人気があってバリエーションも豊富。なのに手のかからないパスタ料理は、作る側から見ても理想的な料理です。イタリア人には前菜でも、日本人には充分なボリュームがあって主食にもうってつけです。
けれど、そのパスタがゆでられなければはじまらない。というわけで、まずは日本人にはもっともなじみのパスタ、スパゲティのゆで方からはじめましょう。
スパゲティはもっともオーソドックスな乾麺を使用します。メーカーによって太さやゆで時間も様々、ソースとの相性もありますが、ここはもっとも一般的な1.8mmを使いましょう。これだとゆで時間は、およそ十分程度。重いソースにも軽いソースにも、万能に使えて便利です。
鍋はできるだけ大きなものを使います。できれば大口のものではなく、背の高い寸胴鍋が欲しいところ。パスタをゆでるのに特化された、パスタロボという鍋のセットもありますが、普通の寸胴で充分です。
沸騰させたところにパスタを入れて吹きこぼれない程度に水を入れます。パスタの量に対して湯があまり少なすぎると、べとつきやパスタ同士がくっつく原因になりますので、多めに沸かして下さい。
塩を入れます。塩は指先で一つまみといった量ではなく、手で軽くすくったくらいの量。心持ち多めにを心がけて下さい。火は強火をキープ。決して緩めてはなりません。
湯が沸いたらパスタをゆではじめます。湯はぐらぐら煮立った状態で、パスタを入れても強火をキープし続けます。パスタを湯にいれるときは、パスタを立てた状態で、両手でねじって持ち、奇麗に広がるようにはなすのがポイント。できなくても問題はありません。手で広げれば大丈夫です。
湯に投じたパスタが自然に沈むのを待つのが理想ですが、残念ながら理想的に事が運ぶことは少ないです。あまりに沈まないようなら、菜箸などで落とし込みましょう。
パスタが湯に沈んだら、ひとくさり混ぜます。あまりに混ぜすぎると粘りが出ていけませんが、あまりに混ぜなさすぎてもくっついてしまうので、ほどほどを大切にします。この時も、火は強火のままです。
湯が吹きこぼれそうになっても、差し水をしてはいけません。湯の温度が下がると、一気にパスタはべとついて味が落ちてしまいます。湯量を多めにといったのは、パスタを入れたときに湯の温度が落ちないための配慮でもあるのです。
どうしても吹きこぼれるときは、火を落として。
ある程度ゆで上がってきたら、パスタをとってゆで具合を見ます。腰があって、ちょっと固いかなという程度が理想。火を止めてざるに上げた後も熱は回りますし、ソースとからめる間にゆで過ぎになってしまいます。だから、早め早めにあげてしまいましょう。
ゆで上がったパスタをざるにあげて、ゆで上がりです。袋に書かれたゆで時間が十分なら、九分であげるくらいのつもりでゆでるのがコツです。どうしても引き上げの頃合いがつかめないという人は、キッチンタイマーをゆで時間から一分引いた時間にセットして、だんだんと慣れていくといいでしょう。
一人当たりの分量は、乾麺の状態で90gから100g程度が目安ですが、人によって食べられる量も違いますし、適宜調整して下さい。本のとおり、人のいうとおりはつまらないです。
残ったときは、オリーブオイル少しと混ぜておくと、少々持ちます。といっても、本当に少ししか持たないので、自分の食べられる分量をきっちり把握して作ることが、なによりも大切です。
パスタロボは、寸胴鍋にちょうど同じ大きさのざるがセットされた、パスタをゆでるのに必要な道具が一揃いになった便利道具です。蓋はボール替わりにもなって至れり尽くせりですが、はっきりいって高すぎます。
パスタ以外にも使えないわけじゃないですが、寸胴鍋があれば充分。どうしてもかたちから入りたいという人、専門道具でおしゃれに決めたい人には必須でしょう。
木べら、しゃもじの先に棒が刺さってスパゲティをからめとるのに便利な道具がスパゲティトングです。麺ばさみもあります(語義としては、こっちが正しいでしょう)。
専門店やおしゃれなお店に行けば、いろいろな種類もありますが、実は百円ショップで買えたりします。うちにあるのは竹製で麺すくいという名前で売られていました。
けれど、酷使が続いたため壊れてしまい、それ以降は菜箸でつかみ取っています。はっきりいって、それで充分です。