古いユーザー、新しいユーザー

 私が使っているキーボードはDas Keyboardという海外製キーボードで、これがまあ黒一色、キー上には刻印なしという実に一般性を欠いた代物です。私はこれをMacintoshでもWindowsでも便利に使って、すなわち職場においてはWindowsに繋ぎ、自宅においてはMacintoshに繋ぐ。この異種環境で同じ入力デバイスを使えるというのは実に大きなことでして、この点だけでもDas Keyboardを購入してよかったと思っています。

 さて、こんなキーボードを使っていると、よほどのマニアであるかのように思われて、だって職場で使っているコンピュータというのがノートタイプ。ノートタイプに外付けキーボードを繋いでいるのですからそりゃ目立ちます。で、本日、こんなことを聞かれたのでした。

 コントロールキーの位置とか入れ替えてるの?

コントロールキーは左下隅

 これ、一体どういう質問かといいますとね、コントロールキーがアルファベットのAの左隣にあるキーボードというのが存在するのです。PFUのキーボードコレクションのページを見るとわかるんじゃないかと思いますが、結構古いタイプのキーボードにそういう傾向がみられるようなんですね。ちなみにAppleのJISキーボードは今でもAの左隣がコントロールキーであるようで、実は私、コントロールキーがAの左にあると使えない。そういうタイプのユーザーなのです。

 まあ、単純な話ですよ。私が初めて使ったコンピュータというのはApple Macintosh Performa 550なのですが、これについてきたキーボードというのがApple keyboard IIでした。これ、Aの隣にはCaps Lockがありまして、つまりコントロールは左下隅にあるんですね。この時期、国民機として浸透していたPC9800シリーズではどうだったんでしょう。えーっ、あんたPC9800持ってるじゃん、とはいわないでくださいましよ。だって、私はそいつをついぞ実務に使ったことがないんですから。ワープロ使わない、エディタも使わない。あれはゲーム専用機(そもそももらいものだしさ)。とにかく、私がはじめて本格的に使ったコンピュータに付属していたキーボードのコントロールキーは左下隅についていた。これがとにかく重要です。

人は結局はじめてから抜け出さない

 このコントロールキー問題というのは、結局人は自分のはじめて触れた環境から抜け出そうとはしないという、そういうことなんだと思うのです。ある人にとっては、はじめて触れたキーボードのコントロールキーがAの隣にあった。私にとっては左下隅にあった。それだけの話で、とにかくそれで慣れたのだから、それでやっていくというだけの話なのに、けれどなんでそれを宗教対立みたいにしたがる人がいるのだろう。コントロールキーはAの隣が正しい、そうでないものは異端だといわんばかりの言説を聞くことがまれにあってげんなりさせられます。さすがに最近はなくなりましたが、けれど古参ユーザーにおいてはそれは絶対であるようで、コントロールが隅にあったら使いにくいやろ? って、そりゃあんたがA横の位置で慣れてるってだけの話や。私は左下隅に慣れてるんやから、Emacsのキーバインドも、Windowsのコントロールを軸にしたキーボードショートカットも、ずっと左下隅のコントロールでもってこなしとる。むしろ、今からA隣に慣れるほうが難しい。なんでそんなことがわからないんだろうとげんなりします。

 それが今日のこと。

 はじめて使ったキーボードのコントロール位置が左下隅だったから、これで慣れてるんですよって答えて流そうと思ったんですが、そうか、最近のユーザーなんやねっていわれてどうも私はむっとしたようで、こんなことで怒ってもしゃあないんですけど、なんか癪に障ったようで、こういうところに自分のつまらないプライドが見え隠れして嫌になりますね。古いユーザーか新しいユーザーかといわれると、さすがにもう古いユーザーに入るとは思うのですが、なんでも上には上がいるものですから、そういう人に比べると確かに新しいユーザーでしょう。でも、一体なんなんだろうと思います。古いユーザーのなんか変な優越感!

 私はそんな古さを価値に思うようなことはしたくないと思いました。って、なんか感想文みたいだな。


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公開日:2006.12.08
最終更新日:2006.12.08
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