ZOLELEという楽器

 万難排して入手したZOLELEである。ではZOLELEとはどんな楽器なのであろうか。

ZOLELEのかたち

外観

 ZOLELEはウクレレである。楽器形状が象である以外は特に取り立てていうところはなさそう、むしろ楽器としては無難な部類といえる。

 実際の形については他サイトを参照いただくとして、楽器の形はフェルナンデス社のヒット商品、ZO-3というエレキギターを下敷きとしている。象の背側は丸みを帯びていて、反面足側は一般的な弦楽器同様ひょうたんのように真ん中がくぼんでいる。楽器の肩、足側はカッタウェイになっているので、ハイポジションでのプレイが楽々。といってもZOLELEは12フレットまでしかなく、しかも12フレットでジョイントされているものだからカッタウェイでどうのこうのというようなメリットはない。カッタウェイの必然性はあくまでエレキZO-3にあるのであって、形だけを継承するZOLELEではデザイン以外のなにものでもないというところである。

 象型であるため左右(上下?)非対称なZOLELEは、サウンドホールの位置も中心線からずれている。ちなみにサウンドホールは象の耳になっており、サウンドホールとしての機能は果たさないだろうが目もきちんと開けられている。サウンドホールの位置については、人から響きに問題があるのではないかと問われたことがある。ヴァイオリンやチェロなどのサウンドホールをƒ字になっている楽器では駒の両脇にƒ字孔が開けられているのだから、ZOLELEのサウンドホールが中心に位置してないからといってまあ別段大過なかろうとその時は答えたのだが、おそらく実際問題としてZOLELEのサウンドホールの位置が問題になることはないだろう。問題があるといえば、そんな些細なところにはないと思われる。

ネックとヘッド

 ZOLELEにとってネックは鼻である。ボディから長く伸びたネックが象の鼻を表しているのだ。ネックにヘッドを含めるとボディよりも長くなるので、随分鼻の長い象である。でもそこがいいのだ。

 フレットは12フレットで典型的なスタンダードウクレレという感じに仕上がっている。指板はローズウッドだろうか。5, 7, 10フレットにポジションマークが入っている。10フレットにポジションマークが入っているのはなんだか解せんが、どうやらウクレレではこれが普通らしい。ちなみにギターでは3, 5, 7, 9, 12, 15, 17に入っている。5フレットを押さえると4度が、7フレットを押さえると5度が、9フレットでは長6度が出るので合理的だと思っていたのだが、10フレットじゃ短7度が出ちゃうじゃないか。でもまあこんなもんはどうせ目安みたいなもんなんだからどうでもいい。ウクレレではポジションマークは5, 7, 10に入っていると覚えておけば充分なのだ。

 ネックはよく見ると木が三つ継がれている。といってもネック途中に継ぎがあるのじゃなく、ヘッドの尖端とボディとネックの継ぎ目、ヒールの部分が継がれている。が継ぎがあったからといってなにがどうこうということもないだろう。ただヘッドの先があからさまに色が違ってるのがちょっといやだというだけである。

 ペグはつまみが樹脂製で、けれど全体としては結構しっかりしていて、こういう細部を見ればさすが楽器メーカー製と思える。つまみの頭に着いたねじを締めたり緩めたりして固さの調整もできる。

材質

 直接確かめたわけではないが、ZOLELEはマホガニー製らしい。ただし合板。切断面を見れば確かに合板と分かる。

 指板とブリッジがおそらくローズウッド。ナットとサドルは牛骨なんじゃないだろうか。とかなんとか言ってこれが樹脂だったらやだな。いや樹脂製というのが悪いんじゃなくて、見誤ってるというのがいやだということね。

ZOLELEを持ってみた

 ZOLELEを持ってみたときに驚くのがその軽さである。測ってみたら500グラムなかった。400グラム弱というところだろう。それでいてしっかり作られていて、華奢だとかちゃちだとか言う印象はまったく無し。作りの堅牢さに関しても少々驚きだった。

 作りの堅牢なのは、ボディとネックの接合部分。ヒールにもしっかりと現れている。この接合面積が小さいほど響きを阻害しないという話なのだが、ZOLELEではここが真四角しっかりとしている。以上。響きに関しては不問だったからこれでいいのである。

 持って構えてみると結構しっくりと収まる感じで、不安なく演奏できそうである。だが問題がひとつ。ZOLELE、構えてみると形がまったく自分からは見えないのである。むう、演奏するときは指板くらいしかみないからなあ。

ZOLELEを鳴らしてみた

 鳴らない鳴らないと聞いていたZOLELEであるが、弾いてみると意外と鳴るもんだから驚いてしまった。知人友人にも鳴らないウクレレを買ったといって見せてみれば、皆一様に思ってたより鳴るやんと好印象を持ってくれて飼い主としては嬉しい。このZOLELEが鳴らないというからには、状態のよいウクレレというのは一体どれくらい鳴るものなんだろうか。むしろそちらに興味を持ってしまった。

 安い弦楽器ではフレットが正しく打たれていないことがある。いわゆるフレット音痴というやつで、しかしZOLELEにはこの心配は無用であった。さすが楽器メーカー製の面目躍如足るところである。

 フレットに関しては、驚くほど低いというのが第一印象である。普段ギターを弾き慣れているせいで、フレットの低さには戸惑ってしまった。けれどこれで充分用は足りている。ウクレレのフレットというのはこんなのなんだろう。

 ウクレレはボディが小さくそれにともない弦長も短いから、チューニングは一苦労である。ペグを少し回しただけで大きく音程が変わってしまうから、指先の感覚に全神経を集中させてやらなければ簡単に行き過ぎてしまう。いや、集中させていても行き過ぎるのである。また5フレット7フレット上のハーモニクスが出ないので、それで合わせることもできない。だからといっていいかげんに合わせると気持ち良く弾けないのは間違いないから、ちょうどよいチューニングの位置と許せる妥協点を見出すのが大切である。

 ZOLELEを買って次の日に弦を張り替えてしまったので、最初はチューニングが安定しなくて大変だった。弦が伸びようとする間、チューニングしてもしてもすぐに音が下がってしまうのである。だから一日中チューニングしていた。弦交換からようやく一週間がたった今、チューニングは安定してくれたようである。弦が安定すれば、ちょっとやそっとチョーキングしたくらいでは狂わなくなる。だから弦張り替え後はチョーキング多用でブルースなんかやるのがよさそうだ。ウクレレでブルースというのもおかしいのだけれど。

 楽器というものは弾いてやればその弾いてやったように鳴るよう育っていくのである。だから弾き始めの今からしっかりと響きをつかみながら弾いてやれば、きっとZOLELEも鳴る楽器に育っていってくれると思う。責任重大なのである。


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公開日:2003.02.22
最終更新日:2003.02.22
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