Wizardry

最初の悲劇

迷宮ではよくあること

 一瞬の油断が生死を分けるゲームWizardry――。

 レベル3を目前にした第2パーティ。敵と遭遇するも特に問題なく撃退を続け、あまりにも順調に思えた。それが油断であったのかも知れません。無傷での戦勝、もう少しがんばればレベル3にあがるという、そのもう少しと焦る気持ちが油断であったのかも知れません。

 城に戻ろうと迷宮出口へ向かうその途中、敵に遭遇したのでした。Scruffy MenとWeird Humanoidsの混成パーティ。おおかたローグかブッシュワッカーだろう。このとき、敵の人数が少なかったのが判断を狂わせました。いけるかも。そんな考えが脳裏をよぎりました。Weird HumanoidsをKatinoで眠らせ、そのうちにScruffy Menを始末すれば勝機が見える。もし駄目だったら、その時は逃げればいい。

 こういう安直な考えが地獄への道に繋がっているということを私たちは常に意識しておかねばなりません。誘惑とはすなわち私たちを堕落させるべく用意された巧妙な罠にほかならないのでありますから。

 運が悪かったんでしょう。Katinoが出るのが遅すぎました。いやKatinoという、決して安定しているというわけでもない呪文に運を託した私が悪かったのです。普段なら適当に分散される敵の攻撃が、なぜかその時はひとりをめがけて降り注ぎました。対象はLe。いくら戦士、少しはHPも増えたとはいえまだまだ未熟なレベル2冒険者である彼は、当然その攻撃を受けきることかなわず、迷宮に屍をさらすこととなったのでありました。

 合掌……。

 にしても早い、早すぎだ。私の試算では、死人が出るのはもっと後だったはず。こんな冒険開始序盤で人死にが出るだなんて、あまりに予測が甘すぎた……。いや、甘かったのは予測ではなく、ローグ及びオークの混成パーティにレベル2の未熟者共で太刀打ちできると考えた判断でありましょう。

 冒険者は泡を食ったように退散。急ぎ城へと戻り、憐れLeはカント寺院に収容されました。残されたパーティのメンバーは、ここで同志を失うわけにはいかないと、カントに支払う寄付金を工面すべく相談。幸い寄付金は500GPと、5人の持ち金を合わせればなんとか払えないでもない金額でありましたから、Leを受け出すことは可能そうです。しかし問題が。そう、Wizardryでは蘇生の失敗があり得ます。その場合は灰に移行し、寄付金はさらに倍の1000GP。は、払えない……。でも、まあ、いくら蘇生が失敗する可能性があるといっても、実際問題成功することの方が多いのですから、あんまり気に病んだってしかたがない。ここはバーンとォ!  寄付金支払っちゃいましょう。

 ささやき - 詠唱 - 祈り - 念じろ!

 Leは元気になりました。そして1歳老けました。


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ノーリセットで駆け抜ける青春:Index 「Wizardry」リセットボタンのない人生(仮)

公開日:2006.08.14
最終更新日:2006.08.15
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