最終更新日：2002.11.23
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僕は貧乏性なので、なんかの折りに飲もうだとか思ってワインなんぞを買っても、機会が無いかぎりそれをしまい続けてしまうというのが常で、つまりは、今回飲んだワイン、Château Puygueraud 1994もその類いの一つだったわけです。
このワインを買ったのは2002年の七月のことで、サッカーワールドカップ関連のイベントで集まろうというときに、ワインでも持っていったら喜ばれるだろうと思ったのが購入の動機です。なのに、そのワインがなぜまだあるのか？ 理由は簡単。そのイベントというのが実にストイックに観戦＆応援するというものだったためです。えーっ、もっと気楽に談笑しながらの観戦じゃなかったの？ まるで映画でも見るかのような雰囲気の中での観戦。ワインなんか出す暇ありませんでしたって。
こんな理由で、僕のワインストックが増えたのでありました。
では、なぜそのワインを飲もうということになったのでしょうか。これも簡単。知人が、世話になったお礼といってチーズをくれたのでした。白黴と青黴のを一つずつ（漢字で書くと、なんかいやなもんだ）。それがまあ、ブリ・ド・モーとクラッハ・グラン・クリュというよいものだったので、ワインに関してもちょっといいものをと出そう、ということでシャトー・ピュイグローを飲むことに決まったのです。
実をいえば、さらによいワインというのがストックにあるのですが、いや最初はこれをいただこうと思ったのですが、なんというのか、怖じ気づきまして、それが開くのは一体いつの日になりますことやら。
ともあれ、今回飲むのはシャトー・ピュイグローの1994年もの。フランスはボルドーのワインであります。
ブリ・ド・モーは白黴タイプの有名なもので、カマンベールよりもソフトな口当たりというのが定説で、今回のものもその評にもれず、非常に食べやすくおとなしやかな感じでした。でも、味わいは深いですよ。もらった当初はまだちょっと浅かったので、時間を経つのをじっと待っていたおかげで、味わいが広がりました。うん、食べやすいしくせは少なし、でも決して弱くないです。いいですよ、お勧めです。
クラッハは、呉れた人曰く、貴腐ワインで味付けされているから貴腐ワインか重めのワインがあいますよ。そうですか。でも家には貴腐ワインなんて無いので、ボルドーと合わせるより無かった。いや、いいんです。無教養にワインを飲むというのが、僕の本分ですから。こういったことはせんから気にしても始まらないことなのです。
このクラッハというのは、意外とブルーチーズらしさが無くて、食べやすくおいしいものでした。くせは確かにあるんだけど、食べたときにはそんなに感じない。後からやってくるという感じで、そんなにそれが強くない。味の深さも広がりもあっておいしい――というのも当たり前で、調べてみたら百グラム千五百円くらいするチーズなのだそうです。知りませんでした。えらいものもらいました。もっとよく味わえばよかった……
多分、自分の買い物には買わない（買えない）ものだったのでしょう。いいものをいただきました。ありがとうございます。
栓を抜いたときの第一印象は、フルーティな香り、華やかなワインというものでした。ですが、グラスに注げばそれがちょっと違う感じ。思ったよりも重め、しっかりしていて、渋味も強かった。でも、このワインが一日経つと、渋味が旨味に変わったのか、実に飲みやすくなってけれど腰が座っている。このワインが二千円台で買えたのですから、実にいい買い物したなという満足感が残ります。
このワインを買おうというときに、お店の人にお勧めを聞いたのでした。これからフランス人も集まるイベントに行くのですが、そこで出しても恥ずかしくない、こりゃいいもんだと思ってもらえるようなワインを探しています。でもお金がないので、リーズナブルなものを。
こんな無茶な注文に、充分以上に答えてもらっていたのだと、半年経って今ようやくありがたさを感じています。しかし、それにしてもコストパフォーマンスの高い、よいワインであります。今度見かけたら、また買ってもいいかな、そんなワインでした。