本日のワイン:Maitre d'Estournel BORDEAUX
本日のチーズ:
今回はいつもよりちょっと真面目です。といっても、さほどかわりはないのですが。
いつもワインやチーズを買っている店にテイスティングカウンターがあって、そちらではチーズやワインを試させてくれます(もちろん有料)。最近は、買って帰るどころかそこで飲むこともなかったのですが、頃は年度末、送別会やら追い出しコンパやらで大阪市内に出ることも多くなり、楽しめない会の溜飲を下げんとワインカウンターによることも多くなりました。
そこで出会ったのが今回のチーズ。クラリーヌとサンネクテールです。それほど臭みもなくあっさりして食べやすいながらも、次第に口中に広がる味わいはしっかりとして、病みつきになってしまったのでした。特にあっさりしているクラリーヌなら、チーズ嫌いの母でも大丈夫だろうと、買い求め、その際にどんなワインがあうか、はじめて聞いたのでした。
そうしたら、フランスのチーズなのでフランスのワイン、それもボルドーくらいのしっかりした、ミディアム程度くらいがあうのでは、ということで、選んできたのがメートル デストゥーネルです。
無教養は無教養なりに、今回はちょっとでも頭を使ったので、真面目です。
白黴のチーズで、カマンベールやブリに比べてもなおクリーミーであっさりしたチーズ。かなりやわらかくとろりとしているので、スプーンですくって食べます。
少々酸味があるかなというくらいで、癖はなく、けれどしっかりと味わいはあるので長く残る余韻が楽しいです。滑らかだからといって、さっさと食べてしまうともったいない、だから出来るだけ舌に残したいと思うのだけれども、未練なくさっさと消えていってしまう感があって、口に楽しいです。
ただ、テーブルに出した直後、父に大きく切った一切れを二口でやられてしまい、かなりブルー。あの男にはなにを食わしても一緒や、といまさら衝撃を受ける次第。
味わって、味わって喰ってくれ。
ハードタイプらしくしっかり熟成させてありますが、比較的おとなしい感じにとどまっています。ハードといってもそれほど固くはなく、食べやすい感じです。
食べてみて驚くのは、想像以上に味わいがふくよかだということでしょう。外周部(耳)などは、結晶したアミノ酸がさりさりと音を立てて、その度ごとに味わいは広がります。だけれども、チーズの苦手な人にはちょっと強すぎるかも知れないぎりぎりのラインかも知れません。
かなり後まで味が尾を引くので、あっさりしたチーズを後に食べると負けてしまいます。そういう感じの、程よい強さがあります。
開けて一口目は、ちょっと失敗したかと思いました。というのも、口には酸味と、一歩遅れて苦味が残り、ミディアムボディなのか? という疑問がよぎったからです。ちょっと浅いかなあ、と思ったのです。
ですが、チーズと合わせるとそれは杞憂であるとわかりました。特にサンネクテールと合わせた場合、ワインの旨味とチーズ自体の味の中核が、しっかりと現れてそれぞれを食べる以上のおいしさです。前日に、番茶と食べたときとは比較になりません(あたりまえですが)。
クラリーヌはちょっとあっさりしすぎている感じで、食事を終えてぼけた舌にはもの足りませんでした。それで、耳と一緒に食べてちょうどいい感じ。正直、カルボナーラは失敗だった(出来はよかったけれど)。僕には重すぎたのです。
というわけで、落ち着くまで時間を置いて飲み直してみました。そうしたら、デカンタしたての時よりもずっとワイン自体が落ち着いた感じがして、ボディがしっかりと感じられるようになっていました。加え、自分も落ち着いたのか、特にクラリーヌの軽やかな風味とほのかに酸味の感じられる甘味がはっきりとして、やはり少し時間を置いたほうがいいのかも知れません。
結局、残しておくつもりだったチーズも、全部食べきってしまい、ワインも最後までおいしくいただくことが出来ました。やはり、飲む人間のコンディションもちゃんとしていなければいけないと、改めて思い直した次第です。