iPodの準備ができて、さあいよいよiPodの真価を図る瞬間がきました。適当にボタンを押すと、iPodの電源が入って、あらわれるメニューは英語ながら実にシンプルでわかりやすい。最初はなにしろ不案内ですからメニューの言語を日本語に変更して、なにはなくともまずは音楽を聴いてみようということになるのは自然です。
私がiPodの実機に触れたのは第三世代くらいがはじめてだと思うのですが、とにかく基本的な部分は最初からできあがっていたというか、ホイールでメニュー項目を選択しボタンで決定する。この非常にシンプルな操作性は、ホイールがタッチセンサーになり、ボタンがホイールに統合されることでより洗練されて、今私が手にしている第五世代にいたっては、もうどこにも文句のつけようがないほどに完成されていると感じられます。
聴きたい曲を選ぶときは、アーティスト、アルバム、曲名、ジャンル、そして作曲家から絞り込んでいくことができます。もちろんプレイリストも利用できるので、自分の聴きたい曲をうまく抽出できるようなスマートプレイリストを作っておいてそれを活用する。iTunesおよびiPodに収められた膨大なライブラリを味わい尽くすには、プレイリストをどれだけ駆使できるかにかかっているといってもいいすぎではないでしょう。
付与されたメタ情報(アーティスト名やジャンル、作曲者など)から目的の曲を探すにせよ、プレイリストから見つけるにせよ、あのホイールの操作性のよさには驚かされるばかりで、ホイール表面に走らせる指のはやさでスクロールの速度を制御できるから、ものすごい勢いでゴールに向かっていくことができます。私のiPodには、今八千を超える音楽が入っていますが、一曲目から最後の曲にたどり着くまで、本当にちょっとの時間しかかからないんですね。これはたまげました。
音については、ちょっと硬いかと思うというのはイヤホンのせいかも知れません。でも潤いや腰の強さというのが若干失われているのは確かで、けれどこれは圧縮音声のせいでしょう。以前、iTunesからオーディオに音声を出力してみたことがあったのですが、腰が抜けたみたいな感じになったのには閉口しました。いや、便利のために失うものがあるのはしかたがないことはわかっていますから、これはこれで受け入れます。iPodの音質についても、そもそもが外で聴くものですからリスニング環境としては劣悪で、だから多くを求めるべきではないと思っています。
と、こんな風に割り切りますと、iPodの素直な音の出方は悪くないかなと思います。ナチュラルというのとはちょっと違う。ただあんまり味付けのされていない、素の音が出ていると思う。こうした傾向は、私には実に向きで、それこそ癖のないもののほうが好みに合っているというような人間ですから、iPodは悪くないといった感じです。
操作性よし、音の出方にしても必要を充分満たしていて、これで文句が出るわけがありません。iPodというのは非常によく考えられた、完成度の高いミュージックプレイヤーであると思います。
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