2006年1月1日。私はこととねをクリエイティブ・コモンズのライセンス下で公開すると決め、その際に帰属 - 非営利 - 同一条件許諾ライセンスを選択しました。でも、昨日、こんなこともいっていましたね。
私の選んだライセンスは、帰属 - 非営利 - 同一条件許諾です。こうしてあらためてみると、思ったよりも厳しいですね。帰属 - 非営利でもいいかなと思ったのですが、クリエイティブ・コモンズの考え方を広げたいとでも思ったか、同一条件許諾をつけてしまいました。
ええ、これに派生禁止をつければ、全条件を組み合わせたことになりますね。でも、あんまりごりごりに権利を主張するのもクールじゃないなあなんて思いもありまして、そんなことからぎりぎりまで帰属 - 非営利にするかどうかで迷っていたのでした。でもね、記事を書き終えてからふと思ったのですよ。帰属 - 非営利 - 同一条件許諾は帰属 - 同一条件許諾にほとんど変わらないってことに。だったらじゃあ、帰属 - 同一条件許諾を謳うほうがはるかにクールだ。
そしてまた、数時間にわたる書き換え&アップロード作業をおこなったというわけです。
帰属 - 非営利 - 同一条件許諾が帰属 - 同一条件許諾ほぼ同じであるということを理解するために、クリエイティブ・コモンズ・ジャパンのFAQページからちょっと引用してみましょう。重要なのは、ライセンスのオプションの組み合わせで相容れないものはありますか?に見える記述です。
すべてのクリエイティブ・コモンズのライセンスは、頒布されるすべての複製に、もともとのライセンス条件を付けることをライセンシー(利用者)に求めています。つまり、もし非営利ライセンスの下でライセンスされた音楽ファイルを複製するならば、そのファイルのあなたの複製もまた非営利ライセンスの下でライセンスされるということを世界に示さなくてはなりません。同一条件許諾のオプションは、単純に、この要求をすべての派生作品にも同様に拡張しているのです。したがって、もしドキュメンタリー・フィルムの中で先ほどの非営利ライセンスのMP3を使おうとする場合に、もしもそのMP3ファイルに同一条件許諾のライセンス条項が組み合わさっていれば、あなたのフィルムもまた非営利ライセンスの下でライセンスしなければなりません。
[強調は筆者による]
そうなんですよ。私がこととねで公開している著作物を帰属 - 同一条件許諾でライセンスするということは、これを取り込んで作られた派生作品も帰属 - 同一条件許諾でライセンスされなければならないということなのです。
これは非常に都合のよいことですよ。だって、営利目的で制作される商用作品は一般的にその権利をすべて留保されていますが、もしその内部に帰属 - 同一条件許諾ライセンスのの制作物が含まれるならば、その商用作品は帰属 - 同一条件許諾でライセンスされるのです。つまり、同一条件許諾を飲むかぎり、その作品を誰でも再び利用できるということっすよ。
その作品を誰でも再び利用できるようにしてしまう帰属 - 同一条件許諾ライセンスは、帰属 - 同一条件許諾ライセンス下で作品を公開したくない人間にとっては非常に困ったものとなるでしょう。なので、帰属 - 同一条件許諾ライセンスを嫌うゆえに、彼らはクリエイティブ・コモンズのライセンスとはまた異なるライセンスを結ばなければならないということです。
以上が、私が帰属 - 非営利 - 同一条件許諾は帰属 - 同一条件許諾にほとんど変わらないという根拠です。
でも、本当の私の狙いは、営利非営利を問わず派生可能にすることでした。私が非営利とすることで、例えば同人の人や教育活動に携わっている人に制限が及ぶかも知れないということを嫌ったのです。といっても、このサイトに同人の人が好むような表現はないので(残念です)、前者の意図が生きることはきっとないだろうと思うのですが、ですがこととねを形成する膨大な文書中のごく一部には、教育的に意味があるかもしれない文書もないではないのです。例えばそれは音楽のカテゴリに見える論文や初学者のための音楽講義、二十世紀を概観する西洋音楽史年表など。これらは再利用される可能性を持っている数少ない文書であると考えています。
これらが教育活動に用いられるとき、それが公教育だったらよいのですが、私塾や私学となると話は違ってきます。それらは営利活動とみなされる可能性があるのですね。ということは、帰属 - 非営利 - 同一条件許諾だとまずい。彼らの活動を制限してしまうかも知れない。
なら、非営利はとっぱらっちまえよ、とそういうことを思ったのです。
ちなみに同人活動ですが、彼らの多くは決して営利目的で同人をやっているわけではなく、営利<対象への愛ですな。対象への愛がつのりすぎてしまったため、どうしても作らないではおられなくなったんですよ。けど無料頒布するというのも難しい。だからお金をいただく。結果的に儲かる場合もありますが、ですが一般的に同人活動とはペイしないものです。
私の個人的な考えを申しますと、営利<対象への愛が成立しているなら、同人は営利活動ではないと思っています。ですが、一般的な見解を示すと、営利<対象への愛であろうがどうだろうが金のやり取りが発生する以上、同人は営利活動なのです。でも、それでは私の思うところを満足させることはできない。だから、非営利を外し帰属 - 同一条件許諾ライセンスを選択するのは必然だったのです。
紆余曲折ありましたが、こととねは(特に断りのないかぎり)クリエイティブ・コモンズ・ライセンス(帰属 - 同一条件許諾 2.1 日本)下でライセンスします。これ、最終決定なので、もうくつがえりません。
著作権についてを書き換えたら、ずたずたになってしまった……。ものすご読みにくい……。