人気商品が品薄。どの店に行っても売り切れているとき、一体どこを探せばいいのだろう。辛うじてでも商品が残っていそうなところ――それは周辺都市だ。都市部から離れ、それでいて遠すぎないところ。電車に乗って三十分程度。その付かず離れずの距離感が最高だ。
なぜ周辺都市なのだろうか。品ぞろえに関しては、都市部大型店とは比べようもない。しかし都市にも郊外にもなり切れない周辺都市は、そのどちらにもない特殊性を持つゆえに、優位的位置を占めうるのだ。
そもそもわれわれの頭の中には、商品流通は都市部大型店に集中しているという考えが、拭いがたく浸透している。実際、人気商品のほとんどは大型店に流れ、小売にはほとんど入ってこない。そのため、消費者の目はより一層強く大型店に向けられるようになり、人気商品を求める人間は都市部へと繰り出してゆく。ここが付け目なのだ。
都市部への所要時間が三十分程度の周辺都市。そのほとんどは衛星都市である。住民の生活動線はもとより都市部へと向かうものであり、消費大衆は消費財を求め都市へ出、地元周辺都市は盲点となる。すなわちここに消費の空洞化が生じるのだ。
生活必需品に近い文化的消費財は、多かれ少なかれどこの周辺都市地域にも完備されているといってよいだろう。それは本屋でありCD屋であり、ゲーム屋である。住民の規模に比例し、店舗数も増えればより優位性は高まってゆく。
同業者が限定地域下で生き残ろうとすれば、他店との差別化が必須となる。よそとは違う特色を持たせようとすれば、自然品ぞろえは多様にならざるを得なく、探せばどこかに欲しいものがあるという、百貨店都市が出現する。しかも消費の盲点ともなれば、人気のあの商品も売れ残る可能性が高く、事実、僕はそうして多くのレア商品を入手してきた。
店舗の特色を押さえるのは簡単ではないものの、買い物を楽しむなら周辺都市。専門店にはかなわないけど。