二千四年九月

秋分の日

 太陽が天の赤道を横切る日。その日は日本では祝日であり、彼岸と呼ばれる前後七日間に先祖の墓に参る。自然と命あるものすべてを祝う春の祝日についてはすでに書いた。秋のこの日は、祖先を敬い死者を偲ぶ日である。

 春分の日から昼が長くなり、対し秋分の日からは夜が長くなる。昔の日本人は、この日に生と死の境目を見たのかも知れない。今日、私たちは死や終末のイメージに結びつけられる季節に入った。けれど、私はこれが嫌いじゃないんだ。

 中国の五行説によれば、秋は白く冬は黒い。この季節にこの二色はふさわしいように思う。モノクロームの季節。木々は色づき葉を落とし、私はまだ自分が十代だった頃を思い出すだろう。私は、冬枯れた木々を見て悲しかった。しかし私はこの悲しみが好きで、今もこの感情を忘れていない。

 すべての命は季節がそうであるようにめぐる。少年期、青年期、そして老年期。死んだ命は新しい命にバトンを渡すだろう。だから私たちは、いつの日か死が私たちの門を叩くことを嘆かなくてもよい。

(初出:Les douze mois au Japon, mais selon moiオリジナル:フランス語)


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公開日:2004.09.24
最終更新日:2004.10.02
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