私はギターを弾く際には足台を使っている。ドレッドノートを使っているというのにだ。足台がないと弾けないということは別になくて、クラシックをのぞけば一般的におこなわれている、右足ももにギターを置くスタイルでも、まあ弾けないということはない。実際の話、昼休みにギターを弾いているときには、足台を使っていない。
けれど、これまでの練習では足台を使ってきて、そちらに慣れているということもあるから、使える場合はなるたけ足台を使いたいと思っている。
今度、ひょんなことから、外で弾かねばならなくなってしまった。外といっても屋外というわけではなく、だが屋根の下ではあるものの靴はしっかり履いている。このような時に、私はどうすればいいのだろう。
普段使っている足台を持っていくというのも手かも知れないが、私はこれは避けたかった。というのも、室内で使っている足台に土足でというそれはちょっとまずいではないか。いや、気にしない人もいるのかも知れないけれど、私は気にする。すごく気にする。
じゃあといって、足台なしでというのもどうにも落ち着きが悪く感じられる。いや、足台がなくても弾けるのだが、だがハイポジションでの安定性を考えると、足台はあったほうが都合がいい。
そのような理由から、私は新しく足台を買うことにした。
土足用の足台ということは、いずれ完全屋外で使うこともあるかも知れない。このような理由から、金属製の足台を選んだ。少しでも頑丈なほうがいいだろう。木製でも充分強度は確保されているが、しかし耐久性を考えれば金属製の方が優っていると思う。
いつもの楽器店に行って、足台を買おうと思っている旨告げると、二種類出てきた。両方ともに金属製で、ひとつは標準的のもの、もうひとつはアルミ製で軽量のもの。さあどちらがよいのだろうか。
持ち運びを考えると、軽いほうがいいに決まっている。値段を訪ねれば、通常のものは1,500円、アルミ製は1,700円だったか。たった200円の違いなら、使いやすそうなほうを選ぶべきだろう。アルミ製だからといって、とりわけ強度に劣るということもないだろうし。
両者を組んで並べてみて、私は結局アルミ製を退け、普通のものを選んだ。理由は簡単である。足を乗せる台の部分、アルミ製は少々小さかったのである。おそらくそれは、持ち運びを考えたためだろう。だが私は、できれば足裏全面がきっちりと収まるくらいの大きさがあった方がいいと思った。こうした理由から、私は普通の足台に決めたのだった。
使ってみて、まあものが足台だから、極端に変わるということはない。しかし、これまで木製の足台を使ってきて、その感覚に足は慣れている。この慣れというのは馬鹿にできないもので、金属製の足台だと、多少違和感を感じないでもないのだ。
違和感は、重さであるとか、接地面につけられたゴム足だとか、そうしたものに由来すると思われる。ちょいと位置を変えようとしたときに、どうもスムーズではないのだ。しかしそんな程度の違和感だから、足台の位置さえ決まれば、後は別段気になることもない。
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