Macintosh用インプットメソッドの雄、EGBRIDGEがこの度バージョンアップしてEGBRIDGE15となりました。これまでのバージョン14というのがOS X 10.2の時分にでたものだから、ちょっと10.3にはそぐわないところもあって、けれどもそうした部分はアップデータで解消されていたのでした。ですが今回のメジャーバージョンアップで、名実ともに10.3にチューンナップされたといえます。
本来なら特に不都合のないかぎりバージョンアップは見送る私が、EGBRIDGE15に関しては躊躇なくバージョンアップを決めました。なぜか? それは過去に二度、バージョンアップ期間が終わってから駆け込みでバージョンアップをしたという経緯があったからでした。
一度目は、Dreamweaver MXのためでした。OS 9時代の話です。Dreamweaver MXをバージョン6.1にアップデートしたら、このソフトはOSにバージョン9.1以上を要求したのですね。ところがこのOSアップデートがくせもので、このアップデートでCarbonLibのバージョンがが1.2.5に変わるためにEGBRIDGE11での日本語入力がおかしくなるという問題があったのですよ。いやあ、たまげましたよ。Dreamweaver関連のBBSでおかしくなったよー、と嘆いたらEGBRIDGEをバージョンアップせよという的確なアドバイスが貰えまして、EGBRIDGEのバージョンアップを敢行したのでした。
実はこの時すでにバージョンアップ期間は終わってまして、だというのにエルゴソフトは在庫があるかぎりバージョンアップできますとアナウンスしてたんですね。なんて良心的な会社だと感動したのでした。
そして二度目のバージョンアップは、まさにOS Xを導入したことに関わっていました。
私がiBook G4を購入しOS Xユーザとなったのは昨年十一月のことで、これがバージョンアップの転機でした。実は、EGBRIDGE14に付属されている電子辞典ビューアが欲しかったんですね。私はOS 9以前はシステムソフトエディタを使っていて、このソフトには電子辞典ビューアが付属していたのでした。電子辞書というのは結構重宝するもので、文章を書く際には手放せないものにさえなっていたのですが、OS Xで使える電子辞典ビューアというのを私は知らなかったんですね。と、それがEGBRIDGE14には付属しているのです。これはぜひアップグレードしなきゃ!
けど、この時点ですでにバージョンアップ期間は終わってたんですね。でもエルゴソフトは在庫があるかぎりバージョンアップできますとアナウンスしてたんですね。なんて良心的な会社だと、ここでもまた感動したのでした。
しかし、この時点でEGBRIDGE14に移行できてなかったらどうなってたんでしょう。もちろんEGBRIDGE13を使うことになるのでしょうが、このバージョンが問題なくOS X 10.3で使用できるかどうかって知らないんですよね。バージョン14用にはOS X 10.3に対応するアップデートが出て(たしかOS発売前に出たはずです!)、なのでEGBRIDGE14にスムーズに移行できたというのは、本当にありがたいことだったのでした。
こんなわけで、現状特に問題がなくてもアップグレードしておこうと思うにいたったのでした。EGBRIDGEに関しては、別格の思いでいます。
EGBRIDGEがバージョンアップして、果たしてどこがどう変わったのかといいますと、実はあんまりよく分からないんですよね。変換効率云々といいますが、ちょっと一般的でない用字用語法を使ってることに加え、あんまりIMに頼らない癖を以前から意識的につけているので、それほど違いに敏感ではないのです。そもそも期待通りに変換するときは、IMの使い勝手なんて意識しないわけです。意識するときは変換がスムーズにいかないときで、ついこの間まではまさにそんな感じで学習をリセットしたりしましたが、リセットすればスムーズに変換できるようになるのは当たり前で、つまり私は以前から特に不都合を感じていなかったというわけなのですね。
変換のアルゴリズムが改良されたりということですのでもしかしたら微妙には便利になってるのかも知れませんが、ですがそれでもあんまり違いが分からないというのは、私が違いが分からない男であるということもあるのでしょうが、もともとからしてEGBRIDGEが優秀であったということなのだと思っています。
さて今回のバージョンアップの目玉はスマート・インライン変換。これはどういう機能かといいますと、OS X 10.3の新技術「TSM Document Access」を利用したものなのだそうで、実際ちょっと画期的なものでありますよ。
どういう機能かといいますと、すでに入力されている文字列を評価して、新規に入力した文字の変換を行う。つまり途中まで書いた文章の続きであっても、それまでの文脈に添った変換ができるということなのですね。
例えを出してみましょう。
事前に本をそして兄をと入力しておきまして、その続きによんだと入力してみるのですね。これまでのIMだと過去の学習に従ってしか変換できなかったのが、新しいEGBRIDGEだと既入力の文字列を評価して、期待通りの変換をしてくれます。つまり、本をなら読んだと、兄をなら呼んだと変換されるということなのです。
スマート・インライン変換の限界というよりも、むしろOS Xの仕様に関する問題ですね。この機能が使えるのは対応アプリケーション上でのみなのですよ。
例えば、私の場合だとSafari、Mail、CocoMonarにおいてスマート・インライン変換が可能です。ですが私にとっての主力アプリケーションであるmiとDreamweaverでは使えません。多分これは、後者ふたつがCocoaアプリケーションじゃないからでしょうね。ちょっと残念ではあります。
でもスマート・インライン変換非対応アプリケーションでも、連続して入力する場合は直前に入力した文字列に対応して変換してくれるみたいだから、とりわけ心配しなくても大丈夫な気がします。
本を兄をを使った例は、EGBRIDGE関連のBBSでスタンダードみたいになってまして、実は自分が使いはじめだったりするので、素直に嬉しかったりしてまして。ああーっ、こいつ、BBSの例をそのままぱくっちゃってるよ、みたいに突っ込んじゃいやですよ。
あまりバージョンアップの恩恵にあずかれない私にとって、最大の変更点は鉛筆メニューの変化でありました。
今回のバージョンアップにより、慣れ親しんできた鉛筆メニューが消えてしまいました。ことえりの表示にあわせて統一感のとれたインターフェイスであるとは思うんですけど、正直まだちょっと慣れないです。ぱっと見たときに、なんだかすごく違和感を感じます。
でも一月も経たないうちに慣れるでしょう。見慣れた頃には、もう自然に手に馴染むツールになってるのだと思います。