僕のお絵かき計画 > Flash 大作戦 > グループ化したオブジェクトって? #1
前回いっていました、帽子、髪、顔、体、リボン、手、脚をグループ化して組み合わせているという話。今回はそれをちょっと解説していこうと思います。というのも、ドローソフトを使ったことのない人からしたら、グループ化だのオブジェクトだのというのは、まったくわけのわからない、なじみのない言葉だろうと思うからです。
これらの言葉を理解するために、まずドローの基本を知ってもらいたいと思います。
普通わたしたちが目にすることの多いCGというのはJPEGだったりGIFだったり、Macintoshの人ならPICTだったり、Windowsの人ならBMPだったりします。これらはどういうタイプの画像なのかというと、色のついた点(正確には四角ですね。ピクセルとかドットといいます)が集まって出来ている画像なのです。
印象派という絵画のジャンルでは、点描で絵を描いたりしていますね。遠くから見るときれいな絵なんですが、近づいてみると点ばっかりが目立ってなにがなんなのかわからなかったりします。
おなじみの、PICTとかBMPというのは、印象派の絵みたいな感じで、普通に見てるときれいなんですが、拡大してみると四角に塗り分けられた色のマス目が集まって出来ていることがわかると思います。
インターネットから画像をダウンロードして壁紙にしたりするとき、モニタの解像度に合わせて、いろいろなサイズの画像が用意されていることが多いと思います。640*480とか、800*600とか画像の大きさが書いてあると思います。これはピクセルが横に640個、縦には480個という感じで、ピクセルの縦横の数をさしているのです。
というのは、壁紙にするときにはモニタのピクセルに合わせた画像を張らないと、きれいに表示されないからなんです。大きいものを小さく表示するのは比較的いいのですが、特に小さい画像を大きくするとぎざぎざ(ジャギーといいます)が目立ったりします。
それは、その画像が点の集まりで出来ているものだからなんです。
プリントするとぎざぎざが目立ったりするのも、その画像が点の集まりだからです。もしそういう画像できれいにプリントしたいと思ったら、大きな画像を用意して縮小してやる必要があります。
例をお見せしましょう。以前僕が描いた絵で、O mouse! という子年の年賀状があります(industrial design 以前で公開されています)。
この書類は最終的にはがきにプリントすることを目的として作成されたものなので、ねずみのデータは結構大きなものを使用しています。それをお見せしましょう。
めちゃくちゃ大きな画像があって驚いたかと思います。
これは、うちにあるプリンタが360dpiなので、それに合わせて画像を最初から大きく描いているのです。パソコンの画面の解像度は72dpiでした。最近ではそうでないものも増えていますが、以前のMacintoshは画面上の一センチはプリントアウトしても一センチになるように作ってあったので、モニタでは一インチに72個の点(ドット)が入るようになっていたのです。72ドット・パー・インチ、の略で72dpi。だとすると、プリンタは一インチに360個の点が入るようになっているわけです。
だから仕上がり寸法を考えて大きく画像をかいたわけです。具体的には、360は72の五倍なので、仕上がり寸法の五倍の大きさの画像を制作した、はずです。
そして、こういうタイプの画像のことをペイントデータであるとかビットマップであるとかいいます。
では、そのペイントとドローでは一体なにが違うのか、というと全然違ったりします。
ペイントが点の集まりだったのに対し、ドローではどこからどこまでどういう線を引くか、ということが記録されていると考えていただけば近いかと思います。
これはどういうことかというと、画面やプリンタの解像度に関係なく、その解像度での最もきれいな線を引くことが出来るということです。拡大や縮小、回転をしても、ペイントデータと違い、ぎざぎざが目立つようになったりすることがないのです。
でも、一般的なドローソフトでは、円や四角、直線なんかを描くのは比較的簡単なのですが、滑らかな線を引くのが意外や難しい。方法がないわけではなく、ベジェ曲線というものを理解すればきれいで滑らかな曲線も自在に引けるのですが、残念ながら僕はベジェ曲線の理屈をいい加減にしか知らないので、思った通りの線を引けたためしがなく、結局直線でやりくりすることになったりしていました。
ドローで作った画像の見本をお見せしましょう。丑年と寅年の年賀状。これらはほとんど全てをドローで描かれています。
もちろんこれらのファイルはWebで公開するために、それに適した画像のタイプ(GIFやJPEG)に変換してあるので、このファイルからドローデータをとりだすことは出来ません。つまり今では全部がペイントデータになっています。
見ていただければわかりますが、直線の目立つ角張ったイメージがあります。これはドローデータが直線や円などの作成には向いているけれど、フリーハンドの曲線なんかを引くには不向きであるためです。もちろん、ドローの技術に精通していれば手書き風イラストも可能ですが、それは並大抵のことではなく、少なくとも僕には全然無理です。
では、ドローは一体なにが便利かというと、変更や修正がペイントに較べ非常に楽ということです。
例えば、四角を描いてみて、それが歪んでいたとしても、ハンドル(左の牛の顔のまわりに散っている四角い点です)を引っ張って好みのかたちに整形し直すことも出来ますし、線の太さを後から太くしたり細くしたりも簡単、色だって変えられます。
さらには、パーツを作っていって組み合わせていくことが出来るので、部分部分を描いてから、最後にレイアウトを作るということが簡単にできてしまいます。
もちろんペイントソフトでもそういうことは出来るのですが、画像を正確に切り取ったり、マスキングしたりしないといけないので、ドローソフトのように動かしたい部分をマウスでワンクリックして移動、というにはいかないです。
つまりこれらがドローソフトの利点といえるわけです。
しかし、そのペイントソフトの持つ手書きの雰囲気(ねずみの絵なんかはそうですね)と、ドローソフトの持つパーツ運用の簡単さは、相容れないものなのでしょうか。というとそれがさにあらず、ここに Flash の出番となるわけです。
Flash はドローソフトでありながら、ペイントソフトのように線を引くことが出来ます。自由な手書き感覚で引いた線が瞬時にドローオブジェクトに変換されるのです。
ここで初めてオブジェクトという言葉が出てきましたね。ですが、ここまでの説明で思ったよりもたくさん書きすぎてしまっているので、今回はここまでにしたいと思います。
なんだよ、タイトルに偽りありじゃないか、といわないでください。ちゃんと説明用の画像も用意していたんですが、そこにたどり着くまでが思ったより大変だったのですから。
というわけで、次回に続きます。次回こそ、グループ化したオブジェクトの説明をしたいと思っています。
グループ化したオブジェクトって? #2 オブジェクトとグループ化