iBookの設定はそれほど大変ではありません。最初の起動時にセットアップのダイアログが出ていろいろ質問してくるから、それにちょこちょこ答えていくだけで簡単に終わってしまいます。
ネット関連の設定は楽になりましたね。一昔どころか五年ほど前はもっと大変だったような気がするのですが、技術の進歩とは素晴らしい。とりわけADSLの導入が設定の簡易化に拍車をかけています。
ダイヤルアップみたいに各PC端末からプロバイダへ直接つながるのではなく、ルータタイプのADSLモデムを経由してLANからつながるようになると、必要な設定というのはほとんど無くなります。電話番号は入れなくていいし、プロキシやらはルータに設定してあるし、IPアドレスやDNSの設定なんかもDHCPサーバが勝手にやってくれるし、LANケーブルをさして起動すれば、もうほとんど全自動といったような感じでネットの設定やなんかは完了です。
メールアドレスの設定とかはさすがに自動というわけにはいきませんね。代表のメールアドレスと自称名、SMTPとPOPサーバ、パスワードを設定したらオッケー、これも簡単。たいしたものではありません。
気が済まないのはネットワークタイム(時間帯)の設定でして、なにが気に入らないというか、大阪 - 日本を選ぶのはいいけど、わが家は京都にあります。以前は京都も選べたはずやないか、とまあこんなつまらない理由です。パスしてさっさといきましょう。
以前一番よく使っていたOS Xはバージョン10.1だったので、ずいぶん久しぶりのOS Xになります。iBook G4にはOS X 10.3 Pantherが搭載されています。このPantherというのが、10.2 Jaguarに比べてずいぶんよくなった、はやくなったという評判だったので、 このあたりを楽しみにして待っていたのでした。
そして感想はといいますと、全体的な動作の高速化は感じられますが、マウスやウィンドウ操作には若干もっさり感が感じられて、ああOS Xはだめだだめだと批判する人がいたのは、この操作感のためだったのかとはじめて気づきました。いや、なんで以前の10.1時代にそれに気づかないのといわれると、不思議ではありますが、自宅においていつも使っている環境と並列させてやっと気づくくらいだったのでしょう。けど全体的なテンポ感やシステムの安定感からすれば、こういうもっさり感といわれるのは別に気にならないです。特に推奨環境以下で無理矢理使っていたDreamweaver MXなんかにおいて非常に顕著です。
OS 9からの乗り換え組で、一番困るのはキーボードショートカットのちょっとした変化だったりします。
たとえばFinderで新規フォルダを作ろうとすると、OS 9以前ではCommand-Nでした。ですがOS XでCommand-Nをすると、新しいウィンドウが開いてしまいます。OS Xでの新規フォルダ作成はCommand-Shift-Nです。またiCabではCommand-Hでホームページを開けたのが、Command-Hをシステムが予約しているのか、アプリケーションを隠すになってしまいます。この変更に伴って、ホームページを開くはCommand-Shift-Hに変わりました(これはSafariでも一緒です)。
等々こんなふうにちょっとずつ変更はありますが、どうせこの辺は触っているうちに慣れる程度のものでしょうから、僕は気にしません。それよりも、Finderでもっとも頻繁に行われかつ面倒くさいウィンドウ操作が、Command-Nのおかげでちょっと楽になったようにも思います。ファイル操作をしているとき、新規のウィンドウを開きたいときはよくあります(ありませんか?)。そんなときにCommand-Nでユーザのホームが開いてくれるのですから、非常に便利です。おかげで、Windows使っているときにもControl-Nをしてしまうような始末です。
さて、Macintoshといえばひとつボタンマウスが印象的ですが、OS Xのいいところは2ボタンマウスをOSレベルでサポートしていることでしょう。左クリックは通常のクリック、右クリックでコンテキストメニューが開きます。いちいちControlキーに手を伸ばさなくてすむので非常に便利です。今回iBook G4に関しては、個人的な理由でControlキーが押しにくくなったので、2ボタンマウスが使えるというのは非常にありがたいことです。
ちなみに、ホイールもちゃんと使えるんですよ。これ、本当に便利ですよ。Windowsみたいに便利! って問題発言ですね。
なんでか知りませんが、最近のアップルはフランス語づいているみたいで、複数機器の接続の技術にRandezvousだとかいう名前を付けたかと思えば、今度はExposéですよ。Exposéには発表とか報告という意味があるのですが、多分こちらの意味じゃなくて陳列とか展示とかを意味する形容詞のほうでしょう。というのは、その機能が複数のウィンドウを小さくして画面に敷き詰めるという機能ですから。たとえば現在開いているすべてのアプリケーションのすべてのウィンドウを、ボタンひとつでタイル表示してくれます。後はそれをマウスででも選んでやるだけです。簡単で便利。特に僕みたいに、複数のアプリケーションを立ち上げ、しかも窓を沢山開くようなタイプの人間には、この上もなく便利です。
アップルのサイトに用意された説明のほうが、はるかに分かりやすいでしょう。さらにここではExposé体験もできて、でも僕はこの体験版ではそれほど便利には思わなかったんです。でも実際に使ってみると思ったよりも便利で、iBookにはトラックパッドもついているから、ホームポジションから手を放さず今開いてるウィンドウを一覧、選択できる。ちょっと効率も上がりそうな気がします。
そうそう、せっかく速いコンピュータが来たんですから、どれくらい速いか見てやらねばなりません。というわけで取り出したのは一枚のCD-ROM。ここには昔ネットで見つけて驚愕して感動したフラッシュファイルが入っています。
そのフラッシュファイルというのは架空の格闘ゲームのデモでありまして、非常によい出来をしていました。実際にあり得そうな攻防、魅力的で華麗な技と駆け引き。加えてノリのいい音楽に非常にマッチした映像の力。実際こういうゲームが出たら買うだろうと思わせるほどのできでした(そしてそのゲームは出たので、買ってしまいました)。
さて、そのフラッシュファイルというのがちょっと重めになっておりまして、BGMに映像がついていかないのですよ。音楽はもう終わってるというのに映像だけが続いていく。画面を小さくしてみたりいろいろやってみましたが、どうにもこうにもだめでして、こりゃあ高スペックのマシンが出るのを待たないといけないなと思ったのでありました。
迷わずG4 1GHzを選んだわけだよ。なぜG3じゃだめだったのか、これで分かっていただけましたでしょうか。
QuickTime Playerで動かしてみましたら、おおこりゃすごいよ。ちゃんと映像が音楽についていってる。おそらくこれが本来の速度なのでしょう。映像と音楽のマッチングがしっくりといって、非常に良い感じであります。
ただしQuickTime Playerではちょっと画像がよくないのです。FlashPlayerでいうところの画質中くらいの感じです。それに開始と同タイミングで音楽がスタートすると、再生されないケースもあります。一周して返ってくればちゃんと鳴ってくれるのですが……。
というわけで、Flash Playerで動かしてみることにしました。さすがに純正のプレイヤーだけあって、画質高の威力たるやたいしたものです(と思って今確かめてみたら、たいした差はなかった……)。
しかしこのフラッシュ、キャンバスサイズちっこいんです。でちょっと大きくしてみると、途端に映像が音声についていかなくなるので、結局はオリジナルの画像サイズで見ています。G4 1GHzでも処理しきれないのか、それともグラフィックボードのためなのか。いずれにせよ今まで見られなかったものがこうして見える。――技術の進歩とは素晴らしい、のであります。
けど、本当にいいムービーだなあ。このムービーのたどった道を思うほどに、著作権が商業主義のもとに遂行されることを苦く思うのです。というか、それよりFlash持ってるくせになにも作らない自分こそがふがいないのでありますが――。
< 第一印象 OS X 10.3の使い勝手 >