あの更新のせいで、状況がひどくなった。これ以上公開し続けたら、規約違反で、消されるかも知れない。消されるかも知れない。消されるのはイヤダ――
その更新とは、三月三十日に公開された「歌は好き、でも眼鏡が嫌い……」。Tommy february6の歌う “Everyday at the bus stop” についてのエッセイだ。この内容に対し、眼鏡愛好家により組織される「眼鏡愛好人連盟」が待ったをかけた。
問題視された箇所は、まず表題に表れる「眼鏡が嫌い」との文言、そして本文中の「僕は眼鏡っ娘が嫌い」及び「虫酸が走る」の三箇所だ。このうち特に問題とされたのが、「眼鏡が嫌い」発言である。これをもって僕は、連盟規約を蔑ろにしているとの批判を浴び、ひいては連盟からの脱退を迫られることとなった。残留を望むならば、問題文書を撤回し、一連の行動と問題思想への自己批判、そして前言撤回文及び謝罪文を公開することが求められている。
今回の連盟の行動は迅速だった。問題とされた文書の公開わずか三分後に、警告のメールが発信されている。僕は、このメールをこととねの更新案内とともに受け取り、まずその文面のヒステリックさに驚かされた。あまりの文章の混乱ぶりから公式文であることが疑われたため、連盟事務局に問い合わせるも、はたしてそれは公式に連盟から発されたものであることを確認するのに同じだった。
翌日(つまり昨日)には、問題文書のプリントアウトとともに正式の糾弾文が届く。文書の問題箇所には赤で下線が引かれており、糾弾文はA4用紙で二十枚以上にも及んだ。そこには、僕の普段からの連盟に対する反抗的態度への糾弾、そして今回の件に対する処分についてが記されていた。
かつて連盟は、こうした恫喝的な組織ではなかった。ともあれ僕は、脱退か残留かを選ばねばならない。組織の変質ぶりに驚きつつ、僕は堂々とこれを辞そうと決めた。