思議な感じ。でもしゃあないよね。これは気にしない。そして前作はインターネットはメジャーになろうとしかけていた頃、パソコン通信が全盛期の頃、けど今作はばりばりのネット時代で、コンピュータエイジで、そうした背景の違いがシナリオやギミックに影響していたのが面白い。以上はメモ。今後、もう少し詳しく書くかも知れないし書かないかも知れない。忘れないためのメモ、もう一点追加。ヒロインが微妙にみな理系よりで、そのへんが私の好みにマッチしているのやも知らん。

 以上。

 おつかれさまでしたー。


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公開日:2008.07.13
最終更新日:2008.07.13
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