世界樹の迷宮

難度について

 Nintendo DS用ゲーム『世界樹の迷宮』がなかなかにハードな地下迷宮ものであると聞いて、私は矢も盾もたまらず購入にいたったのですが、それでもどこかにそれほど難しくはないはずだという思い込みを捨てられずにいました。なにしろWizardryに特有のロストのような強烈なペナルティがあるわけでなし、一撃必殺のクリティカルヒットがあるわけでもなし、死者の復活もしくじれば灰になるというわけでもなさそうだ。つまり、ファミコン以来慣れ親しんだ、一般的なRPGであろうと思っていたのです。これはつまり、蹴散らされるために用意された雑魚をたくさん倒してレベルアップし、最後の最後インフレボスをやっつければ終わり。そういったRPGの枠にタッチペンでマッピングをするという新要素を加えたのかなと、悪くいえばこういう前印象を持っていたのです。

 こういう前提に立っていたからこそ私は、ひとりも死人を出さないことを目標にだなんていうことができたのです。

死なないなんてきっと無理

 プレイしてみて理解しましたよ。このゲーム、死人を出さないなんて絶対無理です。絶対、どっかで死にます。よりよくゲームを楽しもうと情報封鎖をしているような人なら、死なないなんてことはあり得ない。だって、敵が強すぎます。それこそ普通にうろうろ歩いていてエンカウントするようなのにも結構手ごわいのがいるようなゲームです。ましてやF.O.Eともなれば、プレイヤーキャラよりも強いのがごろごろしていて、ちょっと作戦を誤れば次のターンからは四人で戦わないといけないような状況に陥ってしまう。正直、こういう感覚はずいぶんと久しぶりのような気がします。『ドラゴンクエストII』においてはじめて痛恨の一撃を喰らったときのことを思い出します。こんな敵楽勝と思っていたところが、一気に形勢逆転される恐怖というか、泡食ってパニック状態といおうか、算を乱して逃げ出しにかかるパーティが目に浮かぶようではありませんか。実際、『世界樹の迷宮』における最初の死者は、うかつに踏み込んだ袋小路でFOEに追いつめられた末に発生しました。F.O.Eとやらがどれほどのものかちょいと試してやろうと戦いを挑んで、あっさりとクリティカルでパラディンが死亡。必死の思いで逃げて、けれどパーティはいまだ袋小路に追いつめられた状態で、もしアリアドネの糸がなければきっと全滅していたことでしょう。

 幸い私はまだ通常のエンカウンターに殺されたことはないのですが、けれど死んでいるのはどれも不用意に接触したFOEのためであったりして、ソードマンの死亡は二体を相手にするはめになったカマキリのためだし、ソードマン二度目の死亡及びアルケミストの死亡も、またまた袋小路に追いつめられた末のこと。くそう、あの鳥なんであんなに強いんだ。

勝つ方法はきっとある

 戦闘において非常にシビアな『世界樹の迷宮』ですが、勝つ方法はちゃんと用意されているようで、例えば頭腕足に対する封じであるとか、あるいはスタンや属性効果、毒など、そういったものをうまく組み合わせることで、敵の攻撃を無力化できたり有利に立ち回ったりできるようになっていて、つまりはそういった特殊効果の使いどころも含めた戦術を立てる必要があるということ。これは実によく練られたゲームであると思います。

 けれど、そうした戦術を立てるには敵のことを知っておく必要があるわけで、またそうした効果が常に発生するわけでもないという事情もあるから、偶然やラッキーがないかぎり、何度もチャレンジしなければならないという状況は当然出てくることだろうと思います。

 そして、この何度もチャレンジできるということが非常に面白そうだと思わせます。単純にレベルをあげて力押ししたらいけましたというようなゲームではなさそうだという手応えがする。手ごわくて面倒で、だけどそういうところが面白いと感じられる。非常にいいゲームに巡り合えたものだと思います。

引用


世界樹の迷宮について :Index 「世界樹の迷宮」足跡を刻みつつ前進

公開日:2007.02.05
最終更新日:2007.02.06
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