クリエイティブ・コモンズの可能性

 私は、このサイトの文章をはじめとして、自分の著作物をクリエイティブ・コモンズのライセンス下で公開しています。クリエイティブ・コモンズとは、著作物を柔軟に利用できるようにして、創造の可能性を広げようという活動、と理解していただいていいと思うのですが、例えばあなたが私の著作物を見て、ああこれをコピーして人にあげたいなとか、なんかの素材に使いたいなとか、そういう場合に、特段に私に問い合わせすることなく自由に利用できますよ、一定の条件さえ承諾いただけるなら、どうぞお使いください。そういうライセンスであります。

 けれど、私の場合、これはむしろポーズであったのです。いや、クリエイティブ・コモンズのライセンス下で公開しているけど、実際には使わせないぜ、なんて意味じゃありません。正直、私の書いた文章を再利用したいと思うような人がいるとは思えない、なのにあえてクリエイティブ・コモンズ・ライセンスを選択している、そういう意味においてポーズだといっています。ただ、仮に誰にも再利用されるようなことなんてないって思っていても、私がこうしてクリエイティブ・コモンズ・ライセンスを利用していることが、別の誰かがクリエイティブ・コモンズを知るためのきっかけになればよいなと、そういう風に思っていました。

可能性は広がる

 けれど、思わぬところに可能性があったのでした。それはflickr。私は自分の撮った写真を、すべてflickrに公開しています。一日一枚は撮ることを目標にして、果たしてそれがどれほどの価値があるのか、自分はあえて判断しないままに写真を公開し、そうしたことは見る人に委ねるというスタンスです。でも、私の撮る写真なんてたいしたもんじゃないしなあ。そんなに見られているわけでもないし、たまにお気に入りに登録してくれる人はいるけれど、まあでもいいや、写真は自分が撮るために撮ってるんだから。なんて思っていたところ、思わぬ可能性があることを知らされました。

 自分のBlogやサイトで私の写真を使ってくださる方がいらっしゃったのです。紹介してくださるようなものがあったかと思えば、また資料写真として使ってくださることもあり、そうか、私の写真をこうして拾い上げてくださる方もいるんだと、それは私にとって大きな慰めとなりました。そしてその動きはなおも広がりを見せて、印刷物にも使われることになりそうです。最初はスリランカの雑誌でした。園芸の雑誌らしく、もし写真を使った場合は雑誌を送りますといってくれたので、ありがとう、自由に使ってくださいといいました。まだ雑誌は届かないから、多分まだ使われていないのでしょう。そして新たにもう一件。今度はブラジルから。果実に関する教科書に私の写真を使いたいとおっしゃってくれる出版者があるのです。もちろん自由に使ってくださいといいました。クレジットはハンドルでも本名でもお好きな方を選んでください。そしてできればISBN教えてください、と返事をして、そして今は待っているところです。

 私は、自分の作ったもの、著作物が本に載ったりするだなんて、思ったこともありませんでした。それも海外の出版社から、それも教科書として。見付けてくれただけでもありがたいのに、しかも選んでくれるという。どんなにか嬉しいことかと思います。

 そして、この可能性を開いてくれたのは、まずはWeb、インターネットという媒体でしょう。距離を超えて、国という枠組みも超えて、個人が情報を発信する基盤となった。そしてflickr。写真を共有し、検索可能にしてくれた。目的の写真を見付けられる可能性を高めてくれる素晴らしいサービスです。そしてクリエイティブ・コモンズ。私の写真がクリエイティブ・コモンズのライセンスで公開されていなかったら、きっとこうした動きはなかったでしょう。


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公開日:2007.07.16
最終更新日:2007.07.16
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