ペグが壊れた。その兆候は結構前からあったのだが、一向気付かず今日まで来てしまった。
ペグというのは弦を巻き上げる部品のことである。第5弦のペグが、弦の張力に引っ張られて、斜めになっていることには結構前から気付いていた。
斜めになっているせいで、ペグをヘッドに固定しているねじというかボルトというか(なんというのか?)、金属の留め具がワッシャーから浮いている。チューニングするたび気になって、弦を替えるときなどに、レンチでこまめに締めつけてはいた。ただ、他の弦のペグと違い、5弦のペグだけはきっちりしまらなかったように思う。ねじがちょっと馬鹿になってるんじゃないかと思っていたが、実際はそうでなかったようだ。
この数日、チューニングしようと巻き上げるとき、妙に固くて重く、無理に力を加えているような感触があった。見れば、やっぱり留め具がワッシャーから浮いて斜めになっている。ポストが斜めになったせいでうまく力が伝わらないのが原因だと思い、ちょっと弦を外して留め具をしっかりしめてみることにした。
レンチでしめてみるのだが、どうにも手ごたえがない。いくら回しても空回りするようで、全然しまっている感じがしない。おかしい。実は私はペグの内部がどういう作りになっているのかまったく知らずにいたので、この留め具がどこにつながってるか分かっていなかった。なので、ある程度回してみた時点であきらめ、弦をつけて巻き上げにかかった。
ある程度巻き上げた時点で、異常に重くなっていると気付いた。けれど音程はまだまだ低いので、さらに巻き上げる必要がある。力をぐいと加えると、急に回転が楽になり、そして音程は金輪際上がらなくなってしまった。
ギアが馬鹿になったのだと思った。ペグの構造を知らないとはいっても、常識的に回転の方向を変えるギアの作りは知っているし、オープンバックのペグも見たことがある(というか、レディーバードのペグがそれだ)。
正直部品の取り外しには手を出したくないのだが、というのも、木ねじを頻繁につけはずしすれば、木部がいたんでねじが馬鹿になる。だが今はそんなことをいってる状況ではないので、ドライバーを持ってきてちゃっちゃと外してしまった。
みれば、留め具を受ける、ポストを取り囲む金属の筒状の部分がもげてしまっていた。どう考えてももげているとしか考えられなかったのだが、なにしろ私はペグの基本構造を知らない。だから第6弦のペグも外してみて確認する。確かに壊れていると実感できた。だって、6弦のペグの問題部分はきっちりつながっていたのだから。
ペグを買いにいかないといけなくなってしまった。といっても、私のギター、アリアのAD-35のペグがどのメーカーのなにかなんて全然知らない。外したペグにはPW-4の刻印があったのだが、そいつを手がかりに調べてみてもちょっと分からない。仕方がないので、インターネット上の楽器店で一般的なペグをざっと概観してみたら、ゴトーのSG-301くらいしか選択肢はない模様。定価5,100円か。結構するなあ、ばら売りもしてないみたいだし。
休みに外出するのはごめんなので、月曜にでもよく顔を出す楽器屋にいってみよう。壊れたペグを持っていくのは当然として、楽器本体もいるだろうか。ちょっと荷物になって大変だなあ、どうしようか。
第5弦が使えないでは、いくらなんでもちょっと演奏には向かない。だから例のレスポールを引っ張り出してくることとなった。いや、このところ全然弾いていなかったので、なんとかして弾きたい弾きたいと思っていたところだったのだよ。レスポールのためにはよかったのかも知れないなあ。それに代わりの楽器があるというのは仕合せなことだと思った。
弾いてみれば、やっぱりアコースティックギターの代わりにはならない。エレキとフラットトップは全然違う楽器なのだと改めて知る。
実をいうと、楽器のグレードアップを考えていたところだったのだ。来週には楽器屋に相談にいくつもりで、メールにてその旨連絡をつけたのがつい先月末のこと。メールの返事が来たのが昨日のこと。ペグが壊れたのが今日。
なんというか、道具には魂が宿るなんていうが、そういうこともやっぱりあるのかも知れない。つくも神なんて話もある。上位グレードの楽器を買ったとしても、AD-35を捨ててしまうなんてことは絶対ないんだから、その辺は安心してくれていてもいいのにね。
ペグを換える >